2020年04月23日
安倍首相が「世界最大級」と胸を張る 117兆円対策の大いなるウソ
安倍首相が「世界最大級」と胸を張る
117兆円対策の大いなるウソ
〜ニューズウィーク日本版 加谷珪一 4/23(木) 12:21配信〜
一律10万円の支給に方針転換したことは評価できるが<安倍政権が打ち出したコロナ危機への経済対策は、表面的な金額こそ立派だが、その中身をひもとくと問題が山積している>
政府は新型コロナウイルスの感染拡大に対応する為、総額117兆円の緊急経済対策を取りまとめた。だが、支援の実施方法や金額に関して多くの批判が寄せられて居る。率直に言って今回の対策は、直面している危機に十分な効果を発揮するとは思えない。
世論の批判を受けて安倍首相は、世帯を限定して30万円を給付するプランを撤回し、個人に対して一律10万円を支給する施策に変更した。広範囲な給付に切り替わったことは評価して好いが、課題は山積している。
安倍政権は4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策を閣議決定した。事業規模の総額は108兆円とGDPの2割を突破して居る。これはアメリカやドイツに匹敵する水準で、表面的な金額としては過去最大といって好い。だが、この施策には大きな問題があり、このまま実施した場合、十分な効果を発揮しない可能性が高い。
安倍首相は117兆円という金額について「世界最大級」と胸を張るが、これは事業規模の総額であって、実際に政府が財政支出する金額では無い。企業に対する納税や社会保険料の支払い猶予(約26兆円)は、飽く迄一時的な猶予に過ぎず、資金繰り支援に使われる財政投融資(約10兆円)に付いても、基本的には貸し付けなので返済が求められる。
更に言えば、昨年12月に閣議決定した26兆円の経済対策の内、未だ執行していない分(約20兆円)や、3月までにまとめた緊急経済対策の第1弾と第2弾の分(約2兆円)など、今回の支援策と無関係なものまで含まれている。
条件が厳しすぎた30万円給付プラン
政府は各支援項目の詳細を明らかにしていないが「真水(まみず)」と呼ばれる政府が実際に支出する金額は18兆円程度・コロナ終息後に実施する旅行券配布等の施策を加えても28兆円程度と推定される。約47 兆円を真水とする政府の説明とは大きな乖離がある。
政府が撤回した30万円給付プランの最大の問題点は、給付条件を余りにも厳し過ぎた事である。基本的には住民税非課税水準に収入が落ち込ま無いと給付され無い仕組みだが、中間層の世帯は殆ど支払い対象に為ら無い。政府は1,300万世帯が給付対象に為ると説明して居たが、もしこのプランが実際に発動された場合、給付対象と為る世帯はもっと少なかっただろう。
消費は現在の日本経済のエンジン
一連の施策は閣議決定されたものであり、行政運営上、閣議決定の意味は重い。閣議決定を覆して10万円支給に切り換えた事は素直に評価して好いと筆者は考える。だが、真水部分が少ない等、この施策には依然として問題が多く、経済の落ち込みに対して十分な効果を発揮しない可能性が高い。
一方で、支出の詳細項目が定められておらず、資金の使途は或る程度、自由に為る余地も残されている。今は、補正予算を成立させる事が最優先だが、この法案を成立させた後、給付金以外の資金使途についても、給付金と同様、柔軟な決断を行って行く必要がある。
今の日本は、輸出で経済を成り立たせて居るのでは無く、既に消費主導型経済に為って居る。消費は経済のエンジンであり、個人の経済状況が悪化すれば、日本経済そのものが立ち行か無く為る。
賃貸住宅に住んでいる場合、当座、10万円の支給があれば何とか為った世帯でも、家を追い出されてしまえば、その金額で生活を立て直す事は極めて難しい。一度消費が壊れてしまうと、再構築するのは容易な事では無い。
今後の経済対策に付いても、個人の生活を破綻させ無い事を主軸に、各種のプランを検討することが重要である。個人の生活を守ることは「福祉政策」では無く、列記とした「経済政策」であるとの認識が必要だ。
<本誌2020年4月28日号掲載のものを一部変更・加筆> 加谷珪一 経済評論家 以上
コロナ地獄の中で 神対応が話題の各国リーダーたち
一方で安倍晋三は・・・
〜プレジデントオンライン 4/23(木) 9:16配信〜
世界中が新型コロナウイルス感染拡大による医療崩壊の危機や経済への打撃と必死で闘っている今、問われているのは政治的リーダーの指導力や判断力かも知れない。迅速な対応と強いリーダーシップで支持を集める者も居れば、的外れな発言を繰り返して批判の的と為る者も居る。SNSの活用にも注目だ。
アンゲラ・メルケル首相
メルケル首相 「制限は絶対に必要な場合にだけ正当化される」
ドイツのメルケル首相は3月18日、14年超の在任の中で、恒例と為って居る毎年の大晦日のものを除いて初めてのテレビ演説を行った。
演説の中でメルケル首相は、新型コロナウイルスの感染拡大について「東西ドイツ統一以来、嫌、第二次世界大戦以来の試練だ」と表現して国民に危機感を持たせた。又、一時に余りに多くの感染者が増えれば、医療システムが「完全に参ってしまう」と発言。人々が他者との接触を避け、感染者の数を抑える事がいかに重要かを説いた。
メルケル首相は旧西ドイツ生まれで、生後間も無く西側への移動が禁じられた旧東ドイツに移住して居り、移動を制限された暮らしの不自由さに付いて身を以て知って居る。しかし「旅行や移動の自由を苦労して勝ち取った私の様な者に取って、こうした制限は絶対に必要な場合にだけ正当化される」として、国民に真摯に理解を求める姿で支持を集めている。
国内3,000世帯に手紙を送付したボリス・ジョンソン
ボリス・ジョンソン首相
イギリスは、現地時間3月23日にロックダウン宣言を行った。自身もコロナに感染し、4月12日に入院していたロンドンの病院から退院したボリス・ジョンソン首相は、症状が出るまでホボ毎日の様に自ら記者会見を行って専門家と共に感染拡大の状況や対応を説明していた。又、3月末には国内の約3,000世帯に手紙を送付。飾ら無い言葉で支持を集めた。
手紙の冒頭では「もし余りに多くの人が一時に深刻な病状に陥れば、NHS・イギリスの国民保健サービスは対処出来無く為ってしまいます。(中略)私達は可能な限り命を救う為に、この病気の感染拡大を遅らせ、病院での治療を必要とする人々の数を減らさ無くては為ら無いのです」と率直に述べて居る。
更に、同居する家族や友人以外に会わ無い事・極力家に留まる事・外に出る時は他者と2メートルの距離を開ける事等・・・国民がすべき事を端的に示し協力を求めた。
ライブ配信で国民の質問に答えるNZ首相
ジャシンダ・アーダーン首相(左)
ニュージーランドの新型コロナウイルスに対する対応は、他の国とは一線を画している。国内で感染者が確認されるより早く、2月3日の時点で外国籍の人の中国からの入国を禁止。同月28日に国内初の感染者が確認されると、直後に入国禁止の対象国を拡大。3月19日には世界のすべての国からの入国を禁じ「鎖国状態」と為った。
アーダーン首相は鎖国の翌日にテレビを通じて国民に新型コロナウイルス対策に関する説明を行った。彼女は1982年以来初めて官邸からテレビで国民に呼び掛けたニュージーランド首相だと云う。アーダーン首相の国民に対するメッセージはメディアを通じたものに留まらず、3月26日には外出制限中の国民に向け、自宅からFacebookを通じてのライブ配信を実施している。スウェット姿で登場した首相は配信の中で「外に散歩に出てもいいの?」と云った国民からの質問にリアルタイムで答え、支持を集めた。
オフィス内で腕立てジョギング ウガンダ大統領
ヨウェリ・ムセベニ大統領
ウガンダでは、4月1日からショッピングモールや商店街・宿泊施設など商業施設の営業停止や、公共交通機関の停止等のロックダウン措置を行っている。当初この規制は入国・出国や航空輸送の中止、非食料品市場の営業停止を32日間とするほかは14日間を予定して居たが、4月14日に5月5日迄の延長が発表された。
ロックダウンを伝えるガイドラインには大統領の写真が使われ、ツイッターやFacebookのアカウントも記載されている。
ムセベニ大統領は自らのツイッターで国民に対して家に居る様呼びかけ、4月9日には「集団でジョギングをしている人たちを見てガッカリした」と云う書き出しのツイート(書き込み)を投稿。「運動の為に外へ行く必要は無い」として大統領が自らグレーのジャージに裸足の姿で、オフィス内でジョギングや腕立て伏せなどをしている動画を公開した。
「家でプレステしてろ!」とイタリアの市長
アントニオ・デカロ市長
イタリアでは感染者が多数発生した自治体を政府が封鎖する等の対策を進めていたが感染の連鎖を止めることは出来ず、3月10日には一部地域に限定していた移動制限措置を全土に拡大した。又、12日からは食料品店と薬局を除く全ての店舗を閉鎖。19日には新型コロナウイルスによる死者数が世界最多と為った。
しかしそんな中でも3月末には外出自粛指示を守らず外出する市民が後を立たず、各市の市長が激しい言葉で家に留まるよう訴えた。南部バーリのアントニオ・デカロ市長は外で卓球する市民に向けて「家でプレイステーションしてろ!」等と叱責するシーンが話題と為った。
又、南部のレッジョ・ディ・カラブリア市長ジュゼッペ・ファルコマータ氏は「これは映画じゃ無い。貴方は『アイ・アム・レジェンド』のウィル・スミスでは無いのだから帰宅しろ」と、SF映画で只一人生き残った主人公に例えて外出中の市民を注意したと報道された。
イスラエルは大統領がテレビで絵本読み聞かせ
ルーベン・リブリン大統領
イスラエル政府は感染が拡大する各国からの入国を拒否し、3月9日には全ての国からの外国人の入国を拒否する等、世界でも迅速かつ厳粛な新型コロナウイルス対策を行って来た国だ。しかしそれでもウイルスの封じ込めは出来ず、3月14日には既に教育施設の閉鎖が発表された。それ以降も、公共施設への訪問が禁じられ、食料品や医薬品の調達などの止むを得ない場合を除いて外出し無い様に国民に求めた。
そんな中、3月31日にはリブリン大統領が自ら、テレビを通じて絵本の読み聞かせを行って話題に為った。これは教育機関が閉鎖に為り、自宅待機を強いられた子供達を持つ親達が休める様にと云う配慮によるものだという。ちなみに、イスラエルの大統領は儀礼的存在であり、行政府の主張は首相であるベンヤミン・ネタニヤフ氏が務めている。
ブラジル大統領「私達は、何時かどうせ死ぬのだ」
ジャイル・ボルソナロ大統領
「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボルソナロ大統領は、3月24日、政見放送で新型コロナウイルスを「軽い風邪」呼ばわりした。自身の支持者には「私達は皆、何時かどうせ死ぬのだ」等と語ってロックダウンを否定、サンパウロ州等が取った外出制限措置には「犯罪だ。国を破壊している」等と批判を繰り返した。
又、3月下旬には自身のツイッターとフェイスブックに「60%から70%の国民が感染する事でブラジルに免疫が着く」「特効薬はもう直ぐ出来る」等と投稿し、デマとして両社に削除されて居る。こうした発言は国内外から批判を集め、対策を進める保健相やリオ連邦地裁の判事等とも対立して居る。ブラジル国内の感染者数は右肩上がりだが、未だ大統領の事態の軽視は変わらず、商業活動の制限には消極的だ。
我らの総理が投稿した動画は大大大炎上
安倍総理がコロナに関して初の会見を行ったのは、国内の感染者数が200を超えて居た2月29日の事だ。既に国内ではマスクや除菌スプレー、トイレットペーパーやティッシュ等が品薄になり混乱を極めていた。同会見で安倍総理は「躊躇なく対策を講じて来た」等と発言し、3月2日からの全国一斉臨時休校要請を発表した。しかし、一方的に冒頭で文章を読み上げた後、記者からの質問も数問しか答えず不満に思う国民も出た。
又、マスクの不足に関しては当初から品薄の解消を行うとして居たが解決は為されず、4月1日には全世帯に布マスクを2枚配布すると発表し「エイプリルフール?」等と揶揄される事と為った。この施策は批判を集めながらも敢行され、4月第3週以降、順次配布される予定だ。
更に、4月12日朝に安倍総理はSNSアカウントに動画を投稿。ミュージシャンの星野源さんが歌う動画とのコラボレーションが流行っていたものに、安倍総理が乗っかった形だが大炎上した。「友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われて居ます」等と安倍総理はメッセージを添えたが「友達に会え無いのでは無くて、ナカナカ進ま無い政府の対応にイライラして居る」などと批判が殺到した。
新型コロナウイルスの終息は何時に為るのか、終息した時、国民の生活や経済はどのように為って居るのか、政治的リーダーの手腕が明暗を分ける事に為るかも知れない。
フリーランスライター 梁 観児 以上
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