2017年09月29日
無症状の人に初期の腫瘍を見つけるために全身のCT撮影有用ではありません
2018年3月11日(日)に金沢で
第12回消化管先進画像診断研究会 (GAIA)を開催します!
豪華なセミナー、講演が実現できそうですよ!!
お楽しみに〜
PubMedから、今日のつぶやき − 82 −
Livingston CJ, et al. Choosing Wisely in Preventive Medicine: The American College of Preventive Medicine's Top 5 List of Recommendations. Am J Prev Med 2016;51(1):141-9.
さて、前回の続きです。
「予防・検診医療の無駄トップ5」の
その3「無症状の人に初期の腫瘍を見つけるために全身のCT撮影はやめましょう。」
についてみてみましょう。
分かりやすいように全身のCT撮影と書きましたが、
正確には全身撮影(CT, PET, PET/CT, MR)になります。
こうした全身撮影が罹患や死亡を下げるというデータ・根拠はありません。
研究報告(RCTや後ろ向き研究)では、
無症状者のうち64-86%の人が全身CTで何かしらかの異常を指摘され、
少なくとも37%の人が追加の検査をするよう指示されたとしています。
さらに追加検査を受けた受診者に最終的に利益になったのかどうかは
不明なことも問題だとしています。
全身撮影には多くの不利益があります。
1つ目に不必要(追加の検査や治療を要さない)な偽陽性。
2つ目に不必要な追加検査に伴うリスク
つまり、侵襲性のある追加検査に伴う偶発症発生や医療被ばくなど。
3つ目に増大する医療費の問題。
全身撮影を検診で実施することにより増える医療費の3分の1は、
なんと偽陽性に起因するそうです。
大腸CT検査に胸部CT検査を追加することにより
増加する医療費に見合う成果もないという研究もあります。
Hassan C, et al. Impact of whole-body CT screening on the cost-effectiveness of CT colonography. Radiology 2009;251:156-65.
医療費が増えてもそれに見合う、
健康上の利益を生み出すことができればよいのですが、
利益よりも不利益が上回る可能性すらある状況なのですね。
上記のように、健常者に対しての全身撮影検査が、
不利益よりも利益が上回る根拠がないため、
全身撮影すべきではないとしています。
そういえば、日本でも一時、任意型検診でPET撮影が流行りましたよね。
症状のある患者さんにおいて、適切な検査目的があれば問題ないと思います。
転移検索や原発不明がんの検索などなど。
でも健常者に対する検診(人間ドックであっても)として実施する場合には、
その不利益にについても十分に配慮がなされるべきでしょうね。
議論にはデリケートな部分もありますが、是非、皆様にもお考えいただけましたら幸いです。
この論文については、今日でおしまいにしますね。
最後に、先日ご紹介したパロディのオリジナル(Pharrell Williams の Happy)をご紹介します!
聞き比べてみると楽しいですよ〜
それでは、また。
原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27155735
ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。
★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
新しい精検結果報告書雛型が国立がん研究センター
研究班ホームページにアップされました。
精密検査に大腸CT検査が明記されるようになりましたよ!
http://canscreen.ncc.go.jp/pdf/3/yoshiki4_daicho.pdf
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★
★★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA-03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!
https://link.springer.com/article/10.1007/s00330-017-4920-y
PubMedにも掲載済みですよ
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28674967
委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。
<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。
<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。
<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。
<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。
<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
・精検目的の大腸CT検査の穿孔率は0.014%。
・穿孔率は術前検査目的に比べて検診目的で有意に低い。
・穿孔症例の81%では外科治療が不要。
・自動送気装置の使用は穿孔のリスクを低減する。
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メルマガタイトル:大腸CT検査アカデミー
http://www.mag2.com/m/0001679515.html
日本の大腸CT検査の知識のボトムアップを狙っています。
最新の世界の知識を身につけることで、患者さんに還元するのはもちろんですが、きっと新しい研究の芽も生まれると信じています。
皆でパワーアップしていきたいですね!!
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■読影トレーニングに関して重要なお知らせです。■
ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、自身の業務が膨大になってきたこともあり、残念ながら永続的に続けることは困難な印象です。
一方で、学会で認定制度の設立に向けた動きが活発化してきました。
そこで申しわけありませんが、読影トレーニングの個人的な実施は今年一杯までとさせていただきたいと思います。。
トレーニングのレポートの受付と解答送付は今年一杯までとさせていただきます。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。
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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28674967
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<読影>
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<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
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