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2018年02月14日
長い文は分かりにくい
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本日も、新聞記事の書き方について続けます。
一文は短く、簡潔に書くべきだということは、多くの人が言っています。私もこのブログで書いてきました。
しかし、実際に新聞を見ると、必ずしも短い文章ばかりではありません。
むしろ、何行にも渡る長い文は珍しくありません。
その典型例が、次のような記事。これは韓国の朴槿恵前大統領をめぐる問題の裁判に関する東京新聞の記事です。クレジットは省略しています。
韓国の前大統領、朴槿恵(パククネ)被告(66)=公判中=による巨額贈収賄事件に関連し、ソウル中央地裁は十三日、朴被告の友人で、収賄や職権乱用などの罪に問われた崔順実(チェスンシル)被告(61)に懲役二十年(求刑懲役二十五年)の実刑判決を言い渡した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201802/CK2018021402000137.html
この一文は120文字余り(人名の読み方も含めているので、紙面ではもう少し短くなります)。事件、司法関係の記事はこの例のように、どうしても最初の一文が長くなってしまいます。
要素としては、「裁判所が朴前大統領の親友に対して、収賄罪などで懲役20年の判決を下した」ということです。
しかし、最低限の修飾語を付け加え、固有名詞を正確に書くと、長くなることは避けられません。全紙をチェックしたわけではありませんが、私がざっと見たところ、この裁判に関しては、どの新聞も東京新聞の記事と似たり寄ったりの書き方だと思います。
では、次の例はいかがでしょうか。産経の「前重慶トップ 収賄起訴」の記事です。
中国の最高人民検察院(最高検)は13日までに孫政才・前重慶市党委書記(54)をめぐる汚職事件の捜査を終結し、身柄の移送を受けた天津市人民検察院第1分院が孫氏を収賄罪で起訴した。国営新華社通信が同日伝えた。http://www.sankei.com/world/news/180213/wor1802130031-n1.html
この記事も司法関係なので、最低限の要素を盛り込むと短文で書き表すことは困難です。
しかし、この文章はもう少し工夫できると思います。
この記事には、一つの文の中に主語が二つあります。ここが問題です。
「最高人民検察院(最高検)は」と「天津市人民検察院第1分院が」という、多くの日本人にとってはなじみのない検察機関名が出ています。
さて、この文で重要な主語はどちらでしょうか。
「最高検が捜査を終結した」と「天津市の検察組織が収賄罪で起訴した」では、どちらがこの記事の本筋に関わる内容でしょうか。
明らかですね。見出しがすべてを物語っています。
他の新聞の記事を見ると、例えば、日本経済新聞と共同通信はそれぞれ次のように書きました。
中国の最高人民検察院(最高検察庁に相当)は13日、天津市人民検察院第一分院が前重慶市トップの孫政才・前同市共産党委員会書記を収賄罪で起訴したと発表した。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26845630T10C18A2FF2000/
【北京共同】中国の最高人民検察院(最高検)は13日、天津市の検察当局が重慶市トップだった孫政才・前同市共産党委員会書記を収賄罪でこのほど起訴したと発表した。https://this.kiji.is/335990187991516257?c=39546741839462401
いずれも「最高検は、天津市の検察が前重慶市トップを起訴したと発表した」という文型ですね。
「最高検は捜査を終結し、天津市の検察が前重慶市トップを起訴した」という産経型よりも分かりやすいと言えます。
ただ、厳密に言うと、日経も共同も一文の中に主語と述語が二つずつあります。
朝日新聞はさらに簡潔に表現しました。
中国検察当局は13日、孫政才(スンチョンツァイ)前重慶市共産党委員会書記を収賄罪で起訴したと発表した。昨年、党籍剥奪(はくだつ)と公職追放の処分を受けた孫前書記は、刑事事件として裁きを受ける。https://digital.asahi.com/articles/DA3S13358173.html
朝日の書き方のように、「最高人民検察院」を一切書かないというのは外国の組織名なので許されると個人的には思います。こう書くと分かりやすいのは間違いありません。そして、他社が1文で書いたところを朝日は二つに分けました。非常に分かりやすいですね。私は朝日の書き方を支持します。
ただ、やはり「最高検」という重みを考えると、事件を正確に記述するためには、この部分を省略するべきではないという判断の方が、業界では大勢だろうと思います。
このように分かりやすさと正確性は二律背反になることがしばしば起きます。
おそらく産経の記事が最も正確なのだろうと思います。最高検が捜査をしていたのでしょう。しかし、分かりやすさで言えば、朝日→日経・共同→産経の順になります。
結局、正確な文章を書くことが目的なのか、自分の意図を伝えることが目的なのか、ということになります。
卒論を書くときなら正確性が重要でしょうが、入社の志望動機を書くなら分かりやすさが優先でしょう。
皆さんもご自分で文章を書くときは、ものごとをだらだらと書くのではなく、一つの文の中には主語と述語を一つだけにするように心がけてください。
でも、私もこのブログで漫然と書いているときがあるような気がしますね。反省します。
引き続き質問をお待ちしています。
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むしろ、何行にも渡る長い文は珍しくありません。
その典型例が、次のような記事。これは韓国の朴槿恵前大統領をめぐる問題の裁判に関する東京新聞の記事です。クレジットは省略しています。
韓国の前大統領、朴槿恵(パククネ)被告(66)=公判中=による巨額贈収賄事件に関連し、ソウル中央地裁は十三日、朴被告の友人で、収賄や職権乱用などの罪に問われた崔順実(チェスンシル)被告(61)に懲役二十年(求刑懲役二十五年)の実刑判決を言い渡した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201802/CK2018021402000137.html
この一文は120文字余り(人名の読み方も含めているので、紙面ではもう少し短くなります)。事件、司法関係の記事はこの例のように、どうしても最初の一文が長くなってしまいます。
要素としては、「裁判所が朴前大統領の親友に対して、収賄罪などで懲役20年の判決を下した」ということです。
しかし、最低限の修飾語を付け加え、固有名詞を正確に書くと、長くなることは避けられません。全紙をチェックしたわけではありませんが、私がざっと見たところ、この裁判に関しては、どの新聞も東京新聞の記事と似たり寄ったりの書き方だと思います。
では、次の例はいかがでしょうか。産経の「前重慶トップ 収賄起訴」の記事です。
中国の最高人民検察院(最高検)は13日までに孫政才・前重慶市党委書記(54)をめぐる汚職事件の捜査を終結し、身柄の移送を受けた天津市人民検察院第1分院が孫氏を収賄罪で起訴した。国営新華社通信が同日伝えた。http://www.sankei.com/world/news/180213/wor1802130031-n1.html
この記事も司法関係なので、最低限の要素を盛り込むと短文で書き表すことは困難です。
しかし、この文章はもう少し工夫できると思います。
この記事には、一つの文の中に主語が二つあります。ここが問題です。
「最高人民検察院(最高検)は」と「天津市人民検察院第1分院が」という、多くの日本人にとってはなじみのない検察機関名が出ています。
さて、この文で重要な主語はどちらでしょうか。
「最高検が捜査を終結した」と「天津市の検察組織が収賄罪で起訴した」では、どちらがこの記事の本筋に関わる内容でしょうか。
明らかですね。見出しがすべてを物語っています。
他の新聞の記事を見ると、例えば、日本経済新聞と共同通信はそれぞれ次のように書きました。
中国の最高人民検察院(最高検察庁に相当)は13日、天津市人民検察院第一分院が前重慶市トップの孫政才・前同市共産党委員会書記を収賄罪で起訴したと発表した。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26845630T10C18A2FF2000/
【北京共同】中国の最高人民検察院(最高検)は13日、天津市の検察当局が重慶市トップだった孫政才・前同市共産党委員会書記を収賄罪でこのほど起訴したと発表した。https://this.kiji.is/335990187991516257?c=39546741839462401
いずれも「最高検は、天津市の検察が前重慶市トップを起訴したと発表した」という文型ですね。
「最高検は捜査を終結し、天津市の検察が前重慶市トップを起訴した」という産経型よりも分かりやすいと言えます。
ただ、厳密に言うと、日経も共同も一文の中に主語と述語が二つずつあります。
朝日新聞はさらに簡潔に表現しました。
中国検察当局は13日、孫政才(スンチョンツァイ)前重慶市共産党委員会書記を収賄罪で起訴したと発表した。昨年、党籍剥奪(はくだつ)と公職追放の処分を受けた孫前書記は、刑事事件として裁きを受ける。https://digital.asahi.com/articles/DA3S13358173.html
朝日の書き方のように、「最高人民検察院」を一切書かないというのは外国の組織名なので許されると個人的には思います。こう書くと分かりやすいのは間違いありません。そして、他社が1文で書いたところを朝日は二つに分けました。非常に分かりやすいですね。私は朝日の書き方を支持します。
ただ、やはり「最高検」という重みを考えると、事件を正確に記述するためには、この部分を省略するべきではないという判断の方が、業界では大勢だろうと思います。
このように分かりやすさと正確性は二律背反になることがしばしば起きます。
おそらく産経の記事が最も正確なのだろうと思います。最高検が捜査をしていたのでしょう。しかし、分かりやすさで言えば、朝日→日経・共同→産経の順になります。
結局、正確な文章を書くことが目的なのか、自分の意図を伝えることが目的なのか、ということになります。
卒論を書くときなら正確性が重要でしょうが、入社の志望動機を書くなら分かりやすさが優先でしょう。
皆さんもご自分で文章を書くときは、ものごとをだらだらと書くのではなく、一つの文の中には主語と述語を一つだけにするように心がけてください。
でも、私もこのブログで漫然と書いているときがあるような気がしますね。反省します。
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