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2014年07月13日

初版帯付セヤケなし

増補版などを除いて、小生は初版にこだわっている。のちほど画像等で示そうと思っているのだが、本は売れ行きが好調であったり、何らかの学術賞をとるなどして重版がかかると初版の帯と異なる帯が装着されてしまう。そのため重版の帯は解説文が初版と異なるもになってしまうために、売り出すことが全面に出てしまうこともあり面白みがなくなる(が、もちろん重版がかかるということは、需要が高いということだから、それだけ社会のニーズがあるということ。将来の本の原資にもなるので、本が売れることはとても重要である)。重版がかかる前に初版を買わないと、新刊本屋のはしごをしないといけなくなるので、無駄なコストがかかる。そのため、できる限り発売日(中公新書の場合25日前後)に予約注文しておくと確実である(小生は現在そのようにして購入している。安定の定期購読)。

古本仲間のうちでは、小生は帯厨と揶揄されることが多いのだが、帯の存在証明とその意義について語ると不思議と納得をしてもらえる。その結果、帯には目をくれなかった古本仲間が知らぬ間に帯厨になっていたこともあるので、小生的にはマニアが語ればその熱気は伝播するということを森見登美彦の京都ワールドよりも狭い世界で実感はしている。その意味では今まで帯を捨てたり(ありえない!)、破いたり(信じられない)して本本体にしか興味のない人たちの存在は不可能性定理の証明ぐらい難しいと感じている。ということでそれは買い手である我々も作り手である編集部と著者でも同じで、熱気が重要なのである。その熱気ポテンシャルが伝わってくるのが、帯なのである。

帯には編集部が「この本を出すことは、私たちにとっての使命である」ということがひしひしと伝わってくる不思議な熱気がある。この熱気に呼びこまれるように、あの緑と白を基調にした中公新書を手に取る人も多いと想像する。中身は著者の熱気が込められ、二重の喜びがある。本棚に飾るためという理由で、セヤケのことを考えずに情けないデザインにしてしまった某K社のような改悪はせずに、むしろ帯を進化させたことでより付加価値を高めた中公新書の判断をほめたたえたい。

ビニカバ時代の中公新書の帯は、先日示したように紙の色帯である。ビニカバの内部に入っており、ビニカバが劣化して縮んだり、ビニカバがなくなってしまわない限り、セヤケに気を付けていれば基本的には状態はよいまま保持できる。普通カバーになってからは1500番中盤ぐらいまでは赤・緑・黄・オレンジ・茶色の5色で内容で色分けされていた。これらの帯は焼けやすくて、個人が暗所で保管したり、書店でもらえる書皮がないと簡単にセヤケしてしまう。小生は帯保存のために、グランジ紙もしくはトレッシングペーパーを巻いているのだが、紫外線対策にならず、昨日のエントリーに書いたように帯やけしてしまって買い直し無間地獄に陥ってしまったのが去年の話(この話はまたおいおいにでもしたい)。ものすごいコレクターはたぶん帯をクリアファイルに入れて丁寧に保管しているに違いないのだが、そうする勇気もないのでとりあえずこれらの帯のついているものは書棚の奥に入れている(ので、読みたいときに取り出すのに不便で仕方がない)。

1500番台から困ったことに帯にバラエティが出てきて、金帯(指紋が付くタイプ)やら蛍光オレンジ(紫外線の最大の敵)、小さい帯(これは保存に困る)と変遷し、現在の白帯と背に色で分類されるタイプに進化した。今のタイプはセヤケには強く、帯には大きな写真(たとえば『昭和天皇』あたりを見てほしい。若き日の昭和天皇の御写真が入れられている)とキャッチフレーズというスタイルが定着。もともと緑地のデザインなので白と調和する(ある種黒板みたいというつっこみはあるかもしれないが、意外と我々になじみが深い色合いなのかもしれない)スタイルになったことは素直に喜ばしいと個人的には思う。

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