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2017年10月02日

猫の冒険     その28

DSC_0044.jpg

ちび黒猫は、目を覚ましました。
寝ていたのか、気を失っていたのか、
それは彼にもわかりません。

目覚めると、独りでした。
先程まで彼は夢を見ていたようでした。
自分がペシャンコになって道路に張り付いている
夢でした。まるで、何かに踏みつぶされたように
路面に密着しているようにペラペラの自分が
そこにいました。ちび黒猫は
とても怖かった。怖くて悲鳴を上げたいけど
自分の体はペシャンコになって声すら出ない。
その後も何回も踏まれ、布はボロボロになり、
やがて路面と自分が一体となっていくところで
目を覚ましたのです。

彼はいつも独りです。どこで生まれて、誰が親なのか
それすら知りません。記憶すらないのです。
そもそも彼の記憶すら誰かに刷り込まれていても
おかしくないのです。

しかし、さっきの夢は
一体何だったのか。
彼はずっと考えています。

時々、気を失う。
そして、目が覚める。
その度に、別の場所にいる。
独りの時もあるし、自分と同じ
存在に出会うこともある。

しかし、その相手に話しかけても
あまり的を得た応答が無い。
自分は他と違うのか。
なぜ違うのか、何が違うのか。

そもそもなんで自分だけが
こうして不思議がっているんだ。
誰かが、考えるチカラを与えてくれたのか。

考えるということは、それだけ何かを
知っている事だ。そして、知らない事に対して
それを知ろうとするチカラ、そして、それを
理解し、知識として蓄積するチカラがある
はずだ。誰かがそれを与えてくれたんだ。
それが誰か、今はそんなことはどうでもいい。
自分がこれかいろいろなことに疑問を持ち
それを見聞きし、理解し、知識をつける。
その過程で自分が一体何者なのかが
ひょっとしたらわかるかもしれない。
その時まで気長に待つか。

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