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2016年05月10日

表現主義、機能主義

近代から現代に至るデザイン史の底流に対立概念として
表現主義と機能主義とがあります。
前者は美術、工芸の世界を背景として個性に関連するものであり、
後者は近代産業と社会の世界を背景として没個性を目指すものです。
この対立する事例を一つ選び今日の問題と比較し考えてみます。

 機能主義の事例として、
アメリカのインダストリアル・デザイン(I.D.)を取り上げます。
ここでは、なぜアメリカがデザイン運動を機能主義的に捉えたのか、
対立的であったヨーロッパの表現主義と比較しそれを説明し、
それが今日我々が生活するこの社会にどの様に影響しているのかを説明していきます。

 産業革命以降、ヨーロッパでは工業化が進み、
生活用品のいくつかはこうした工業化によって生み出された
安価な大量生産品が占めるようになりました。
これまで手作りで作られていた日用工芸品は、
機械生産品に取って代わられるようになり、工芸家の仕事が減少していきました。
こうした機能主義的な工業化に危機を感じ、
表現主義的なデザイン運動として立ち上がったのは、
イギリスのジョン・ラスキンでした。
彼は、表現の自由、物質の本質及びシンプルなデザインが美徳と考え、
芸術品その物よりもそれを作る人間との関わりを重視し、
工芸に携わる労働者を擁護しました。
このラスキンの思想に現実的な表現を取り入れ
デザインの水準を高める運動をしたのが、ウイリアム・モリスでした。
しかし、こうした表現主義運動が可能なのは、
ヨーロッパに長年培われた伝統工芸があり、
工芸家たちの芸術家魂が存在したためでした。
アメリカはどうかというと、豊富な材料があるにもかかわらず、
十分生産できる工芸家や熟練労働者の数が圧倒的にヨーロッパに比べ少なかったです。
このため、人力を出来るだけ節約し機械生産に頼りました。
移民の国アメリカにおいて、潤った生活ができる豊かな社会にするためには、
デザイン運動をビジネスチャンスとして利用するほか無かったのです。
つまり、アメリカで、I.D.は、
豊かな社会のために役立つビジネスとして誕生し発展したのでした。
これらが、なぜアメリカがデザイン運動を機能主義的に捉えたのかの理由です。
1920年末から1930年代、
アメリカにおいてI.D.は、一つの職業分野としての地位を確立しました。
I.D.は、リアリスティックに捉えられ、
「外観を良くすること」、「有用であること」、「経済的であること」が求められ、
企業に最大の利益をもたらすことを目指しました。
こうしたI.D.をビジネスとして捉えたことで
1929年の大恐慌の際に経済的成功のための手段として、
或いは倒産から救う方法として利用されました。

 アメリカで起こった機能主義的デザイン運動は、
第二次大戦後世界中に広がりました。
商品の開発も、消費者により多くの商品を買わせようとする方策として
製品の本体は変えずにただ表面の形態だけを変える方法を取り、
使っている商品が心理的に古いものと感じとらせ
新しい商品を購入させる手段をとりました。
例えば、自動車やカメラなどがそのよい例です。
基本的な性能はさほど変化は無いのに、外見の形態だけ変えて購買意欲を誘います。

 現代社会に生活する私達にとって機能主義はもはや避けて通れない概念です。
それは、機能主義と表現主義は対立していますが、
私達はどちらが良いといって一方を選択できるような状態にないことを
アメリカの例が示しています。







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