2017年10月20日
漫画『ワニ男爵』1巻の感想とあらすじ 紳士なワニと相棒のウサギが行くグルメスポット探訪記
『ワニ男爵』1巻の感想。
ワニ男爵
著者:岡田卓也
掲載:モーニング
1巻発売日:2017年7月21日
彼の名前は、アルファルド・J・ドンソン。素敵なシルクハットに蝶ネクタイを身に付け、ステッキを持ったジェントルマン。職業は小説家。種族は・・・・“ワニ”。
博識で紳士なアルファルドの家を訪問してくるのは、彼を先生と呼ぶ愉快なうさぎのラビットボーイ。「カキ小屋が今、熱いらしいです」、そんなグルメ情報を拾ってくるラビットボーイの誘いに乗り、一緒に食べ歩きをするのが楽しみ。
普段は穏やかで寛大な紳士然としたアルファルドだけど、ふとしたことがきっかけで内に秘めた「野生」が目覚め、ちょっとした騒動になることも・・・。
とある浜辺のカキ小屋、うどん県の讃岐うどん、大阪のタコヤキなど、古今東西どこへなりとも飛んで行き、ワニ男爵と相棒のうさぎがご当地グルメを食べ歩く。
丁寧口調の紳士然としたワニ男爵が、たまに野生の血を騒がせながらも、仲良しの年下相棒であるウサギと共に、古今東西のグルメスポットを巡り歩く物語。
擬人化した動物たちによるグルメスポット探訪記。帯での謳い文句は「華麗なる肉食の日々。」。週刊漫画雑誌「モーニング」にて不定期連載されていたところ、大反響を受けて2017年33号から隔号連載開始。
作者は『ホライズン』という作品でデビューした漫画家・岡田卓也(おかだ たくや)先生。
元々動物の擬人化作品は人気のジャンルでしたけど、ディズニー映画『ズートピア』以降はさらに盛り上がりを見せてる気がします。
記憶に新しいのは、色んな意味で話題沸騰になったアニメ『けものフレンズ』。作中に登場したキャラクターのモデルとなった動物に会うため、実際の動物園に訪れるファンも多くいたようですね。最初はそれほど注目も期待もされていなかったんですけど、かわいいキャラクター、やさしい世界観、少しだけ匂わせている絶妙なシリアス加減など、意外と構成も演出も良くできた完成度の高い作品でしたね。とは言っても、あそこまでブームになったことは今でも不思議に思ってますけど。
個人的には『BEASTARS』もおすすめ。擬人化特有の可愛さは欠片程しかないものの、リアリティあるなかなか奥深い作品。あと、全2巻で終わってしまった『タレソカレ』は今でも強く続編を希望しています。
本日紹介させていただく一冊『ワニ男爵』も、動物擬人化モノ。可愛いかどうかは微妙なラインですが、広い読者層に楽しんでもらえる作品だと思います。
グルメ漫画ブームに火がついてから結構な年月が経ってます。そろそろネタも尽きる頃か・・・そんなことを何度も思ったものですが、その都度思わぬ方向から様々な作品が形を変えて誕生して来ました。そして、本作はその中でもさらに異彩を放っている漫画。
内容をざっくり説明しますと、物腰の柔らかいジェントルマンなワニの主人公が、彼にたかるただ飯食らいの仲良しなウサギと共に、いろいろなお店を食べ歩くお話。
動物擬人化×グルメ探訪記。擬人化された動物たちが、美味しいグルメを食べ歩く姿はなんともシュールな絵面となってます。グルメ漫画がどうたらと書いといてなんですけど、これはグルメ要素もあるシュールギャグ漫画と言った方が正しいかも。
肉食獣も草食獣も関係なく、擬人化されたあらゆる動物たちが共存共栄している世界が舞台。そして、この作品の主人公は、なんと水辺の最強ハンターである「ワニ」。
ワニ男爵の名前はアルファルド・J・ドンソン。オシャレなシルクハットと蝶ネクタイを身に付け、ステッキを持ち歩く紳士スタイル。きっちり丁寧な言葉遣いと振舞いを見せ、物腰は柔らかで思慮深くもあり、職業が小説家というだけあってとても博識なジェントルマン。
与える印象の強さだけでいったらトップレベルの主人公ですね。とにかく存在感が半端なく強烈。
そんなワニ男爵を先生と慕っているウサギのラビットボーイ。少々お調子者の気があり、軽薄で思慮にも欠けるため、とてもじゃないけど性格が良いとは言えない小僧。グルメ情報を拾ってきてはワニ男爵を誘ってタダ飯にあやかるのですが、訪れた先々で愚痴をこぼし、わがままを言い、他人を悪く言う有様。
ただ、そのおかげでワニ男爵の紳士な人格者っぷりが一層際立ってもいました。ラビットボーイの振る舞いに嫌な顔ひとつ見せず、彼を優しく諭して懐の深さを見せています。
この2人のやりとりからも伺えるように、本作はワニ男爵というキャラクターで魅せる作品であって、グルメやギャグは彼を彩るスパイス的なものと捉えた方がよさそうです。
ラビットボーイとのやりとりだけではなく、訪れる先々で困ってる人たちを躊躇なく、そしてさりげなく助けていく見事な紳士ぶりを見せるワニ男爵。一見、完璧な紳士と言っても差し支えないように思えるのですが、ひとつだけとても面倒な特性を彼は持っています。
それは、何かしらのトリガーをきっかけに、内に秘めたワニとしての「野生」が暴れだすということ。そうなると本人も自分が何をしているか分からない理性が外れた状態になるため、ちょっとした騒動に発展してしまいます。
あれで動物キャラクターに一人も犠牲者が出ないことは奇跡に近いんじゃないかと。ちょっと怖さはありますけど、あの野生開放は良い抑揚にもなっているので面白い設定だと思います。
グルメに関しては、日本の全国ご当地グルメが登場。食事シーンは最近よくある大袈裟な過剰演出を用いることはなく、これも紳士らしく詩的な美しい表現で美味しさを解説されていました。
小説を生業としてるだけあって、語彙と感性が豊かなワニ男爵の食レポは名言にも事欠きません。彼の詩的・文学的な表現はとても素晴らしく、作者さんの持つ言葉のセンスの良さが伺えました。
ということで、紳士なワニと愉快なウサギが食べ歩きをしながら人情あるふれ合いをしていく漫画『ワニ男爵』1巻の紹介でした。
グルメ要素も良く、人情話も良いものでしたけど、やはりワニ男爵の怖い見た目に反したジェントルマンぶりと、たまに爆発させている野生が何より面白い作品でしたね。
とは言っても、意外性とインパクトだけの漫画ではありません。濃い要素がバランスよく織り交ぜられていて、セリフ回しも素晴らしく、キャラクター・背景などの作画も綺麗。全体的にとても完成度の高い作品だと思います。ただ、ウサギにイラッときてしまう読者は多そうです。
だんだんクセになってくる魅力を持った漫画。凸凹コンビが織り成す食道楽にクスっと笑わせてもらい、同時にちょっとホッコリ良い気分にもさせてもらえました。続きも期待しています。
【eBookJapan】 ワニ男爵
ワニ男爵
著者:岡田卓也
掲載:モーニング
1巻発売日:2017年7月21日
あらすじ・概要
彼の名前は、アルファルド・J・ドンソン。素敵なシルクハットに蝶ネクタイを身に付け、ステッキを持ったジェントルマン。職業は小説家。種族は・・・・“ワニ”。
博識で紳士なアルファルドの家を訪問してくるのは、彼を先生と呼ぶ愉快なうさぎのラビットボーイ。「カキ小屋が今、熱いらしいです」、そんなグルメ情報を拾ってくるラビットボーイの誘いに乗り、一緒に食べ歩きをするのが楽しみ。
普段は穏やかで寛大な紳士然としたアルファルドだけど、ふとしたことがきっかけで内に秘めた「野生」が目覚め、ちょっとした騒動になることも・・・。
とある浜辺のカキ小屋、うどん県の讃岐うどん、大阪のタコヤキなど、古今東西どこへなりとも飛んで行き、ワニ男爵と相棒のうさぎがご当地グルメを食べ歩く。
丁寧口調の紳士然としたワニ男爵が、たまに野生の血を騒がせながらも、仲良しの年下相棒であるウサギと共に、古今東西のグルメスポットを巡り歩く物語。
擬人化した動物たちによるグルメスポット探訪記。帯での謳い文句は「華麗なる肉食の日々。」。週刊漫画雑誌「モーニング」にて不定期連載されていたところ、大反響を受けて2017年33号から隔号連載開始。
作者は『ホライズン』という作品でデビューした漫画家・岡田卓也(おかだ たくや)先生。
感想
元々動物の擬人化作品は人気のジャンルでしたけど、ディズニー映画『ズートピア』以降はさらに盛り上がりを見せてる気がします。
記憶に新しいのは、色んな意味で話題沸騰になったアニメ『けものフレンズ』。作中に登場したキャラクターのモデルとなった動物に会うため、実際の動物園に訪れるファンも多くいたようですね。最初はそれほど注目も期待もされていなかったんですけど、かわいいキャラクター、やさしい世界観、少しだけ匂わせている絶妙なシリアス加減など、意外と構成も演出も良くできた完成度の高い作品でしたね。とは言っても、あそこまでブームになったことは今でも不思議に思ってますけど。
個人的には『BEASTARS』もおすすめ。擬人化特有の可愛さは欠片程しかないものの、リアリティあるなかなか奥深い作品。あと、全2巻で終わってしまった『タレソカレ』は今でも強く続編を希望しています。
本日紹介させていただく一冊『ワニ男爵』も、動物擬人化モノ。可愛いかどうかは微妙なラインですが、広い読者層に楽しんでもらえる作品だと思います。
グルメ漫画ブームに火がついてから結構な年月が経ってます。そろそろネタも尽きる頃か・・・そんなことを何度も思ったものですが、その都度思わぬ方向から様々な作品が形を変えて誕生して来ました。そして、本作はその中でもさらに異彩を放っている漫画。
内容をざっくり説明しますと、物腰の柔らかいジェントルマンなワニの主人公が、彼にたかるただ飯食らいの仲良しなウサギと共に、いろいろなお店を食べ歩くお話。
動物擬人化×グルメ探訪記。擬人化された動物たちが、美味しいグルメを食べ歩く姿はなんともシュールな絵面となってます。グルメ漫画がどうたらと書いといてなんですけど、これはグルメ要素もあるシュールギャグ漫画と言った方が正しいかも。
肉食獣も草食獣も関係なく、擬人化されたあらゆる動物たちが共存共栄している世界が舞台。そして、この作品の主人公は、なんと水辺の最強ハンターである「ワニ」。
ワニ男爵の名前はアルファルド・J・ドンソン。オシャレなシルクハットと蝶ネクタイを身に付け、ステッキを持ち歩く紳士スタイル。きっちり丁寧な言葉遣いと振舞いを見せ、物腰は柔らかで思慮深くもあり、職業が小説家というだけあってとても博識なジェントルマン。
与える印象の強さだけでいったらトップレベルの主人公ですね。とにかく存在感が半端なく強烈。
そんなワニ男爵を先生と慕っているウサギのラビットボーイ。少々お調子者の気があり、軽薄で思慮にも欠けるため、とてもじゃないけど性格が良いとは言えない小僧。グルメ情報を拾ってきてはワニ男爵を誘ってタダ飯にあやかるのですが、訪れた先々で愚痴をこぼし、わがままを言い、他人を悪く言う有様。
ただ、そのおかげでワニ男爵の紳士な人格者っぷりが一層際立ってもいました。ラビットボーイの振る舞いに嫌な顔ひとつ見せず、彼を優しく諭して懐の深さを見せています。
この2人のやりとりからも伺えるように、本作はワニ男爵というキャラクターで魅せる作品であって、グルメやギャグは彼を彩るスパイス的なものと捉えた方がよさそうです。
ラビットボーイとのやりとりだけではなく、訪れる先々で困ってる人たちを躊躇なく、そしてさりげなく助けていく見事な紳士ぶりを見せるワニ男爵。一見、完璧な紳士と言っても差し支えないように思えるのですが、ひとつだけとても面倒な特性を彼は持っています。
それは、何かしらのトリガーをきっかけに、内に秘めたワニとしての「野生」が暴れだすということ。そうなると本人も自分が何をしているか分からない理性が外れた状態になるため、ちょっとした騒動に発展してしまいます。
あれで動物キャラクターに一人も犠牲者が出ないことは奇跡に近いんじゃないかと。ちょっと怖さはありますけど、あの野生開放は良い抑揚にもなっているので面白い設定だと思います。
グルメに関しては、日本の全国ご当地グルメが登場。食事シーンは最近よくある大袈裟な過剰演出を用いることはなく、これも紳士らしく詩的な美しい表現で美味しさを解説されていました。
小説を生業としてるだけあって、語彙と感性が豊かなワニ男爵の食レポは名言にも事欠きません。彼の詩的・文学的な表現はとても素晴らしく、作者さんの持つ言葉のセンスの良さが伺えました。
ということで、紳士なワニと愉快なウサギが食べ歩きをしながら人情あるふれ合いをしていく漫画『ワニ男爵』1巻の紹介でした。
グルメ要素も良く、人情話も良いものでしたけど、やはりワニ男爵の怖い見た目に反したジェントルマンぶりと、たまに爆発させている野生が何より面白い作品でしたね。
とは言っても、意外性とインパクトだけの漫画ではありません。濃い要素がバランスよく織り交ぜられていて、セリフ回しも素晴らしく、キャラクター・背景などの作画も綺麗。全体的にとても完成度の高い作品だと思います。ただ、ウサギにイラッときてしまう読者は多そうです。
だんだんクセになってくる魅力を持った漫画。凸凹コンビが織り成す食道楽にクスっと笑わせてもらい、同時にちょっとホッコリ良い気分にもさせてもらえました。続きも期待しています。
ワニ男爵(1) (モーニング KC) | ||||
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