(抵抗LED、トランジスタ、電解コンデンサー、ダイオード)
問題14 こばとちゃんとチーズケーキ [高1★☆☆☆☆]
こばとちゃん、涼音さん、真理子さんの目の前に美味しそうなチーズケーキが 2 つあります。こばとちゃんは屋根裏部屋からサイコロを持って来て、「今回はサイコロを振って決めますよー。 1 と 2 の目が出たら、こばとのものになります。 3 と 4 なら涼音さん、5 と 6 ならマリちゃん(真理子さん)ですよ。このゲームを 2 回やります。つまりたとえば 2 回とも 3 の目が出れば、涼音さんがケーキを 2 個とも取れるということです。公平だし、スリル満点でしょ」
と提案しました。しかし実はこのゲームには裏があります。こばとちゃんは予めサイコロに細工をしていて、 1 の目が他の目に比べて 2 倍の確率で出やすくなっているのです。
(1) こばとちゃんがチーズケーキ 2 つを獲得する確率を計算してください。
(2) 真理子さんは、こばとちゃんのサイコロがどうも怪しいと思いました。そこで自分で用意した普通のサイコロと、こばとちゃんのサイコロをそれぞれ 100 回振って、目の合計がいくらになるか比べて確かめてみることにしました。それぞれのサイコロについて、目の合計はおよそどれぐらいの値になると考えられますか。
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解答14(7 つの面を持つ仮想のサイコロを考えます)
解答の前に大まかな予測を立てておきましょう。もし普通のサイコロを使ったとしたら計算は簡単です。こばとちゃんがチーズケーキ 2 つをゲットする確率は 1/3 × 1/3 = 1/9 ですね。しかし、こばとちゃんはズルをしていますから、実際の答えはこの値より大きくなっているはずです。
(1) 細工されたサイコロを 7 つの面を持つ仮想のサイコロと考えると上手く解けます。
つまり 1 の目の出る確率が 2/7 、他の目はそれぞれ 1/7 と考えます。
すると、1 回目の試行でこばとちゃんがチーズケーキをとる確率は
[ 1 の目の出る確率] + [ 2 の目の出る確率] = 2/7 + 1/7 = 3/7
したがって、チーズケーキを 2 つ取る確率は
[1 回目でケーキを取る確率] × [2 回目でケーキを取る確率]
= 3/7 × 3/7 = 9/49
が答えとなります。ちなみに普通のサイコロを使った場合との比率は
[9/49]/[1/9] = 81/49 = 1.653
ですから、およそ 1.7 倍も有利になっているわけです。
(2) 期待値の意味を問う問題です。一般に確率変数 xi に対して 確率 P(xi) が定められているとき、期待値は
E(X) = x1 P(x1) + x2 P(x2) + …… + xn P(xn)
と定義されます。つまり 1 回の試行に対して「大体これぐらいの値がでますよ」という平均値を表しています。さっそく普通のサイコロの場合で計算してみると、
E = 1 × 1/6 + 2 × 1/6 + 3 × 1/6 + 4 × 1/6 + 5 × 1/6 + 6 × 1/6
= (1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6) × 1/6 = 3.5
となります。しかし実験によって確かめる場合、サイコロを 1 回振っただけでは 1 から 6 の数字が出るだけですから、期待値なんて分かるはずがありません。なるべくたくさん振って出た目の合計を求めて確認するしかないのです。真理子さんはサイコロを 100 回振りますから、
100 × 3.5 = 350
ぐらいの値が予想されます。しかし、こばとちゃんのサイコロの場合、期待値は
E = (1 + 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6) × 1/7 = 22/7 = 3.14
ですから、100 回の試行では
100 × 3.14 = 314
と明らかに異常な数値が出ることになります。普通のサイコロに比べて 1 が出る確率が増えている分だけ期待値が小さくなっているのです。こばとちゃんは真理子さんにがっちり叱られることになるでしょう。