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2021年04月19日

福島第一原子力発電所 汚染水処理の実態解説 三菱重工



 
 福島第一原子力発電所 汚染水処理の実態解説 三菱重工


4-19-25.jpg
    

 福島第一原子力発電所では、放射性物質を含む汚染水を浄化設備で処理し、処理後の水をタンクに貯蔵して居ます。汚染水に関するニュースでは「凍土壁」「サブドレン」「トリチウム」等、余り聞き慣れ無い用語が出て來ることが多く判り難い面があるかも知れません。「福島第一原子力発電所の汚染水問題とは?」「『トリチウム水』とは?その性質や現状は?」を中心に汚染水を巡る状況を解説します。

 1 福島第一原子力発電所の汚染水問題とは?

 @ 何故汚染水が発生するのか?

 原子力発電所では通常、運転に伴い発生した放射性物質の殆どが原子炉圧力容器内の燃料棒の中に閉じ込められて居ます。しかし福島第一原子力発電所では事故により燃料棒が溶融し、原子炉圧力容器及びその外側に在る原子炉格納容器内で発生した「燃料デブリ」(※1)に含まれる放射性物質(セシウム・ストロンチウム・トリチウム等)が燃料デブリの冷却水と触れ「汚染水」と為りました。
 更に、その汚染水が原子炉格納容器の中だけで無く原子炉建屋内やタービン建屋内等にも広がりました。現在も尚、原子炉建屋内には地下水が日々流れ込んで居り、汚染水は流入した地下水の量だけ新たに発生しています。

 図1 福島第一原子力発電所における原子炉建屋内の汚染水の状況 4-19-20

4-19-20.png

          出所 参考文献(※2)を基に 三菱総合研究所作成

 A 汚染水への対策状況は?

 汚染水対策は「汚染源に水を近づけ無い」「汚染源を取り除く」「汚染水を漏らさナい」の三つの基本方針に沿って行われて居ます。

 一つ目の「汚染源に水を近づけ無い」とは、新たな汚染水の発生を抑制する為、原子炉建屋内へ流入する地下水量を減らす対策です。所謂「凍土壁(凍土方式による陸側遮水壁)」とは、この「汚染源に水を近づけ無い」為の対策の一つです。
 土壌を凍結させた氷の壁を設置する事により、原子炉建屋に流入する地下水を減らすことを目的として居ます。併せて、地下水の上流側に井戸(サブドレン)を設置し、原子炉建屋内に流入する前の地下水を汲み上げる事で、原子炉建屋内に流入する地下水を減らす対策も執られて居ます。凍土壁の設置や地下水の汲み上げ等の対策を行った事で、それ以前は1日辺り490t発生して居た汚染水が、現在は110t迄低減されました(※3)。

 二つ目の「汚染源を取り除く」とは、汚染水を浄化設備で処理する事で、汚染源である放射性物質を除去する対策です。汚染水からセシウム、ストロンチウムを重点的に除去した後、多核種除去設備・ALPS・アルプスを用いて大半の放射性物質を除去して居ます。
 ALPSで浄化処理を行った水(以下「処理水」)は、タンクに入れて福島第一原子力発電所の敷地内に貯蔵されて居ます。尚、この処理水にはALPSでも取り除く事が出来無い放射性物質の「トリチウム」が含まれて居る事から、タンクに貯蔵された処理水は「トリチウム水」とニュース等で呼ばれる事があります。

 最後の「汚染水を漏らさ無い」とは、汚染水や処理水の漏洩(ろうえい)による周辺環境への影響を防止する対策です。その一つとして、福島第一原子力発電所の1〜4号機の海側に「海側遮水壁」と呼ばれる鋼鉄製の杭の壁を設置する事により、1〜4号機の敷地から放射性物質を含む地下水が海に流出するのを堰き止める対策が執られて居ます。又、処理水がタンクから漏洩するのを防ぐ為、漏えいのリスクが低い型のタンクを使用しています。

 図2 三つの基本方針に基づく汚染水対策イメージ 4-19-21

4-19-21.png

          出所 参考文献(※2)を基に 三菱総合研究所作成

 2「トリチウム水」とは?その性質や現状は?

 @「トリチウム」とはどんな物質なのか?

 汚染水対策の三つの方針で、二つ目の「汚染源を取り除く」でも触れましたが、ALPSでも除去出来無い放射性物質が「トリチウム」です。トリチウムと云う名前を聞いても、余り馴染みが無くどんな物質か見当がつか無いと感じる方も多いかも知れません。
 トリチウムは、日本語で「三重水素」と呼ばれる水素の仲間(同位体)です。水素と聞くと、原子核の陽子一つの周りを電子が回って居る「軽水素」を想像される方が多いでしょう。水素の仲間には、原子核が陽子一つと中性子一つで構成される「重水素」そして原子核が陽子一つと中性子二つで構成される「三重水素」の「トリチウム」があります。

 トリチウムは、原子力発電所を運転する事で発生しますが、自然界でも大気中の窒素や酸素と宇宙線が反応する事で生成されて居ます。水分子を構成する水素として存在するものが多い事から、トリチウムは大気中の水蒸気・雨水・海水だけで無く水道水にも含まれて居ます。
 軽水素や重水素は安定な同位体で放射線は出しませんが、トリチウムは12.33年の半減期(元の原子核の数が半分に為る時間)でβ線を出してヘリウム-3に変わる放射性同位体です。(β線については後述)

 図3 水素の仲間(同位体) 4-19-22

 14-19-22.png 

                 出所 三菱総合研究所

 A 何故トリチウムの除去は難しいのか?

 トリチウムは、処理水中で水分子の一部と為って存在して居ます。この為、水の中にイオンの形で溶けて居るセシウムやストロンチウムと云った他の放射性物質とは異なり、トリチウムが含まれる水分子のみを化学的な方法により分離し除去する事は容易ではありません。
 福島第一原子力発電所で発生した処理水に含まれるトリチウムを含む水分子(下図のHTOやT2O)の濃度は最大でも1L辺り数百万Bq(※4)です。これは1Lの処理水に含まれるトリチウムが僅か100ng〈n・ナノは10-9〉(重量の割合にして100万分の一より遥かに少ない)程度である事を示しています。
 トリチウムを含む水分子だけを処理水から分離して取り出す方法も開発されて居ますが、この様な僅かな量のトリチウムを大量の処理水から取り出すには膨大なエネルギーとコストが必要に為り、現実的に利用可能な効率的な分離を行うには更なる技術開発が必要と為ります。

 図4 トリチウムを含む水分子の構造 4-19-23

 4-19-23.png

             出所 三菱総合研究所

 B トリチウムの人体や環境への影響は?

 トリチウムは放射線の一種であるβ線を出しますが、このβ線はとてもエネルギーの低い電子である為紙一枚で遮る事が出来る程弱く、外部から被ばくしても人体への影響は殆どありません。又、水として飲んだ場合でも、特定の臓器に蓄積する事は無く、他の放射性物質と比べて速やかに体外に排出されます。
 その為、内部からの被ばくの影響も、取り込んだ放射能当たりで見れば他の放射性物質よりも小さく為って居ます。これ迄も水道水等を通じてトリチウムは日常的に私達の体内に取り込まれて居ますが、通常の生活を送る事で取り込んだトリチウムによる健康影響は確認されて居ません。

 原子力発電所など国内外の原子力関連施設において発生したトリチウムは近海に排出されて居ます。日本でもこれ迄40年以上に渉ってトリチウムが排出されて居ますが、排出に当たっては濃度上限が定められて居り、原子力関連施設の近海に置けるトリチウム濃度のモニタリングも継続して行われています。
 近海のトリチウム濃度は、WHO・世界保健機関が定める飲料水のトリチウム濃度(10,000Bq/L)を下回って居る事が確認されて居ます。

 C「トリチウム水」の処理・処分の取組状況は?

 2018年4月時点で、処理水(※5)は、容量が約1,000tのタンクに換算すると1,065基程の量(※6)と為って居ます。処理水を貯蔵するタンクの数や敷地は膨大に為る一方です。タンクが増え続けるのに伴い、廃炉を進める為の設備増設等が必要と為っても、その用地が確保出来ず作業が遅延する等の影響が生じる可能性もあります。
 又、貯蔵し続けることで管理コストが懸かり、処理水漏洩のリスクを常に抱える事にもなります。この様に、処理水をタンクに貯蔵し続けることにはデメリットがあり、根本的な解決には為ら無い事から、処理水の処分方法を検討・決定する必要があります。

 処理水の処分方法については「地層注入」「海洋放出」「水蒸気放出」「水素放出」「地下埋設」と云った選択肢が検討されて居ます。処分方法の決定に当たっては、技術的な観点(技術的成立性・規制成立性・期間・コスト・作業員の被ばく等)に加えて社会的な観点(風評被害の発生など)も必要である事から、経済産業省が委員会(※7)を設置し、専門家を交えた総合的な検討が行われて居る処です。

 図5 タンクの大きさ(※8)のイメージ図(身長170cmの人との比較)4-19-24

4-19-24.png

              出所 三菱総合研究所


 図6 福島第一原子力発電所敷地内の様子 4-19-25

4-19-25.jpg  

 出所 東京電力ホールディングス「2017/6/28(水)「福島第一原子力発電所は、今」〜あの日から、明日へ〜(ver.2017.6)」(2018年6月12日閲覧)http://www.tepco.co.jp/decommision/news/movie/index-j.html


 3「トリチウム水」の処理・処分を巡る今後の課題は?

 トリチウムが出す放射線が非常に弱く人体や環境への影響が小さいとは云え、トリチウムを含む処理水を海洋や大気に放出することを不安に感じる方も多いでしょう。福島県産の農林水産物への影響や風評被害発生の懸念も指摘されています。
 トリチウムは、余り馴染みが無い物質であり、好く判らない為不安に思われている面があると考えられます。処分方法の説明は勿論ですが、先ずはトリチウムそのものや影響についての丁寧な説明が不可欠と云えるでしょう。

 加えて、処分方法の決定に当たっては、決定後にのみ処分方法を周知するのでは無く、決定前に於いても処分方法の検討・選定の観点、各選択肢のメリット・デメリットを丁寧に周知させる等、決定プロセスの透明性を高める事も重要です。
 処理水が処分されれば、福島第一原子力発電所の廃炉作業が一歩前進する事に為ります。国内外から「再汚染」「負の影響の発生」等と捉えられる事の無い様、処分方法の決定プロセス及びその結論に対し、国民の理解・納得が得られる様最善を尽くす事が望まれます。

                 以上










 



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