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2015年07月02日

猫の手、貸します 猫の手屋繁盛記

猫の手、貸します猫の手屋繁盛記 かたやま和華

猫の手、貸します 猫の手屋繁盛記 (集英社文庫)

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 半猫になってしまった武家の嫡男、近山宗太郎。人に戻るため善行を積むべく長屋で「猫の手屋」を営むミステリ人情時代劇。

<迷子地蔵>
 人間サイズ、羽織袴に刀を提げた猫姿の宗太郎。周りからは「猫先生」と呼ばれ長屋の面々に世話を焼かれたり面倒な仕事を積極的に引き受けながら暮らしている。
 表店「つるかめ」の女将お軽はふらふらしている旦那への鬱憤をもって宗太郎の部屋へやってくる。それを追ってきた旦那とやいのやいのと喧嘩をしていると同じ長屋の文字虎が子虎を抱いて現れ騒々しいと文句を言う。そんな騒がしい中でお軽の娘、妙は小さい弟二人を連れて両親をたしなめる。
 そんなしかっり者の妙が、ある日猫の僧の格好をした偽托鉢僧が来た時に、それに他の子供たちとついって行ったきり行方不明になってしまう。
<鳴かぬ蛍>
 大伝馬町の太物問屋三枡屋の主人で宗太郎の住む三日月長屋の地主、平左衛門。大家からその人の持つ寮で幽霊が出るらしいから調べてほしいと頼まれる。
その依頼を引き受けた宗太郎はその寮へと向かいボロボロのその家に一晩泊まってみると蛍が飛んでいた。これの見間違いだろうと平左衛門に言いに行くが、どうにも解決した気がしない。そうして調べるうち蛍の見間違いでもなく幽霊でもない、事の真相が見えてくる。
<思案橋から>
 どうして宗太郎は半猫になったのか。
 半猫になった日、出会った黒い猫又とその日と同じ思案橋でしゃべっていると半猫から完全な猫にされてしまう。
 猫にされた宗太郎は淡雪の真っ白な姿であることで、小間物やの先代の妻お染に「お花」と言う猫と間違われてしまう。罪の意識からお花を探すお染に宗太郎は何が出来るかと考える。

 白くてもふもふしている宗太郎に猫好きの平左衛門や鼠除けの依頼が来るたびに猫絵を頼みに行く国芳にやたら触られるが、元が只の成人男性である宗太郎が嫌がるのが笑える。そして自分は半猫なのに猫が苦手なのも可笑しいところ、しかし完全な猫にされてからは猫への苦手意識はなくなり、国芳の過剰なスキンシップに猫たちへ同情までするように。
 許婚との祝言を待たした状態での隠れ長屋暮らし、人には戻れなかったので続きがあるのかな。



不思議絵師 蓮十<一>
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posted by 那由他 at 14:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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