問題33 地下書庫を整理しましょう! [中3★★★☆☆]
謎の AI (?) こばとちゃんが経営する『あとりえこばと出版』の地下には、貴重な資料が保管されている書庫があります。ある日、社員の真理子さんは、別の社員の涼音さんに書庫に収められた書籍の分類・整理をするように頼みました。真理子さんと涼音さんが共同で作業を行った場合と比較して、ベテランの真理子さんだけで作業した場合は 25 日遅れ、涼音さんだけで作業した場合は 36 日遅れます。涼音さんは何日で作業を終えることができますか。[ヒント] いわゆる「仕事算」に属する問題です。中学生の知識で解けますが、慣れていないとけっこう難しいですよ。解き方は少なくとも 2 通りあります。
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解答33 @ (1 日あたりの仕事量を 1 とおいて ... )
まずはオーソドックスに方程式で解く方法から。全体の仕事量を 1 とします。仕事を終えるまでの日数を、真理子さん 1 人で作業した場合を a, 涼音さん1人で作業した場合を b とおきます。すると共同で作業した場合の 1 日あたりの仕事量は
1 / a + 1 / b = (a + b) / (a b)
と表せます。共同作業で仕事を終えるまでの日数は、この逆数をとって
a b / (a + b)
となります。真理子さんだけで作業した場合は 25 日遅れるのですから、
a − a b / (a + b) = 25 [1]
という方程式が成り立ちます。同様に涼音さんだけで作業した場合は 36 日遅れるので、
b − a b / (a + b) = 36 [2]
が成り立ちます。[1] − [2] より
a − b = − 11 ∴ a = b − 11
これを [1] に代入して整理すると b の 2 次方程式が得られます。
b2 − 72 b + 396 = 0
これを解いて b = 6 と 66 を得ますが、題意から明らかに
b = 66 日
が正解となります。
解答33 A(ダイヤグラムを描きます)
よりスマートは解法があります。横軸に日数、縦軸に仕事量をとったダイヤグラムを描きます。
点 O と 点 M を結んだ線分が真理子さんの仕事進行線、点 P と 点 S を結んだ線分が涼音さんの仕事進行線です。この 2 本の線が交わる点から垂線を下した点 A と 点 O を結んだ x = OA の長さが共同作業で仕事を終える日数です。図より △OQS と △PQM は相似ですから、
x:25 = 36:x
が成り立ちます。よって
x2 = 900 ∴ x = 30
となるので、涼音さんが作業にかかる時間は図より
30 + 36 = 66 日
となります。
明らかに図形を使ったほうが簡単ですね。小学校で習う比の使い方は色々な問題で役立ちますので、時々は「この問題は比を使って解けないかな?」と柔軟に視点を変えてみることも大事です。算数には本当にたくさんの「数学的センス」が詰まっているのです。