2017年04月17日
漫画『海王ダンテ』1巻の感想とあらすじ
『海王ダンテ』1巻の感想。
海王ダンテ
著者:皆川亮二 原著:泉福朗
掲載:ゲッサン
1巻発売日:2016年7月12日
時は18世紀後半――西欧諸国が海路開発へ新たな活路を見出し、こぞって植民地活動に取り掛かっていた時代。北極点に国の旗を突き刺して大英帝国の力を誇示するため、女王の命を受けたイギリス海軍の船は目的地を目指して進んでいたが、行く手を阻む吹雪と氷塊によって17日間も足止めされていた。
そんな時、本来人などいるはずのないこの過酷な地で、船員は船に向かってくる人影を発見し動揺する。しかも、姿を現したのはなんと1人の子供・・・。ダンテと名乗るその少年は、友人の生命を救うため“あるもの”を求めて北極点を目指していた。無謀過ぎる告白に対していぶかしむ船員たちだが、ここまで1人で旅をしてきた彼は普通の子供ではなかった。
ダンテは緻密に描かれた地図や様々知識が記された巨大な本で皆を導き、そしてじいちゃんから本と一緒に受け継いだもうひとつの力、魔導器と呼ばれる未知なる力で道を切り開きながら、目的を果たすために目指すべき場所へと進んでいく。
病の幼馴染の少女を救うために“あるもの”を求めて北極点を目指す少年が、巨大な本と未知なる力を宿した魔導器を携え、立ち塞がる困難を打破しながら成長する姿と、世界に影響を及ぼす強大な力を巡る戦いを描いた物語。
壮大なる海洋スペクタクルロマン活劇。帯での謳い文句「超文明」×「召喚術」×「海賊」×「世界征服」とあるように、ワクワク要素メガ盛りの作品です。
漫画は「スプリガン」、「ARMS」、「ADAMAS」、「PEACE MAKER」などでお馴染みの皆川亮二さん。原作は岡エリという名義で「ADAMAS」の脚本を担当していた漫画原作者・泉福朗さん。
史実とファンタジーを織り交ぜた作品というのは、普段あまり歴史関連に馴染みない人でも楽しむことができ、作中で登場した歴史上の人物・事件、その時代そのものに興味を持つきっかけにもなると思います。子供でも大人でも楽しませてくれる作品が多いですね。
この『海王ダンテ』もはっきりと記されているわけではありませんが、時代背景と作中での表記・描写などから、軸となる人物は歴史上の大物たちをモデルにされていることが伺え、作品内容だけではなく歴史にも興味を深めさせてくれるかもしれません。だいぶファンタジー寄りで冒険活劇という面の方が強いすけどね。
時は1763年、7年戦争(イギリスの支援を受けたプロイセンと、オーストリア・フランス・ロシア・スウェーデンなど大陸諸国との間に起きた欧州全土を巻き込んだ7年に及ぶ戦い)が終結し、西欧諸国が海の向こうに活路を見出し、海路開発、植民地活動にこぞって乗り出した時代のお話。
物語の始まりは一番上のあらすじに書いた感じです。幼馴染の少女・エマを病から救うために北極点を目指しているというダンテですが、子供1人で無謀にもほどがある行いに、当然海軍の大人たちは「ありえない」といった反応。しかし、ダンテはこの時代に生きる誰よりも豊富な知識と、障害を打破する強力な力を有する少年でした。それを可能にしていたのは、彼が持つ様々な知識が集約されている一冊の巨大な本と、魔導器と呼ぶオーパーツのような装置。
それらを駆使してイギリス海軍を北極点へダンテは導いていくのですが、そこに当時の科学ではありえない四脚で歩行する船が立ち塞がり、乗っていたダンテと同じ目的で北極点を目指していた幼馴染・ナポリオとフランス海軍の攻撃を受けます。さらにナポリオの兄・ジョゼも絡んでくるのですが・・・。
冒険モノ好きならワクワクは必至。北極点を目指すのは作品の目的ではなく、1巻での目的です。大航海、海賊、オーパーツ、召喚術、さらに史実まで絡み、これらがカチっと組み合わさったら今後どうなるのか、とても楽しみですね。詰め込み過ぎて下手したら収拾つかない事態にもなりそうですが、そこはまあ数々の有名作品を手がけてきた作者さんなので、うまくまとめてくれることを期待するとしましょう。
この作品の重要なキーになるのは間違いなくダンテも持っていた“本”、そして“魔導器”でしょうね。本は全部で3冊あり、なんと生きている本ということで、本に見えても実際は別の姿を持っているそうです。
ダンテが持つ「要素(エレメント)」と呼ばれる本は、世界の理が記されている本。ナポリオが持つ「構成(ビルド)」は、主人の望むあらゆる発明品の設計図が記されている本。最後にダンテたちが探し求めている「生命(ライフ)」は、あらゆる病を治し、生命そのものにさえ干渉してしまう本。ダンテとナポリオは「生命」の力を使ってエマを救おうとし、さらにダンテはその後でこの本を封印することも1つの目的らしいです。
そして、もう1つのダンテが所持している懐中時計のような形をしている魔導器。巨大な氷塊を粉砕したり船員をシロクマから救うなど強力な力を持っていますが、代わりに使用者の体のどこかの細胞を犠牲にしなければいけない代償付き。
本でも魔導器でも100%力を発揮させると世界バランスなんてあっさり崩れてしまう強力アイテムだと思うんですが、代償や時代も関係して、やれることには限度・制限があるというのは上手い設定だったと思います。
1巻は完全に丸々プロローグいった感じの内容でした。現状は、奪った「生命」の力で過去の海賊を蘇らせて世界征服を目論むジョゼと、封印しようとするダンテとの対立構図。そして、イギリス軍についたダンテと、フランス軍についたナポリオ。
面白いのが、コルシカ島で育ったダンテとナポリオ、さらにエマ・ハート。明かされた主人公の本名「ダンテ・ホレイショ・・・」。この彼等の名前、地名、時代、主人公と幼馴染が現在身を置いている国を考えると、どうしてもイギリスの英雄とフランスの英雄を思い浮かべてしまうからテンションは上がってしまいます。年齢など本来とは若干ズレもありますが、あまり細かく指摘する必要もないでしょう。
てんこ盛りの様々な要素がどう交錯していくのか気になり、今後の展開を非常に楽しみにさせてくれる1巻でした。ダンテたちのこれからの活躍を期待してます。
【eBookJapan】 海王ダンテ
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海王ダンテ
著者:皆川亮二 原著:泉福朗
掲載:ゲッサン
1巻発売日:2016年7月12日
時は18世紀後半――西欧諸国が海路開発へ新たな活路を見出し、こぞって植民地活動に取り掛かっていた時代。北極点に国の旗を突き刺して大英帝国の力を誇示するため、女王の命を受けたイギリス海軍の船は目的地を目指して進んでいたが、行く手を阻む吹雪と氷塊によって17日間も足止めされていた。
そんな時、本来人などいるはずのないこの過酷な地で、船員は船に向かってくる人影を発見し動揺する。しかも、姿を現したのはなんと1人の子供・・・。ダンテと名乗るその少年は、友人の生命を救うため“あるもの”を求めて北極点を目指していた。無謀過ぎる告白に対していぶかしむ船員たちだが、ここまで1人で旅をしてきた彼は普通の子供ではなかった。
ダンテは緻密に描かれた地図や様々知識が記された巨大な本で皆を導き、そしてじいちゃんから本と一緒に受け継いだもうひとつの力、魔導器と呼ばれる未知なる力で道を切り開きながら、目的を果たすために目指すべき場所へと進んでいく。
病の幼馴染の少女を救うために“あるもの”を求めて北極点を目指す少年が、巨大な本と未知なる力を宿した魔導器を携え、立ち塞がる困難を打破しながら成長する姿と、世界に影響を及ぼす強大な力を巡る戦いを描いた物語。
壮大なる海洋スペクタクルロマン活劇。帯での謳い文句「超文明」×「召喚術」×「海賊」×「世界征服」とあるように、ワクワク要素メガ盛りの作品です。
漫画は「スプリガン」、「ARMS」、「ADAMAS」、「PEACE MAKER」などでお馴染みの皆川亮二さん。原作は岡エリという名義で「ADAMAS」の脚本を担当していた漫画原作者・泉福朗さん。
史実とファンタジーを織り交ぜた作品というのは、普段あまり歴史関連に馴染みない人でも楽しむことができ、作中で登場した歴史上の人物・事件、その時代そのものに興味を持つきっかけにもなると思います。子供でも大人でも楽しませてくれる作品が多いですね。
この『海王ダンテ』もはっきりと記されているわけではありませんが、時代背景と作中での表記・描写などから、軸となる人物は歴史上の大物たちをモデルにされていることが伺え、作品内容だけではなく歴史にも興味を深めさせてくれるかもしれません。だいぶファンタジー寄りで冒険活劇という面の方が強いすけどね。
時は1763年、7年戦争(イギリスの支援を受けたプロイセンと、オーストリア・フランス・ロシア・スウェーデンなど大陸諸国との間に起きた欧州全土を巻き込んだ7年に及ぶ戦い)が終結し、西欧諸国が海の向こうに活路を見出し、海路開発、植民地活動にこぞって乗り出した時代のお話。
物語の始まりは一番上のあらすじに書いた感じです。幼馴染の少女・エマを病から救うために北極点を目指しているというダンテですが、子供1人で無謀にもほどがある行いに、当然海軍の大人たちは「ありえない」といった反応。しかし、ダンテはこの時代に生きる誰よりも豊富な知識と、障害を打破する強力な力を有する少年でした。それを可能にしていたのは、彼が持つ様々な知識が集約されている一冊の巨大な本と、魔導器と呼ぶオーパーツのような装置。
それらを駆使してイギリス海軍を北極点へダンテは導いていくのですが、そこに当時の科学ではありえない四脚で歩行する船が立ち塞がり、乗っていたダンテと同じ目的で北極点を目指していた幼馴染・ナポリオとフランス海軍の攻撃を受けます。さらにナポリオの兄・ジョゼも絡んでくるのですが・・・。
冒険モノ好きならワクワクは必至。北極点を目指すのは作品の目的ではなく、1巻での目的です。大航海、海賊、オーパーツ、召喚術、さらに史実まで絡み、これらがカチっと組み合わさったら今後どうなるのか、とても楽しみですね。詰め込み過ぎて下手したら収拾つかない事態にもなりそうですが、そこはまあ数々の有名作品を手がけてきた作者さんなので、うまくまとめてくれることを期待するとしましょう。
この作品の重要なキーになるのは間違いなくダンテも持っていた“本”、そして“魔導器”でしょうね。本は全部で3冊あり、なんと生きている本ということで、本に見えても実際は別の姿を持っているそうです。
ダンテが持つ「要素(エレメント)」と呼ばれる本は、世界の理が記されている本。ナポリオが持つ「構成(ビルド)」は、主人の望むあらゆる発明品の設計図が記されている本。最後にダンテたちが探し求めている「生命(ライフ)」は、あらゆる病を治し、生命そのものにさえ干渉してしまう本。ダンテとナポリオは「生命」の力を使ってエマを救おうとし、さらにダンテはその後でこの本を封印することも1つの目的らしいです。
そして、もう1つのダンテが所持している懐中時計のような形をしている魔導器。巨大な氷塊を粉砕したり船員をシロクマから救うなど強力な力を持っていますが、代わりに使用者の体のどこかの細胞を犠牲にしなければいけない代償付き。
本でも魔導器でも100%力を発揮させると世界バランスなんてあっさり崩れてしまう強力アイテムだと思うんですが、代償や時代も関係して、やれることには限度・制限があるというのは上手い設定だったと思います。
1巻は完全に丸々プロローグいった感じの内容でした。現状は、奪った「生命」の力で過去の海賊を蘇らせて世界征服を目論むジョゼと、封印しようとするダンテとの対立構図。そして、イギリス軍についたダンテと、フランス軍についたナポリオ。
面白いのが、コルシカ島で育ったダンテとナポリオ、さらにエマ・ハート。明かされた主人公の本名「ダンテ・ホレイショ・・・」。この彼等の名前、地名、時代、主人公と幼馴染が現在身を置いている国を考えると、どうしてもイギリスの英雄とフランスの英雄を思い浮かべてしまうからテンションは上がってしまいます。年齢など本来とは若干ズレもありますが、あまり細かく指摘する必要もないでしょう。
てんこ盛りの様々な要素がどう交錯していくのか気になり、今後の展開を非常に楽しみにさせてくれる1巻でした。ダンテたちのこれからの活躍を期待してます。
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