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2019年07月03日

”言葉の虫食い”を読み取るのが苦手。

山折り谷折りの折り目が付いた台紙に
サンプルを挿し込む作業を手掛けた。

作業開始前、
予め山折り谷折り部分に軽く折り目を付ければ
スムーズに作業できると僕は考えた。



作業開始後、「台紙を折らないでくださいね」と
全体に向けて言われた。



僕の頭には多くの疑問が浮かんだ。

・最初の指示には折り目について指定がなかったが、
 折り目をつけていいのか、折ってはいけないのかどちらだろうか
・台紙のどこを折ってはいけないのか
・どこも折らずに挿し込み作業は可能なのか
・その差し込む隙間を作るための山折り谷折りの折り目なのに、
 じゃあこの印は何のために付いてるのか



次の瞬間、「あー!折らないでくださいってー!」

注意を受け、最初からやり直しになった。

そして、折り目を避けながら上手く差し込む方法を
レクチャーしてもらい、「次から気をつけてくださいね」
と言われてその場は収まった。

僕は「言われた通りに作業して、なぜ注意されるの?」と
悔し泣きしながら、残りの作業をこなした。



僕の持つ障害「自閉症スペクトラム」(ASD)は、
一般的に言葉の裏の読み取りや、加減を察するのが
苦手という特徴を持つ場合が多い。

状況に応じて言外の意味を想像する力が弱いために
文字通り、言葉通りに受け取ってしまうのだ。

”会話がうまく成立しないのは「言葉のウラが読めない」から”

アスペルガー症候群の人たちには文章力の高い人が少なくありません。
会話ではコミュニケーションがうまくできないのに、
メールでは格調高い文章を書くといったことがよくあります。

つまり、文語には強いけれど、その場の状況によって
意味合いが微妙に変化する口語に弱いのです。


『大人のアスペルガー症候群』第一章 より



一通り作業を終え、気持ちを切り替え
冷静に考えるとわかったのが、

あの時の「台紙を折らないでくださいね」という指示には
2箇所の”言葉の虫食い”があったこと。

フルで訳すと、恐らくこんな感じになるだろうか。

「台紙を”できるだけ”折らないで、”うまいこと差し込んで”くださいね」



・最初の指示の時点で
 「折らないで」と言われなかったので
 山折り谷折り部分を折った

・”できるだけ””うまいこと”という
 言外の意味を察することができなかった

この2つの食い違いによって、
僕は「指示と違うことをした」と認定されたのではと
終業間際になってようやく理解できた。



高校1年の時、古文の教科担任の先生に
「理琉は勉強はよくできるが、指示と違うことばかりする」
と、クラス全員の前で注意されたことがある。

「次回までに問題集P65〜67を解いてくること」と
「次回の授業では参考書Aを持ってくること」

すると次の日、
問題集P65〜67はしっかり解いて来るが、
参考書Aを持ってきて教科書を持って来ないを
何度かやらかした経緯あっての注意だった。

なぜ教科書を何度も忘れたかというと、
「次回の授業では参考書Aを持ってくること」
の中に”教科書”が含まれていないから。



僕も先生も、どっちも間違ってはいないんだと思う。

僕はただ言葉の通りに忠実に従っただけ、
先生は自分の意図の理解も期待して言っただけ。

ただ、かみ合わなかっただけ。

僕ら自閉症スペクトラム当事者が
「指示と違うことばかりする」と言われ
社会でつまづくのは

言葉のウラを読み取り、意図を理解し、
「教科書は持ってくる前提」と察することのできる人が
世の中には圧倒的に多いから。

自閉症スペクトラム当事者は約100人に1人。

マイノリティに酷な世界だというのは
歴史の教科書が証明している。



脳の障害だから見かけはみんなと一緒。

こうやってやり取りが食い違い、
「指示と違うことばかりする」と言われて
初めてみんなが目の当たりにできる。

見えないから理解されにくい。
見えないから「甘え」「怠け」と言い易い。

でも、本人は一生懸命。
決してふざけてない。
言われた通りにできるよう必死。

”アスペルガー症候群は「病気」?それとも「個性」?”

福祉的な立場からは「個性」ととらえることもできる
しかし…医学的には「病気」である

アスペルガー症候群は、生まれながらにして
脳機能に偏りのある「発達障害」という病気である。

病気としてとらえることによって、
適切な「治療」や「療育」が可能になり、
本人の「生きやすさ」につながる。


『大人のアスペルガー症候群』第二章 より



ここまで具体的に決まってないと
正確に仕事をこなせないのかと自己嫌悪し、
自分の脳を取り換えたくなったこともある。

偏りの無い脳を持って生まれたかったと、
自分の運命を呪ったこともある。

この偏りを一生背負って生きるのが
嫌になったこともある。

事実は2つ、

失敗できたことと、その失敗を書けたこと。



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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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