2015年09月15日
けさくしゃ
けさくしゃ 畠中恵
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実在の戯作者・柳亭種彦を主人公に、まだ柳亭種彦になる前の高屋敷四郎知久(通称・種彦)が知り合いの困りごとから身に降りかかる災難を戯作を作ることでその背景を露にして解決していくミステリー。
戯作の序 これより、始まり、始まり、となりまする
登場人物紹介と戯作者、版元、江戸時代の本の種類などの説明。
戯作の一 運命の者、歩いて玄関よりいたる
種彦は連の集まりで山青堂に目をつけられ本を書かないかと持ちかけられるが、時はお江戸、下手に本など書けば処刑されかねないと断る。
元は貸し本屋の世話役をやっていた山青堂だったが実質その仕事を取り仕切っていた手代の長介が辞めてしまうので貸し本屋の世話役はもう無理だと、だから絵草子屋をやりたいと粘られ、その話を聞いているうち種彦は長介の話で戯作を作って聞かせると長介は血相を変えて出て行く。
手代を辞めてお仙という娘と団子屋をやりたい長介に長介は騙されているという話を作った種彦、それを面白がる山青屋は足を突っ込んで…。
戯作の二 世の中、義理と付き合いが、山とありまして
戯作の一での出来事を勝手に「お江戸三人物語」として本にして自分の名を作者として記した山青堂にキレていると上役の久次郎がその一冊しか作っていない「お江戸三人物語」を持参して現れ、この話が事実を元にしていること問題を解決したことを聞いたという。
それで解いてほしい謎があるのだと話をもちかけられる。
久次郎の上司であるところの酒井には娘が居たが夢見がちでいろんな男に言い寄られては付き合い、別れを繰り返しているうちに孕み子を産んで体調を崩し死んでしまう。その娘が残した恋の歌の意味を考え候補が三人のいる中、誰が父親なのかを突き止めなくてはならなくなる。
戯作の三 羨ましきは、売れっ子という名
巷で「お江戸出世物語」という本が大層人気になり、種彦と妻の勝子もその本を楽しんでいた。しかし本の作者は覆面頭巾となっており誰なのか版元・桂堂以外は誰も知らない。
そんな中、種彦のところに石川伊織と言う四千石のお旗本が訪ねてくる。なんでも勝子の祖父の縁のものが伊織の妻の父であるという。その妻が話題の本のファンであり、その本の作者が朽木という人物かも知れないので、種彦と同じ連仲間のその御仁のことを聞きに来たらしかった。
一方、種彦はとうとう戯作の一でのお仙の話を「恋不思議江戸紫」という題で出版する決心をした。その伝で覆面頭巾のことを関係者に聞く機会も出来たが一向に正体は分からず、そんな中、勝子が覆面頭巾だという真しやかな噂が流され種彦と勝子は大変な目に遭うことに。仕方なく、勝彦は本当の覆面頭巾の正体を本腰を入れて探りはじめる。
戯作の四 難儀と困りごとと馬鹿騒ぎ
「恋不思議江戸紫」が重版(今で言う盗作)であると上方の版元に訴えられ呼び出された種彦と山青堂。どうも相手の言い分におかしなところがあるのを突いてその場は難を逃れるが、どうやら上方の出版関係者によって江戸の版元や貸し本屋が次々と訴えられたり言いがかりをつけられたりとしているらしかった。
なぜそんな騒動が起こっているのか巻き込まれた種彦は大本の問題を明らかにしようと版元たちを連れ立って上方の版元たちと対峙しにいく。
戯作の五 いや、恐ろしき
風邪をこじらせた種彦、病床に臥せっている間に湯屋でお上を批判したものが居たようで奉行所の役人に疑われたがあっさりと疑いは晴れる。しかしその後、版元、絵師などに次々と疑いが向くうちに種彦も犯人が誰かを探し始める。
そして明らかになる出来る中間・善太の正体。
戯作の六 明日が知れぬ世であれば
種彦の書いた戯作は当初、あまり売れずに沈んでいたが何故か突然売れ始める。
そして巻き起こる騒動。騒動の元凶であるとされた種彦に出版関係の仕事をしていれば打ち首になりかねなかったこの時代、命の危機が迫る。
戯作の終 これにて終わりますると、ご挨拶申し上げ
柳亭種彦、略歴など。
結構、分厚い本だったので長くなってしまいました。
命がかかっていたり人死にがあったりしますが、全体的には武家でありながら腕っ節のとんと弱く妻のお勝が大好きな種彦、万能な中間の善太、狸と称される版元とその周りの出版関係の人々などが繰り広げるドタバタコメディー、楽しいです。
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