グラフ全体の増加、振幅の増加、双方に寄与します
今回扱うのは f(x) = x (a − sin2x) という周期関数です。a に色々な値を入れて調べてみます。
f(x) = x (1 − sin2x)
a = 1 のときのグラフです。 1 − sin2x は 0 〜 1 の正の値をとるので x を乗じると 0 < x では正の範囲で振動し、 x < 0 では負の範囲で振動します。 sin2x については
という積分公式が成り立ちますが、偶関数なので区間を −π/2 まで拡張し、さらに全体を区間の長さπで割ると
という区間 [−π/2, π/2]における平均値が得られます。 sin2x は正の周期関数ですから、さらに拡張した範囲でもこの平均値は一定です。区間 [0, π] や区間 [0, 2π] でも同じです。したがって 1 − sin2x の平均値は 1/2 であることがわかり、そこに x を掛けることによって全体としては y = (1/2) x を基準とした振動関数であることがわかります。図中の緑色の細い線は y = (1/2) x を示しています。
f(x) = x (2 − sin2x)
a = 2 のケース。 2 − sin2x の平均値は 1 ですから、f(x) は全体として y = x に従って増加していくことになります。 2 − sin2x に掛かる x はグラフ全体と、振幅の 2 つの増加に寄与していることになります。
f(x) = x (1/2 − sin2x)
a = 1/2 とすれば sin2x の平均値 1/2 と打ち消し合って ( ) の中の平均を 0 にします。すると x が掛かってもグラフ全体の 1 次関数的増加はありません。 x は振幅の増加のみに寄与することになります。
f(x) = x (1/2 − sin2x + cosx)
最後はおまけです。 cos x を追加してみました。 cosx はもちろん周期 2 πで平均 0 の関数ですから、やはりグラフの y 軸方向へのシフトには寄与しませんが、振動の様子そのものは複雑に変えてしまいます。もはやグラフから直に判断することは難しいのですが、長さ 2 π( cosx が加わったことにより、先ほどまでとは測るべき定規の長さが異なることに注意!)では値の平均は 0 となっているはずです。