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2014年07月11日

増補版など

中公新書を探すにあたり注意しなければならないのは、改版、増補版、増補改訂版など、初版とは内容が異なったり、改版されているものである。初版よりも見つけるのが難しいものもある。未だに見かけたことがないものも多く、入手できたときは本当にラッキーでもある。ただの重版ではなく、内容まで改変されているとコレクターとしては、改版が入った刷りで入手しなければならない。横田順彌さんの小説(『古書狩り』(ちくま文庫))に「書棚の奥」という短編に、重版をすべて集めるコレクターの話があるのだが、中公新書の量を考えると同じような気分になってしまう。それがいかに同じではないとはいえども。そしてその改版や増補版、増補改訂版には帯がついているのかなど、情報がないものもあり、ガチで中公新書さんのtwitter(https://twitter.com/chukoshinsho)に聞いてみようと思い、悶々としたこともある。

でもって通巻2000冊突破記念として無料配布された『中公新書の森 2000点のヴィリジアン』は、2009年前半期までの本のあらすじと内容紹介、そしてマニア泣かせだった増補版の有無についての情報を全て網羅しており、非常に重宝する必携の小冊子である。このおかげで改訂などの情報の全貌が明らかになり、集めるのがやや楽になったといえる。しかしそれでも厳しい本も多い。例えば写真にある森浩一『古墳の発掘』(中公新書65)は、昭和47年6月に第11版が出ており、その際に11版あとがきが新たに挿入され、古墳保護についての森先生の見解が記されている。このように初版と増補版では内容や中身が異なることがあり、内容の差異を比較するためにも出来る限り大きな改訂などがあった場合は入手すべきであると思う。ちなみに11版を入手するのは時間がかかり、先日偶然に神保町の@ワンダーの均一棚でたまたま運よく入手したことを付記しておく。

古墳の発掘

ビニカバ版だけではなく、増補版として出しなおしているものでも名著は多い。山室信一先生の『キメラ』はそのうちの1冊。最近では『日本の選挙』なんかもそうである。時間が経過し、内容が古びたり、新たな研究や知見のおかげで情報をアップデートしたおかげで解釈が新しくなることもあるだろう。内容が良い本であれば、増補版や改訂版などの措置をとってもよいと思われる本を、うまく世に問うている中公新書のセンスにはいつも畏敬の念すら感じる。



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