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2024年09月24日

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害10

4 まとめ

 李徴は、この場面でベースとプロファイル型で外部から情報を取り込み、旧情報を基に問題未解決から問題解決へ向かっている。そのため「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」と「人生と思考」という組が相互に作用し、「中島敦と思考」というシナジーのメタファーが成立する。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。 

【参考文献】

中島敦 山月記 青空文庫 1998 
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員通信講座テキスト ヘルスケア出版 2014
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む  華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害9

【情報の認知の流れ】
A 情報の認知1は@ベースとプロファイル、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、である。
B 情報の認知1は@ベースとプロファイル、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、である。
C 情報の認知1は@ベースとプロファイル、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3は@問題解決から推論へ、である。
D 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報A新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、である。
E 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報A新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、である。
【結果】
李徴は、この場面で問題未解決から問題解決へ思考が流れている。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害8

表3 感情と行動の認知プロセス

A しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔よしとしなかった。 情報の認知1 1 情報の認知2 1 情報の認知3 2

B 共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである。己おのれの珠に非ることをおそれるが故ゆえに、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。 情報の認知1 1 情報の認知2 1 情報の認知3 2

C 己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己おれの場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。 情報の認知1 1 情報の認知2 1 情報の認知3 1

D これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
情報の認知1 2 情報の認知2 1 情報の認知3 1

E 人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧きぐと、刻苦を厭う怠惰とが己のすべてだったのだ。 情報の認知1 2 情報の認知2 1 情報の認知3 1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害7

【連想分析2】

情報の認知1(感覚情報)
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化である。

情報の認知2(記憶と学習)
外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報はまたカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論)
受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へ、である。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害6

【分析例】
意味1@喜A怒B哀C楽、意味2@視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚、意味3振舞い@直示A隠喩、意味4思考@ありAなし、人工知能1人格障害@反応が範囲内A逸脱、人工知能2人格障害@調整ありAなし
【テキスト共生の公式】
ステップ1 解析の組は、自尊心(意味1、2、3)と自己愛性パーソナリティ障害(意味4)とする。
ステップ2 人格障害の特性から「人生と思考」という組を作り、解析の組と合わせる。
A 自尊心(B哀+A聴覚+@直示)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
B 自尊心(B哀+A聴覚+@直示)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
C 自尊心(B哀+A聴覚+A隠喩)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
D 自尊心(B哀+A聴覚+@直示)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
E 自尊心(B哀+A聴覚+A隠喩)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
【結果】
表2については、テキスト共生が適用される。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害5

【連想分析1】

表2 受容と共生のイメージ合わせ

A しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔よしとしなかった。 意味1 3 意味2 2 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1

B 共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである。己おのれの珠に非ることをおそれるが故ゆえに、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。 意味1 3 意味2 2 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1

C 己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己おれの場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。 意味1 3 意味2 2 意味3 2 意味4 1 AI1 1 AI2 1

D これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
意味1 3 意味2 2 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1

E 人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧きぐと、刻苦を厭う怠惰とが己のすべてだったのだ。 意味1 3 意味2 2 意味3 2 意味4 1 AI1 1 AI2 1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害4

【データベースの作成】

表1 「山月記」のデータベースのカラム
項目名   内容            説明
・文法1  名詞の格      中島敦の助詞の使い方を考える。
・文法2  ヴォイス      能動、受動、使役。
・文法3  テンス、アスペクト 現在、過去、未来、進行形、完了形。
・文法4  モダリティ    様相の表現。可能、推量、義務、必然。
・意味1  喜怒哀楽      情動との接点。瞬時の思い。
・意味2  五感        視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
・意味3  振舞い      ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
・意味4 思考の流れ   課題や問題が与えられたとき生じる、一連の精神活動で、周囲の状況に応じた現実的な判断や結論。ある、なし。
・医学情報  病跡学との接点  受容と共生の共有点。構文や意味の解析から得た組「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
・記憶  短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述) 作品から読み取れる記憶を拾う。長期記憶は陳述と非陳述に分類される。
・情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
・情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報については カテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
・情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
・人工知能 人格障害1 エキスパートシステム 極端な性格が周囲の人を困らせたり、本人が苦しんでいる 場合で、性格の特徴を問題視する人格(先天的な気質+後天的な性格)障害。反応が範囲内、逸脱。
・人工知能 人格障害2 エキスパートシステム 治療としては、話し合い、生活環境の調整。ある、なし。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害2

2 「山月記」の思考によるLのストーリー

中島敦(1909−1942)は、1942年持病の喘息を抱えながら「山月記」を書き、同年この病が悪化しため、12月4日に33歳で死去する。「山月記」を読めば、誰もが人の人生について思わず考えさせられる。内容は、一連の精神活動の中で思考とつながるため、今回は「中島敦と思考」という組み合わせでシナジーのメタファーについて考察する。
 「山月記」の購読脳を「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」とする。自尊心については、主人公の李徴が認めている。日本成人病予防協会(2014)によると、人から称賛されたいと強く思い、根拠もないのに自分は称賛に値する優れた人間だと信じている。特権意識の強い、己惚れた人間である。自己愛を傷つけられると怒ることもある。この群に属するパーソナリティ障害には、反社会性、境界性、演技性といった基本的な特徴があり、他人を巻き込み派手で劇的な人格が見受けられる。
購読脳の組み合せ、「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」という出力が、共生の読みの入力となって横にスライドし、出力として「人生と思考」という組を考える。よって「中島敦と思考」というシナジーのメタファーが成立する。
リスク回避と取れる提言が述べられる。己惚れることなく協調性を持って生活することが人生の心得なのである。なお、パーソナリティ障害は、一般的に病気に対する自身の認識が低いため、治療に至らないことが多い。できるだけ周囲の人を通して調節するとよい。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害1

1 先行研究

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動は、意欲と組になることを先行研究に入れておく。
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なお、Lのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
 メゾのデータを束ねて何やら予測が立てば、言語分析や翻訳そして資格に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より
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プロフィール
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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