本日は中山七里氏の「笑え、シャイロック」を取り上げてみたいと思います。
中山氏のミステリーは定評のあるところですが、今回は銀行、しかも債権回収が
舞台のミステリーという事で、大変興味を持った次第です。
ところ行と云えば最近は、池井戸潤氏の「半沢直樹」シリーズがすっかり人気とな
っていますが、本書もそれに劣らず、半沢シリーズとは又異なった視点での、
銀行物といえるかも知れません。
舞台は帝都第一銀行渉外部。債権回収のプロ山鹿の部署に、入社3年目の結城
が新規に配属されたところから始まります。結城はエリート意識が取れず、渉
外部への配属を左遷と受け取り、やる気喪失の状態。イヤイヤ先輩の山鹿につ
いて債権回収の現場に飛び出しますが、数々の債権回収を実践していく中で、
山鹿の実践的な手法に触れ、山鹿の銀行マンとしてのすばらしさ、債権回収の
意味合い、債権者への配慮などに目覚めていきます。また、ここでの具体的な
債権回収の事例が、とても興味深い。
そんな駆け出しの中、突然山鹿が殺されてしまうという事件が勃発。犯人は山
鹿の債権回収を恨んでの犯行と思われますが、人物の特定はできないまま、山
鹿の業務を結城が引き継ぐ事になります。結城自身も後任は重荷と感じていま
したが、山鹿の無念を考えれば、自分がやるしかないと腹を決めます。
不良債権の海江田物産、新興宗教の奨道館、前国会議員の椎名武郎、最大の難
敵、指定暴力団宏龍会のフロント企業「アーカル・エステート」と山鹿の残し
てくれたデータや手法を駆使して挑んでいきます。
ここでも海江田物産では、社長の覚せい剤使用を利用したり、奨道館では信者に
読経のCD−Rを販売したり、国会議員の債権回収では捨て値の新人画家の作品を
大化けさせたりと、奇想天外な手法で乗り切ります。
そしていよいよ最後のアーカル・エステート。相手はヤクザだけに今までのよう
に手法だけでは通用しない事もあり、上司の樫山部長も同席させ、更に身の安全
策の為に、山鹿氏事件で知り合った刑事の諏訪まで引きづり込んだ、大芝居を打
ちます。さて55億円の債権回収は成功するのか、又、山鹿事件の真犯人は本当に
見つかるのか。ここから先は読んでのお楽しみ。
債権回収の中身には,多分に奇想天外が部分が小説なのでありますが、銀行内部の
軋轢や回収を含めた銀行業務の考え方、そして銀行マンとしての教示など、仕事
という面からみても、参考になる作品かと思います。それでは又。
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