こばとの数学基礎講座 15 対数計算で用いる公式
対数の概念を用いる大きな動機の1つとして、たとえば「 100 という数字を何とか 2 k のような形で表したい」という要求があります:100 = 2 k
26 = 64, 27 = 128 ですから、その数 k は 6 と 7 の間にあって明らかに整数ではありませんが、「それでもいいから、ともかく表したい」と我儘を言うのです。何とか
k = log2100
を求めることができれば、
と表記できますね。要はこの「肩に乗っている無理やりに作った指数」が「対数」なのです。しかし今の段階ではまだ計算することはできません。いくつかの計算規則を導いておく必要があります。今、R, S という2つの数を用意して、底を a とする指数の形に表せたとします:
そこで積 RS を作ってみると、指数法則により
となりますね。右辺の指数部分が RS の対数なのですから、
logaRS = logaR + logaS
という公式が得られます。新しい公式というよりは指数法則の書き直しですね。 R/S をつくれば同じようにして
logaR/S = logaR − logaS
を得ることができます。また R t をつくると、
ですから、
logaR t = t logaR
という公式も得られます。以上3つの公式をまとめておきます:
logaRS = logaR + logaS
logaR/S = logaR − logaS
logaR t = t logaR
logaR/S = logaR − logaS
logaR t = t logaR
それでは改めて log2100 の計算に挑戦してみましょう。
100 = 4 × 25 = 4 × 52
と分解できますから先程の公式を用いると、
log2100 = log24 + log252 = 2 + 2log25
と計算できます。あとは log25 を求めることができれば、求める値を得ることができますよ! ・・・・・・でもどうやって? 実はこれがかなりの難問なのです。対数計算において真数を素因数分解して何とか答えに近づいても、結局最後には「素数の対数」というものが残ってしまいます。「素数の対数」を計算することは避けられません。それには大学レベルの微積分の知識が必要となりますが、次回以降、このあたりの流れを難しくなりすぎないように丁寧に解説していく予定です。