2011年07月27日
ジェームズ・キャグニー特集 5
さあ、ジェームズ・キャグニー特集、今回はこれで完結編です。
このコメントが終われば、とりあえず、今、新品で入手可能なキャグニーのDVDは全て、紹介したことになります。
それでは、最終回をどうぞ!
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¥3,698から
(2011/8/1 10:18時点)
↑ ジュネス企画の新商品です(^^) 『真夏の夜の夢』。
私は、先行予約で入手しました。
製作されたのは1930年代の半ばですが(ちなみに白黒映画です)、DVD盤で販売されるのは、これが初めて。
トーキー初期の映画としては、初めてのSFXを駆使した、『オズの魔法使い』にも劣らぬファンタジー・ミュージカルに仕上がっています。
タイトルはご存じのとおり、イギリスの劇作家シェークスピアの戯曲が原作です。
妖精の悪戯で、キャグニーの顔がロバに変えられるので、彼の演技を十分楽しみ尽くすには不利な映画ですが、例えば、その顔が無事に元に戻った後の、喜悦と感動の余り、体の全身という全身が細部まで身震いする様の表現は、さすがに、若い頃からこの人は演技の達人だったんだなぁ、と驚嘆せざるを得ませんでした。
映像の特殊効果やSFXの多いミュージカルなので、キャグニーのファンであるというより、『キングコング』で有名なオブライエンとか、ハリーハウゼンの映画が好きな方にお勧めかも知れません。
例えば、森の妖精たちの登場シーンにしても、小悪魔の男の子が箒に跨って空を飛んでいくシーンにしても、ただ、斜線に飛び去っていくのではなく、ぐるぐると螺旋を描きながら夜の雲の中へ飛翔していくのですね。
こうした映像をトーキー初期の白黒映画で観た時の感動。
今の映画で全く同じことをやって満足していたら話になりませんが、1930年代という映画それ自体がまだ新しい可能性を模索していた草創期において、既にこのようなシーンが創造されていたという事実には、驚嘆もするし、純粋な感動も呼び起こされるわけです(^^)
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↑ ジェームズ・キャグニーの引退作、『ワン・ツー・スリー』です。
1930年代の初頭から、1960年代の半ばまで、休むことなく、仕事を続けた大物俳優です。
何せ、サイレント時代からエキストラとして映画に出ていたわけですから(しかも、サイレント時代の映画界ほど、乱暴でアンダーグラウンドで、内部の奥まで闇に隠されていた業界や団体は当時、ほとんど存在していなかったわけですから)、この年代になる頃には、さすがの彼も、内心、疲れていたのではないでしょうか?
本作、『ワン・ツー・スリー』の出演を機に、キャグニーは、ハリウッドのショービズ界を正式に引退します。
きっと、男の花道だったのでしょうし、ビリー・ワイルダーという名監督の果たした役割も大きかったのでしょうね。
先に紹介した『栄光何するものぞ』や『ミスタア・ロバーツ』に比べ、この映画、『ワン・ツー・スリー』は、格段に良い出来ですよ(^^)
中味は、コメディ映画ですが、この頃には、60代を過ぎていただろうキャグニーの背筋も依然としてピンとしたままですし、声を張り上げながら、台詞を早口でまくし立てるのも本当に巧い。
チビ、デブ、禿げの三要素が揃っているのに、ここまで格好良い男は、キャグニー1人だといえるくらい、役にハマっています(^^)
老いぼれた男のその漲った気迫は、『栄光何するものぞ』で、整列した若い青年将校たちの前で号令を放つシーンや、軍隊内での恋敵を相手にして、旧式ボクシングの型を構えるシーンでも充分に感じることが出来ましたが、
演出の雄、ビリー・ワイルダーの手に掛かると、どこにも肩肘を張ることなく、キャグニーのその勢いを楽しむことができるのです(^^)
さすが、『アパートの鍵貸します』でアカデミー賞五部門を獲得した監督です。
キャグニーの引退作品は、まさにこの監督が最後で、大当たりだったでしょう。
ちなみに、クライマックスに近い場面では、迫力のカーチェイスをシネマスコープで楽しめるので、そのスタントシーンも見所です(^^)