2024年05月30日
1133番:ペルル嬢(1)(モーパッサン作品集より)
ペルル嬢(1)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
................................T....................................................
−−−−−−−−−【1】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Quelle singulière idée j'ai eue, vraiment, ce
soir- là, de choisir pour reine Mˡˡᵉ Perle.
.−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あの夜女王様にペルルを選ぶなんてまったく私は何と
風変わりな考えを持っていたことか.
.−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−
singulie(ère):(形) 風変わりな、奇抜な
[文] 特異な
reine:❶王妃、❷女王
王妃と女王は違うのですが、辞書にはどちらも
ありますので、とりあえず❶の王妃で訳します.
読み進めて、不都合が生じた時点で女王に変更
します…と、早速不都合が出てきました.この
あと、女王様になるゲームが行なわれますので.
「女王様」に訳を訂正いたします.
はじめの訳の痕跡
「あの夜、王妃様にペルルを選ぶなんてまったく私は何と
風変わりな考えを持っていたことか」
−−−−−−−−−≪学習書≫−−−−−−−−−−−−−−
今回の学習テキストは:
Collection Guy de Maupassant より17 - La petite Roque et
9 autres histoires に収められている“ Mademoiselle Perle”
を読みます.
訳本は、「ちくま文庫」の『モーパッサン短篇集』に入
っています.
1132番:ロックの娘(40)
ロックの娘(40)
La petite Roque
−−−−−−−−−【40】−−−−−−−−−−−−−
Mais Renardet devint brusque:
≪ Non. Je n'ai pas besoin de vous.
Envoyez-moi tout de suite le garde
champêtre, le secrétaire de la mairie
et le médecin, et continuez votre tournée.
Vite, vite, allez, et dites-leur de me
rejoindre sous la futaie. ≫
.−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−
しかしルナルデはぞんざいな態度になりました.
「いや、お前がいなくても大丈夫だ.すぐに巡査と
役場の書記と医者を呼んでくれ.そしてお前は配達業
務に戻れ.さあ急げ.みんなには樹林で落ち合おうと
言ってくれよ.」
.−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−
* nは男なら男性名詞、女なら女性名詞の略号とします.
brusque:(形) そっけない、ぶっきらぼうな、
ぞんざいな、粗暴な、つっけんどんな、
besoin:(m) 必要、欲求、
avoir besoin de ~:〜を必要とする
avoir besoin de + 不定詞:〜する必要がある
Envoyez-moi qn:私に〜を呼びなさい、派遣しなさい
qn がなければ、「私を派遣しなさい」
champêtre:(形)[文・古風] 田舎の、田園地方の、
garde champêtre:田園監視人、
訳本(岩波文庫)では「巡査」
secrétaire:(n) 秘書
le secrétaire de la mairie:役場の書記係の職員
médecin:(m) 医者
tournée:[トゥールネ](f) 配達、配達業務;
tournée du facteur / 郵便配達
futaie:(f) (大木の)樹林
1131番:テレーズ・ラカン(4)
テレーズ・ラカン
エミール・ゾラ(4)
Émile Zola (4)
Therese Raquin
Chapter 1
−−−−−−−−−【4】−−−−−−−−−−−−−−−−
To the left are obscure, low, dumpy shops
whence issue puffs of air as cold as if coming
from a cellar. Here are dealers in toys, cardboard
boxes, second-hand books. The articles displayed in
their windows are covered with dust, and owing to
the prevailing darkness, can only be perceived indis-
tinctly.
..−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−
アーケードの左側は気にとめることのない活気のない湿
っぽい店が並んでいる.地下室から来るような冷たい風が
どこからともなく吹き付ける.ここにあるのは、おもちゃ屋、
段ボール箱屋、古本屋などの店だ.陳列ケースの中の商品は
ほこりまみれで、どこまでも暗いこの中では、ほこりすら曖
昧にしかわからない.
−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−−
obscure:(形) 無名の、よく知られていない、
薄暗い、
not at all well known and usually not very important
知られてもいないし、たいして重要でもない;
ぼんやりした、(文体が) あいまいな、
はっきりしない、わかりにくい
本文では「目立たない」
low:(形) ここでは「元気のない」「活気のない」
whence:[古風]いずれより、どこから、(from where)
Whence did he come ? / 彼はどこから来たのか?.
issue:ここでは(自) (…から)出る、流れ出る
indistinctly:ぼんやりと、不明瞭に
< indistinct (形) はっきりしない
owing to the prevailing darkness:どこまでも暗い中では、
暗さが徹底したこの状況では
暗さが行きわたっているため
1130番:ボヴァリー夫人(32)
Gustave Flabert
Madam Bovary
ボヴァリー夫人(32)
−−−−−−−−【32】−−−−−−−−−−−−−−
Sa femme avait été folle de lui autrefois;
elle l'avait aimé avec mille servilités qui l'avaient
détaché d'elle encore davantage.
−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−
彼の妻は昔はこの男にご執心であった: 妻は夫を恋
の奴隷のように愛したがそのことで、よけいに彼は妻か
ら離れていった.
−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−
folle:(形、女性形) < fol (男性第2形) < fou
fou:[フー](形) 気の狂った、
[de に] 夢中の、我を忘れた
autrefois;(副) 昔、かつて;
Autrefois, elle était jolie, ma femme. /
昔はうちのかみさんも美しかった.
servilité:(f)[文] 卑屈さ、屈従、卑屈な態度、
奴隷根性、
détacher:(他) 解き放す、ほどく、離す
[de から] (切り)離す
avaient détaché:離れていった
davantage:それ以上に、いっそう
1129番:ナナ(22)(エミール・ゾラ)
Émile Zola
−Nana−
ナナ(22)
−−−−−−−−−【22】−−−−−−−−−−−−−−−−−
Puis, pour couper court, il présenta son
cousin, M. Hector de la Faloise, un jeune
homme qui venait achever son éducation à
Paris. Le directeur pesa le jeune homme
d'un coup d'œil. Mais Hector l'examinait
avec émotion.
..−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−−
それから、彼はこの話を手短に済まそうとして、連れ
のエクトルを紹介した.エクトル・ド・ラ・ファロワー
ズ.彼の従弟である.パリで学業を終えたばかりの青年
だ.支配人はこの青年を一瞥で値踏みした.しかしエク
トルのほうはこの支配人に感動して見とれていた.
..−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−
directeur(trice):(n) 館長、支配人、
頼りにしている訳本(新潮文庫)では「支配人」
なので、それに倣います.
pesa:(3単単純過去) < peser (他) 〜の重さを計る
ここでは「人物を計る」「どれほどの人物か
品定めをする」
émotion:(f) 感動、動揺;
L'émotion l'étouffa. / 彼は感動で息が詰まった.
1128番:「湖畔」(46)(シュトルム作)
湖畔(46)
IMMENSEE(46)
−−−−−−−−−【46】−−−−−−−−−−−−−−−
Es freut sie,, als er ihr einen Tages
sagte, er werde, wie sonst, Märchen für
sie aufschreiben; er wollte sie* ihr mit
den Briefen an seine Mutter schicken;
sie müsse ihm dann wieder schreiben,
wie sie ihr gefallen hätten.
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−
ある日ラインハルトが彼女に、これまで通り童話を書
いてあげよう、それを彼女には、母上に宛てた手紙に同
封して送るから、是非気に入ったかどうかを返信してく
れるよう言ったとき、彼女はとても喜びました.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−
auf/schreiben:(他) 書きとめる、メモする,
sonst:ふだんは、いつもは
wie sonst: ふだんとまったく同じように、
これまでと同じように、いつものように
これまで通り
* sie:Märchen (中性だが複数なのでsieで受ける)のこと