2018年12月17日
ナースコールの闇
はじめに
ナースコールとは
介護施設や病院において
患者や入居者が
体調の異変や
用事を頼みたい時に
職員を呼ぶための機械です。
そこまでは良いのですが、
介護施設では
設置義務が有り、
認知症などの理由があっても
これを安易に外してはならない
決まりがあります。
お役所からも
指導されます。
外すのは
呼ぶ権利を奪う虐待だ
ナースコールは
入居者の心のサインだ
しかし、
多忙すぎる介護現場で
本当はなにが起きているのでしょうか?
真実の扉を開けてみましょう。
ナースコールの実態
ナースコールは適切に使えば
便利な道具です。
介護施設で問題になっているのは
「押しまくる人」
です。
認知症タイプ1
忘れてしまうことで何度も職員を呼ぶ人。
この行動は
不安や寂しさも含まれています。
認知症タイプ2
機械の意味を知らず何度もボタンを押す人。
目の前にあるから押す人や
「電気がつかない」など
違うものと勘違いして押し続ける人がいます。
認知症なしタイプ
寂しさや不安、介護施設をサービス付き宿泊施設で
介護職員を雑用がかかりと勘違い
している人が
頻繁に職員を呼ぶ
ざっとこの
3タイプ
が特養でボタンを押しまくる事例です。
ナースコールの対応が可能なのか?
ただでさえ多忙な介護職員ですが、
そもそも
このような鳴りまくるナースコール
に対応することは
物理的に可能なのでしょうか?
特養介護職員の仕事量は
殆どの場合
普通にこなせる量を超えています。
その中でのナースコール頻回。
まず鳴るたびに伺うことは
不可能!
です。
頻繁に呼ぶ人は
後回し
にするしかありません。
入居者の気持ち
認知症の人の心を知る
わかっています。
でも、
その裏で
ものすごく悪いことが起きています。
介護職員の心の壊れ方
機械で呼ばれること
機械で呼ばれることを
便利で効率が良い
というのは大きな勘違いです。
やったことがある人は
わかると思いますが、
機械で呼ばれるのは
無機質で
まるで自分が
ただの道具
のような気持ちになります。
そこまでは仕事だから
で仕方ないとしましょう。
今度は職員も
呼ぶ相手を
無機質な
物
のように感じ始めます。
呼ばれた理由をさっさと解決して
優先順位を考えて
心がどんどん
ドライ!
になっていきます。
期待に答えられないこと
職員だって本当は
対応したい!んです。
でも無理なんです。
一人で10人の対応です。
10人が効率良いタイミングで
読んでくれるはずがない。
トイレや食事
寝る、起きるタイミング
も人間だから
重なります。
それでも
辛い思いをさせたくなくて、
頑張って回っていると
半分位の人は
何も言いません。
「いそがしいね」と
行ってくれる人もいます。
でも
「遅い」
という人も必ずいます。
「なんですぐ来てくれないの」
人助けをしたくて
この仕事を選んだのに
無茶なほど仕事がたくさんある中
必死に走り回って
「おそい!」のクレーム。
純粋な人ほど
簡単に心が壊れます。
辛くて辞めるか、
心がドライになって
介護とはそういうものだと思って
入居者にドライになっていく。
機械的な問題
職員はナースコールを受信するための子機
を持っています。
しかしこれ、
複数受信できる機能が無い
場合が多いのです。
つまり
一人がとめどなく鳴らし続けると
ほかの人が押しても
受信できないのです。
なぜかというと
鳴り続けるナースコールを
数秒ごとに止めながら作業はできません。
だから職員は
そのまま鳴りっぱなしにしておくか
保留状態にして留めておく
のです。
だからほかの人が呼んでいても
受信できなくなります。
結果職員は
ほかの作業をしながら
ほかの誰かが読んでいないか、
離床センサーがなっていないか
など半分ほかのことを考えながら
業務に当たることになります。
ナースコールと職員の実態
職員を呼ぼうと思って呼ぶ人は
まだなんとか対応ができます。
そうでない人は
本当にどうしようもなくなります。
放っておくと押し続けるし
手の届かない所に置くと虐待と言われる。
でもどうしようもない。
職員はどうするか?
当たり前のことですが
バレないように
おさせない方法を考えます。
夜勤などでは簡単です。
ナースコールをどけます。
職員もわかっています。
いけないことだと。
でもどうしようもないのです。
こうして
職員の心はどんどん壊れていきます。
ナースコールの正しい使い方
ナースコールを正しく使えない人がいたら
施設長や主任などの上司を含め
会議を行うことが大切です。
施設長は特に
こういう実態がないか気を配り
絶対に頭ごなしに
「ナースコール外すなんて!」
ということを言ってはいけません。
職員は
「大変だ」
「きつい」
という曖昧な表現で訴えてきますが
そんな理由で外してもいけません。
物理的に無理な理由、
外すことが入居者に必要な理由
これが
どうしても外さなければいけない理由
として
誰もが納得できること
その後安易にナースコールが取り外されないこと
を考えて、それを提案します。
そして
家族とも話し合って
しっかりとした手順を踏んで
ナースコールを取り外します。
無茶なナースコール
これを放置しておくと
職員の心は壊れていきます。
さらに放置しておくと
不適切なケア
最悪、虐待など
寂しい介護が当たり前の
ドライな施設になってしまいます。
無意味にナースコールを維持することは
超多忙な業務の中で
職員のやる気も理想も
どんどん壊していきます。
この壊れた心を
修復するためには
研修や職員のフォローを
しなくてはなりません。
その時間も労力も
ものすごくかかるのですが
それでもナースコールは
効率が良いのでしょうか?
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