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2015年12月04日

もののけぞろり

もののけぞろり 高橋由太

もののけ、ぞろり (新潮文庫)

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  宮本武蔵の妹であった母を亡くした伊織は師匠でもあった武蔵の家で「造人事之書」を見つけ外法を実行してしまう。しかし失敗し弟の《鬼火》は白い子狐になってしまった。《鬼火》を人に戻すため外法使いを探して大阪夏の陣に巻き込まれる。

序 《鬼火》
 森の中を野犬に追われ逃げる伊織と《鬼火》。伊織は武器を持たず絶体絶命の中、自分を囮に兄を逃がそうとする《鬼火》と何があっても弟を守ろうとする伊織。
一 伊織
 母を蘇らせようと外法に失敗した日、武蔵の娘おこうに伊織は寸でのところで助けられ、おこうと同じく歩き巫女だったお通は行方不明となった。そんな回想から野犬のキャンという鳴き声で我に返る《鬼火》、伊織は棒きれで犬と戦っていた。そんな中おこうが村正を持ち、からくり人形で犬を蹴散らしながら現れる。形勢逆転臨戦態勢の二人だがユキが現れるとそれだけで野犬は逃げていってしまった。
二 家康
 気軽な態度で家康と接する伊織は小野忠明が外法使いではないかと駿府に来ていたがどうも違うらしいとがっかり。そこへ現れる白粉を塗り、紅い紅を差した真田幸村。一同ドン引きのなか気に入られてしまう伊織。白狐もほしがった幸村だったが断られると帰ってしまった。幸村は淀殿・秀頼が信長復活のために白狐を手に入れようとしているから《鬼火》をほしがったのではと言う。
三 ユキ
 陰陽師の娘ユキの繰り出す術を見て、ユキに《鬼火》を元に戻せないか聞く伊織。しかしユキは自分には無理だと言う。父なら或いはということだが天皇の側近においそれとは近づけず、世が平和になれば或いはということで家康の天下統一に手を貸す以外ないのかとため息。
四 淀殿
 大阪夏の陣、大阪城を落とす寸前の家康と供に来ていた伊織、鬼火、おこうの前に現れる淀殿。その正体はおこうの母お通だった。淀殿が白狐を集めていたのは鬼火を人の子に戻すため。
五 秀頼
 おこうたちに宥められ帰ろうとしたお通だったが現れた幸村に刺されてしまう。その傍らには秀頼がいたがその雰囲気は禍々しく中身はお通によって半端に蘇生された織田信長であった。屍を使い森蘭丸も復活してしまう。お通を殺そうとする信長だったがユキが仕事の時間だとおこうを呼びに間に入る。
六 蘭丸
 ユキにあっさりと払われる蘭丸。そしてユキはおこうとお通を連れて帰ってしまう。
七 幸村
 戦国の乱世をもう一度と望んで信長の復活に手を貸していた幸村だったが、家康を乗っ取って手っ取り早く天下を取ろうとしたことに興ざめ。信長が今度は秀吉を蘇らせるが今度は伊織の村正に屠られた。
八 九尾狐
 秀吉との戦いでボロボロの伊織に襲い掛かる信長、兄の窮地に巨大化し九尾の狐になる鬼火。その暴走を止める為、力を振り絞り信長を討ち果たす伊織。
終 顛末
 幸村は平和になれば鬼火が人の子に戻るかもしれない、そしたらきっとかわいい男の子の鬼火と遊べるかもと言う気持ちの悪い発言の元、去って行く。
おまけ 佐助の恋
 おみくといい感じの佐助を解任してあげて所帯を持たせてあげようという幸村。

 最後の最後まで伊織の強さがいまいち光らないまま進んで結局誰が一番強いのかも分からず仕舞い。登場人物はみんな気だるげで戦い自体の深刻さはどこ吹く風、自分たちそれぞれの目的の為にしか動いておりません。コメディーとして読むのが正しいのか迷うところですがテンポが速くライトで面白いです。
 巻末で解説がハガレンのオマージュ的なことを書いてて、まあそう言われればという気もしますがそんな感じは個人的にはしませんでしたね、読んだ時期的な問題かもしれないけど。むしろ同作家作の他作品に太山府君などの記述もあるのでそういうのが好きな作家さんなのかな、と言う印象でした。

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posted by 那由他 at 17:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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