「運動が苦手」は実は間違っているかも?
ところで、運動とはなんでしょうか。運動とスポーツは違うのでしょうか。スポーツとは、一定のルールの中で技術向上を目指すものです。一方、運動にはルールはなく、体を動かすこと全般を指します。毎日の生活の中で、歩く、階段を上り下りする、自転車に乗るといったことも運動のひとつです。「学生のころはしていた」「運動が苦手」といった表現はどちらかというとスポーツを指していることが多いのではないでしょうか。球技や早く走ることが苦手な人が「運動が苦手」と思ってしまうのは学生時代の体育のイメージが強いのかもしれません。
どうして運動しないといけないの?
では、どうして健康の維持や増進のために運動が必要なのでしょうか。それにはいくつかの理由があります。
まず一つ目が食事から摂取するエネルギーと、消化するエネルギーとのバランスをとるためです。私たちの生活はさまざまな進化や開発によりどんどん便利になっていますが、食事から摂取するエネルギーが極端に減っているわけではありません。エネルギー摂取と消化のバランスが崩れることはさまざまな生活習慣病の原因となります。そのため現代人の私たちは意識して運動することが必要となっているのです。
もうひとつは丈夫な足腰をキープすること。日本人の平均寿命は戦後70年で約30歳も延びました。そこで話題になってきたのが「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」です。ロコモとは加齢などによる運動器の衰えが原因でやがて日常生活に支障をきたす状態になることを指しています。寿命が延びるだけでなく、“健康寿命”を延ばすためにもロコモのリスクをできるだけ減らすように、ふだんの生活から運動を心がけることが有効です。
そして3つ目がストレスの解消です。心身ともに健康な状態をキープするために運動は有効と言えます。
運動が苦手な人でも続けられる、毎日の意識
それでは、どのように運動すればよいのでしょうか。運動はその強度によって「メッツ(活動強度)」という単位で表すことができます。厚生労働省では、2023年までの身体活動・運動分野の目標を定めて「健康づくりのための身体活動基準2013 」を発表しています。その中で、18-64歳の運動の基準は次のように定められています。
強度が3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週行う。
具体的には息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う。
こう言われると何か特別な「運動」が必要なように感じてしまうかもしれません。けれども、階段の上りで6〜8メッツ、下りでも4メッツになります。ふだんバスを使っているところを自転車にするだけで4メッツ、ふだんの歩きをちょっと早足にすれば4メッツと、1日の生活の中でちょっと意識を変えるだけで毎日に運動を取り入れることができます。また、厚生労働省では 「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」というメッセージを打ち出していて、ロコモ・認知症の発症を8.8%低下させ、1年間の継続で1.5から2.0kg減の効果が期待できるとされています。
「運動が苦手」と思っている人も、日常生活の中でより体を多く動かすことを選択していくだけで、特別なことをしなくても運動を取り入れることができます。長く健康な毎日を送るためにも、運動への意識を少し変えていきたいものですね。
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