ゆっくりと減衰する関数
指数関数の中に sinx/x を入れた関数をと定義し、さらに正弦関数を掛けた関数を
と定義します。
赤い実線が y = f(x) 、青い点線が y = h(x) です。
微積分における有名な極限定理
によって、
となります。 f(x) の振幅は h(x) に沿ってゆっくり減衰します。上の図ではちょっと分かりにくいのですが、じっくり目を凝らすと h(x) と f(x) の極大値が少しずつ 1 に近づいていきます。 x が充分に大きいところでは f(x) ≒ sinx となります。今度は後ろにかかっている sinx を sin(x/2) に置き換えて、
という関数を定義してみます。
x = 4 のあたりでぐにゃりと曲がっていたりしますが、少しずつ形を整えて、やはり x → ∞ では g(x) ≒ sin(x/2) となります。
y = exp(1 / x) : 急減する関数
今回は y = exp(1 / x) という関数をベースにします:[0, 1] のあたりで急速に値を落とす関数です。
この関数に x 2 を掛けてみます:
極小値までひと息に急減して、そのあとは増加に転じます。
この関数を微分すると、
y′= (2x − 1)exp(1 / x)
x < 1 / 2 で y′ < 0
x > 1 / 2 で y′ > 0
x < 1 / 2 で y′ < 0
x > 1 / 2 で y′ > 0
となるので極小値は x = 0.5 です。連続関数ではありますが、この極値を境にして関数の様相は一変していますね。x が十分に大きいところでは exp(1 / x) ≒ 1 とみなせるので、 y ≒ x 2 となります。
次は exp の変数を logx / x としてみます:
かなり特徴のある関数です。グラフでは少し見えにくいですが [0, 0.3] あたりでは x 軸にべったりと張り付いています。そのあと比較的大きな勾配で値が増加していきますが、x が大きくなるとすぐに勾配を緩めながら緩やかな減少に転じます。
グラフの概形を非対称に変えます
e の肩に x の 2 次関数を乗せます:y = exp(−ax2 + bx) (a > 0, b は任意)
まずは b = 0 として a を変化させてみます:
図では a = 0.5, 1.0, 4.0 に対応するグラフを色分けして表示しています。
最大値は 1 に固定されていますが、 a の値が増す毎に山幅が狭くなっていますね。
次は a = 1 として、b を変化させてみましょう:
b = 0.0, 1.0, 2.0 と変化させています。
今度は b の増加に合わせてグラフが右へ移動すると同時に最大値も大きくなっていきます。計算練習もかねて、この最大値の位置を求めてみましょう。
y′= (−2 x + b) exp(−x2 + bx)
ですから、y′= 0 とおけば、最大値をとる x および最大値は
x = b/2, 最大値 ymax = exp(b2/4)
となります。最大値は b2 の指数関数として増加しています。図には最大値の移動を示す点線が描かれていますね。この曲線は b = 2x の関係を用いて
y = exp(x2)
と求めることができます。
次は exp(−x2) に xn を乗じてみます:
exp(−x2) が偶関数ですから、x, x2, x3 を掛けると、奇関数、偶関数、奇関数と変化します。では無理関数を掛けたらどうなるでしょうか?範囲を x > 0 に制限してグラフを描いてみましょう:
立ち上がりの早い関数で、x = 0.5 における最大値まで一気に駆け上がって、そのあとは比較的なだらかに値を落としていきます。無理関数を乗じると、このようにグラフの概形を非対称に変えます。最大値をとる x は先程と同じように簡単な計算で得られますので試してみてください。