2020年06月11日
NR-あお葉のこと葉 ファイル-4
谷戸 番外編
先祖の墓参りをしようと生まれ故郷の岐阜県に帰った。岐阜駅でフリーパス乗車券(510円)を買い、バスで向かったのは美濃市。途中思い立ち、山県市の中洞という集落で途中下車した。中洞には今年の大河ドラマの主人公・明智光秀の墓(桔梗塚)がある。複数存在する生誕地の一つで、山崎の合戦で死なず、この地に隠れ住んだという生存伝説まで残されている。途中下車したのは、その史跡を見学する…ためではなく、「谷戸」を確認するため。
実は岐阜県は谷戸のような地形を「洞(ほら)」と呼ぶのである。バス停から七分、小さな川の上流に向かって歩いていくと、その先に「光秀産湯の井戸」、さらに奥に「桔梗塚」はあった。
「ほら〜!」思わず声が出た。山に囲まれたこの地形、まごうことなく谷戸だ。
この中洞から長良川の支流・武儀川に沿って歩く。山県市と関市をまたぐ「やまぼうし街道」と呼ばれる国道を四キロほど進むと、今度は春日局の屋敷跡(関市武芸川町)がある。
春日局は光秀の寵臣・斎藤利三の娘。三代将軍・家光の乳母になる直前まで夫の稲葉正成や子どもたちと、ここ「谷口の里」で暮らした。
「お局道」と呼ばれる小径が残っている。屋敷から裏の神社へ通ったといわれる参道だ。神社の名は「猪之洞神明社」。そう、ここも「洞」が付く。
近くで畑仕事をされていた土地の方に尋ねると
「ほーやて、山に囲まれとるやろ。こういう土地を『ホラ』って呼ぶんだわなも」
と、美濃訛りで親切に教えてくれた。
母の実家は、谷口の北、山を越えた先にある。板取川の流域にある美濃和紙の里だ。
実家の隣の集落が鮎で有名な「関市洞戸」。最近は「モネの池」と呼ばれる観光スポットが人気を呼んでいる。
さらに「神洞」「湯の洞」と洞地名が点在する。子どもの頃から慣れ親しんでいる洞地名だが、谷戸地形と同義だと知って見方が変わった。
墓参を済ませ再びバスに乗っての帰り道、「谷戸」というバス停を通過した。
(げっ!谷戸と洞は別なのか!)
焦って運転手さんに確認すると
「あ〜あれは『たん・ど』って読むんですよ」
その言葉にホッ!と、安堵した。
洞だけでなく、史跡や文化遺産も満載の我が「美濃の国」。コロナ騒動が収束した暁には、ぜひとも訪ねてみてほしい。
谷戸編 おわり
★この旅の顛末は近日「放浪ファイル」として、さらに詳しくアップする予定。 乞うご期待!
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9923828
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック