2020年04月23日
コロナ禍を乗り越える為の「デジタル・ニューディール」への期待
コロナ禍を乗り越える為の
「デジタル・ニューディール」への期待
〜現代ビジネス 宿輪 純一 帝京大学経済学部教授 4/23(木) 11:01配信〜
コロナ禍の先にある世界
我々は、現在「コロナ禍」と云う災いの中に生きて居る。このコロナ禍は我々の経済・社会の仕組みを大きく変える。未だ予断を許さ無い状況であるが、もしコロナが収まって来た時期が来たとしても、このコロナ禍がトラウマと云うか、全ての前提として考えられる様に為る。そのステージアップして向かう先が、まさに「デジタル化」なのである。
日本では社会として「職人」の様に、人から人への伝達を尊ぶ慣習が有ると感じて居る。それはICT・情報通信技術の進化が著しい現在も見え無い形でベースと為って居る。ICTの進展に於けるデジタル化は、単なるコスト削減では無い。安倍政権の「未来投資戦略」の中でも描かれて居たが、筆者は、短期的には堅確性・経済性・効率性が著しく向上すると考えている。
中長期的には、データの活用に依って、販売・財務・総務が連動し、商品・のサービスの向上のみ為らず、確率的な経営戦略の高度化が可能に為ると考えて居る。それは日本経済の成長率をアップさせる事が可能になる。
実際、日本政府の進めて居る政策はその基本方針に沿って進められている。菅官房長官が進めている携帯電話料(通信料)の4割削減、経済産業省が進める「キャッシュレス」金融庁が進める「フィンテック」総務省が進める「マイナンバー」ナドナド、基本的には日本経済のデジタル化を強化しようと云う基本方針に沿っている。
デジタル経済とは無人経済
「デジタル化」と云うものと云うものはどんなものなのであろうか。それは「アナログ・リアル・フィジカル」から「デジタル・データ・オンライン」化し、経済・社会構造が変革する事である。これは極限の好い方をすれば人を介さ無い「無人経済」と云う事も出来る。
日本のコロナ対応の経済政策は、以前から何度も寄稿で解説して来たが、治療薬の開発・感染拡大の防止・マクロ的な金融緩和・企業と個人の金融的援助と応急処置及び短期的な政策はホボ網羅されて居る。しかしながら、応急処置為らば早くし無ければ為ら無い。特に企業に対しては、分かり易い固定費用である「賃料」の援助をすべきであると考えている。
常々申し上げているが、経済学と医学(医療)は似て居ると考えて居る。これ等の対応は応急処置及び短期的な治療で、今後は次のステージを考え無ければ為ら無いと考えて居る。コロナ禍が終わった後、嫌、終わった後を目指し、経済・社会構造は、一段「デジタル化」に向かう。
それは、一部には「アフター・コロナ」と云われて居るが、筆者は、乗り越えて行く意味も込めて「ビヨンド・コロナ」と名付けて居る。「株価」はホボ半年後の状況を見て居る、と筆者は常々考えて居るが、その株価の動き及び個別の銘柄の動きは、既にその様なデジタル化した経済・社会を織り込み始めて居る。
デジタル化教育でどう伝えて行くのか
政府の此処での中長期的な政策は、デジタル化のベースと為るインフラを日本経済全体で作り上げて行く事である。それは、ハードは勿論であるが、ソフト・・・即ち教育もそうで、学校教育は勿論、社会人、定年後の人々へも、デジタル化に付いての教育が必要不可欠である。
米国を復活させたレーガノミクスの重要な柱の1つは社会的な教育であった。経済・社会一緒に為って、全体のレベルアップさせる事は、基本的政策としてはそれを「包摂」Includingと呼んで始まって居るが。現在、筆者自身も、大学講義を構造改革して 。学生の に、どの様な講義が良いのか試行錯誤している。
元来、筆者の講義スタイルは、ザックリ云うと、毎回毎回、学生に「日本経済新聞」を読んで貰い、その日の重要だと思う経済・経営・金融の分野の記事を4つ選び、夫々、内容をまとめ、コメントを書いて発表して貰い、ひとつひとつ筆者が理論も含め解説すると云う事を徹底的に行う。
それは、最新の情報・知識を身に着け就職力を強化出来る。更に、大学生の後半では、自己分析を徹底的に行い、就職したい企業業種を定めその業種の企業の経営改善計画を策定させ、更に就職力を強化出来る。勿論、基本的知識を身に着ける為にも、講義で筆者の教科書を2冊、輪読させ筆者自身が解説する。
このプロセスは道場の様なもので、毎回の気合いの入った直接指導が学生を磨いて行ける、と云う事があった。これを改革し、デジタル化しようとして居るが、この気合いを伝える事に苦労して居る。
その様な構造改革は、人の生き方も変革せざるを得無い。デジタルな非接触型の経済・社会では、自己の強みや存在価値と云ったものをどう作って行くかと云う問題に為り、逆に、自分と向かい合う必要がある。「文化」や「芸術」も危機である。それ等は感動と裏腹で、体験型・フィジカルで、アナログ、リアルなものが多いからである。
宿輪 純一 博士(経済学)・帝京大学経済学部教授 以上
【管理人のひとこと】
中国・韓国・一部のアジア地域・・・それと他の先進国と日本の違いは、ICT化への乗り遅れも指摘されて居る。確かに、職場のテレワークや学校・大学・塾等でのネット授業も押し並べて進められ無い状況もある。コロナ禍への対策も上記に挙げた国々に比較して効率的で無い様だ。
これを機に、国を挙げてハード・ソフト面の整備に邁進する課題が浮き出て来た感がする。無論、その教育もそうだが。先ずは日本のコストが高い、この面の規制を撤廃し先ずはフリーにすることから始める・・・根気の要る課題でもある。日本にはNHKと云う半官半民の厄介な巨人が存在する。一つの「抵抗組織」なのだろう・・・情報と資金を集中する巨大な権益を有する組織は、国民から徴収した莫大な資金で多くの放送媒体を独占しネットの世界にも乗り出した。この様な頭の痛いものを抱え過ぎるのもICT化推進への我が国の大きなマイナスでもあるのだろう。
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