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汚れきった世界で、憤りを感じている若者に訪れる「罪の裁き」と 「権力者に操られる」という逃れられない人生を芸術的な描写で描く現代に おける風刺的な物語。

皆さんこんばんは。
最近、関西のテレビチャンネルの割り当てと、関東のチャンネルの割り当ての違いに、なかなか慣れる事が出来ず、テレ朝がどのチャンネルか分からず、リモコンを持ったまま意識的に考えてしまう僕がお送りするNO,movie NO,life!!のお時間でございます。



さて今夜ご紹介する映画は、前回お送りした「シャイニング」のスタンリー・キューブリック監督作品「時計じかけのオレンジ」でございます。
実は、以前リクエストがあったので、今回この「時計じかけのオレンジ」を見てみたんですが、一言で言ったら、内容を理解するには、なかなか難しい作品だな、と思いました。
ま、詳しい事は、後程書くとして、とにかく様々な暴力描写があるにも関わらず、バックに流れる音楽がクラシックであったり、性という存在をHな雰囲気の描写で描かずに、作品の中にある一つのオブジェクト的な存在いわば、芸術として扱われているのが、印象的だったんです。

本作は主人公の少年が一人称で語る形式で物語が進行していくんですが、この手法によって主人公であるアレックスの過去を共に辿っていく事で、より彼の人物像や周囲で起こる展開を、作品内でリアルに感じ取る事ができるんですね。

それではここで、暴力やセックスなど、欲望の限りを尽くす荒廃した自由放任と、管理された全体主義社会とのジレンマを描いた、サタイア(風刺)的作品、「時計じかけのオレンジ」のストーリーをご紹介しましょう。

ロンドンの都市。
秩序は乱れ、治安状態は悪化し、性道徳は退廃の極にあった。
そして町には夜な夜な少年ギャングの群れが横行していた。
これは、そんな少年のひとり、強姦と超暴力とベートーベンだけに生きがいを求めるアレックスの物語である・・・・。

15歳のアレックスを首領とするディムとジョージーの一味は、その夜も街で暴れ廻っていた。
まず手始めとして、酒ビン片手に橋の下で酔いつぶれている1人の老いた浮浪者を、ステッキやコン棒で殴ったり蹴ったりして袋だたきにし、その後暴虐の限りをつくして爽快になった彼らは、
別の獲物を求めて去ってゆく。
荒れはてたカジノの舞台では、ライバルの非行少年グループの一団が、1人の女性の衣服をはぎとり暴行しようとしていた。
そこへアレックス一味が殴り込みをかけ、大乱闘のあげく、敵の首領に傷を負わせてしまう。

さらにアレックス一味は、スポーツカーを駆って突っ走った後、やがて郊外の邸宅にやってきた彼らは、覆面を装着し、ずかずかと他人の家に押し入り、暴力活動を開始した。
主人の作家アレクサンダーの眼の前で奥さんの衣服を切り裂き、凌辱に及んだのだった。
こうして彼らの一晩は終わり、アレックスは大好きなベートーベンの第九交響曲を聴きながら幸福な眠りにつく・・・・。

そんなある日、ささいなことから部下のディムとジョージーが反抗するという事態が起こる。
しかし、アレックスは暴力で彼らをねじ伏せ、服従させてしまう。
そして、アレックス達は、猫をいっぱい飼っている猫夫人の家に押し入り、彼は夫人ともめている
最中に勢い余って殺害してしまうのだった。
不安に駆られたアレックスは、警察が到着する事態も恐れ、外で待機している仲間の所へ向かうが、アレックス以外の仲間は、飛び出してきた彼の目に向かって液体を浴びせ、悶えている彼を残しその場を後にしてしまう。

そう、アレックスを裏切り警察に売ってしまったのだ。

警察に捕まってしまった彼は、刑務所で聖書を読む模範囚になった。

その頃、政府は凶悪な犯罪者の人格を人工的に改造する治療法を行なう計画を進めており、
アレックスのちょっとした言動により、その実験の第1号として選ばれたのだ。
それは特殊な覚醒剤を注射した上で衝撃的なフィルムを見せ、そのショックから生理的に暴力やセックスが耐えられないような肉体に改造するといった実験だった。

連日にわたる絶望的で目を背けたくなるような過激な描写ばかりが映し出されるシーンも、瞼を
針で固定されている為、閉じる事が出来ず無理やりにでも、目の中に映像が入ってきてしまう・・・・
この拷問とも呼べる実験が彼の気持ちとは裏腹に無情にも毎日続けられたのだった。

そして、治療の結果を公開実験する日がやってきた。

アレックスが舞台に上ると、1人の男が彼に乱暴を働いた。
殴り返そうとしたアレックスに吐き気がもよおしてしまう。
そして、全裸の女性が舞台に上がっても以前のような行為を求める事も出来ず、大好きだった音楽を聴いただけでも同様に激しい吐き気が彼を襲ってしまう。

そう、以前彼が、自ら望んでいた悪の行為に対して体が拒否反応を起こしていたのだった。
この実験の後、おとなしい無害な人間に変わった彼は釈放される。

しかし、彼が犯した過去の償いの代償が、その後のアレックスを肉体的・精神的に苦しめるのであった。

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さて、今回お送りしている「時計じかけのオレンジ」なんですが、僕が最初に見て思った事は、
アレックスを通して描かれる「消す事が出来ない様々な罪の代償」というテーマがあるように思えたんです。
僕の視点なんですが、この作品で一番の転機は、実験前のアレックスと実験後に何もかも変わってしまったアレックスの存在を描いている部分なんです。

映画の冒頭で彼は、15歳の割には様々な過激な悪の行為を行うんですが、その罪の代償が実験後に善人と成り果てたアレックスに降りかかるんですね。
この事に気づいた時は、違う意味で彼がとても可愛そうだなと感じたんです。
勿論、自分で犯した行為なので、簡単に言えばアレックスが復讐されても仕方がないんですが、ここで肝心なのが、彼が悪の行為をしていた時の記憶が、実験によってすべて消されているという事なんです。
言い換えれば、復讐をなぜされるのか、アレックス自身まったく理解していないまま、痛い目にあってしまうんですね。
これはこれで、やっぱりアレックスが可愛そうだな、と思っちゃいますね(笑)

そして、先ほど書いた僕の中で感じた、今作のテーマとも思える「消す事が出来ない様々な罪の代償」を観客に訴えかける意味としても、上記で書いたアレックスの実験前・後の感情変化はとても重要な存在になってくるんです。

なぜかと言うと、もし実験後も悪の感情が残っている状態で復讐されても、何らかの抵抗はすると思うんです。
例えば、殴り返したり、さらに過激な暴力で責めたりなど・・・・でも、復讐される時点での彼の感情は悪の存在が消え失せ、善人そのものなんです。
過去に無抵抗な人間に対し暴力を振るい、その後、今になり彼らに復讐される時にアレックスは無抵抗のままにやられてしまう・・・・。
この全く逆のパターンを過去と今という時間軸を上手く利用した手法により、上記で書いたテーマを
より、具体的かつ鮮明に訴えかけているのかな?とも思えたんですね。

そして、他にも思えるのが人間の持ち合わせている「絶対的な感情」は誰にも止められはしないという事も感じれる作品でもありました。
例えば、アレックスの場合だと、物語の前半では、自分の思うがままに感情を抑制する事無く、悪の行為を繰り返し、実験の後になると、今は記憶にない過去の罪の報いを知らず知らずの内に受けてしまい、やり場のない孤独と悲しみに堕ちてしまう感情・・・・そして、全編を通して彩られるベートーベンを始め、作品のテーマとは、全く正反対に感じてしまうクラシック音楽の数々、これらの相対的な存在を同じ空間で演出する事で、アレックスが常日頃考えて、心の中に潜んでいる善悪に対して美化している思い、言わば「美しさ」という感情表現も描かれていると感じたんです。

あと、アレックスは結局、世の中の歯車になってしまった・・・・という印象も受けたんです。
作品の冒頭、言い換えれば彼は、自分が世界の中心で生きているかのような描写で描かれているんですね。
でも、殺人を犯し刑務所に入り、そこで運悪く人間の道徳として判断する感情を失う実験台にされてしまい、勿論、彼には「自分自身の更生の為」と言われながらも、実際は政府などの権力者にいいように操られてしまった・・・・というのが事実なんです。

なので、彼の中で自分が世界の支配者という思惑を、観客に対して表現する為に、前半で描かれている過激な暴力描写や全編で語られる彼の一人称としての進行が用いられたと思ったんです。
でも、「実験に耐え抜いたら釈放という」好条件に彼が乗ってしまった為、政府や権力者に知らず知らず実験台として利用されてしまったんですね。
僕が思ったのが、タイトルにもなっている「時計じかけ・・・」という意味は未来におけるアレックスを語り部にする事で過去の出来事を観客に伝え、そして今に遡ってくる・・・この時間の流れを直に感じさせる意味でも、上記のタイトルが選ばれたのかな?とも思ったんです。
「オレンジ」に感じては、分かんないですね(笑)
もし、この作品をご覧になった方がいたら、是非感想を教えて欲しいですな。

そして、忘れてはならないのが本作の主人公・アレックスを演じるマルコム・マクダウェルの怪演なんです。
狂気とも思える悪の行為を繰り返している彼の演技は、一度みたら印象に残る事間違い無しなんです。
特に僕が見てて印象的だったのが、帽子を被り彼が車を運転しているシーンで、徐々に帽子の中へ顔を隠していく演出があり、最後は、アレックスの白目だけしか、映し出されなくなってしまうんです。
このシーンを見た時に、彼の中に存在している「悪の根源」を見せつけられたような感じになりましたね。
あと、彼が民家を襲う際に、インターホンを鳴らすんですが、この時彼は、ベートーベンの「運命」のフレーズ「ダダダダーン」とリズムよく鳴らすんです。
この演出は、善人になったアレックスの時でもおこなっていたんですが・・・・このような細かな、部分でも彼が「クラシックを愛し、特にベートーベンをこよなく愛していた」という事実も伺えるんですよね。
実験後に、彼が愛してやまないベートーベンを聞いた瞬間に、体が拒否反応を起こし、吐き気を催してしまう・・・・彼の立場からしたら、善人に変わったとしても、結局は「罪の裁き」を受けないといけない・・・しかも過去に犯した人間からの復讐も受けないといけない結果になってしまう、やっぱり少し可愛そうな感じがしますね(笑)

少し話が戻りましたが、アレックスを演じたマルコム・マクダウェルは見ていて、どのシーンでもアレックスという人間に潜む悪と善を見事に演じていた部分が、一言で「凄いな」という印象を感じたんです。

そして、登場人物と言えば、アレックスが二度目に作家の家を訪れたときに登場するマッチョな男は、「スターウォーズ」に登場してくる人気キャラクターダース・ベイダーの中身を演じたデヴィッド・プラウズであったんですね。
なかなか、マニアックな情報でした(笑)

「シャイニング」同様、やはりスタンリー・キューブリックの色が満載の世界観になっている作品ですね。
個人的には、今作の方が「異色な世界観」という分類では、ズバ抜けています。

最後に、僕が思うこの作品のまとめとしては、「過去に犯した罪からは、誰も逃れる事ができず、例え善人として心身共に変わったとしても、世間はそれを認めず、罪人に復讐する者、自分達の利益の為に利用する者、そんな汚れきった世界に存在する哀れな15歳の少年の物語」というのが、初めて見た僕の感想です。
このような内容は映画の世界だけに限らず、僕達がいる今現在にも何処となくあてはまる部分も少なからず重なっているのではないでしょうか?

あと、年齢が上がるに連れてまた今作に対しての感想が変わってくるかもしれませんね、そんな映画なのかもしれません。

完全に管理された未来社会で、あまりあるエネルギーをもて遊ぶティーン・エイジャーの理由なき反抗を、奇抜な芸術的センスで描く作品、「時計じかけのオレンジ」。

是非、ご覧あれ。

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