2024年10月21日
経験した天地の差の大手企業
私は2014年以前の15年も続いた大不況の中で東北地方では仕事が見つからずに
東京へ知り合いを頼り上京して住み、月150時間の残業や徹夜が当たり前で残業手当がつかない状況で
もがきながら土木工事の設計関係の仕事で9年ほど働いた。
朝は会社が借りたアパートから車で1時間はかかる現場事務所へ7時半には到着だから、6時起き、夜10時まで働き
土曜日も基本仕事であり、これが本当に日本で屈指の有名な東証一部上場の大手企業なのかと思った。
他業種の大手企業はとっくの昔に完全週休二日制に移行しているのに、休日すらまともにとれない。
ただ、ひとつだけ、給与だけは額面で月給40万円はもらえたことがよかった。
大変つらい中で弱音を吐いていると、大手携帯電話会社への派遣社員として声がかかった。
未経験の業界だが、朝9時始業というので必死でしがみついた。
2006年ごろ、まだ携帯電話は全国で電波がつながらなかたため、携帯電話のための鉄塔建設のための仕事があった。
そこで大手携帯電話会社で2年働いた。
その際の労働環境と待遇は不景気の最中であったが今まで経験したことがない天国であった。
朝は9時から勤務であり、9時には毎日室内作業なのに健康のためにラジオ体操をしてから
少しのミーティングを行い9時半から仕事が始まり、昼の12時になると1時間の休憩
社員食堂があり、食堂で500円程度の安い値段で普通の昼食が食べられ、
夕方6時になると一斉に従業員が帰るのだった。
7時まで残業などで残っていると守衛さんが回って来て、早く帰るように促されるのだった。
もちろん土日と祝日は休みであるが、月額の給与が派遣でも額面で50万円ももらっていた。
その時思った。
建設の大手と情報通信の大手ではこんなにも労働環境も給与も違うのかと。
従業員のほとんどが常識的な考えを持ち、自己中で非常識な人が少なかった。
このような会社こそ大手企業というのだろうと。
建設工事でも設計業務でも建設業界の労働環境は過酷でり、監督官庁が国土交通省だが
我々、受注業者の労働環境が悪かろうがまったく気にする気配もなく、金曜日の午後に
月曜日の朝までに書類や資料、設計図面を提出する催促の電話やメールが来るのが常だった。
国の仕事でも都道府県や市町村でも建設の業界はそれが普通だった。
公共事業は安定した仕事だといわれていたが、労働環境はブラックで大手通信会社とは雲泥の差であった。
やっぱり通信の大手社員は30歳くらいで相当給与はもらっているらしかった。
総務省は私が長らく働いた国土交通省管轄の建設業界とはだいぶ違うのだろう。
ところで建設業界は建設業登録業者数は全国に48万社もあり、競争が激化して、安値入札での競争だ。
建設業は休日も少なく、残業も多く、責任も重く、寒い現場、暑い現場で大変な割に給与がそれほどでもなく
体力で限界を感じる。
建設業界でも今年の4月から残業規制の労働基準法が厳しくなった。
いわゆる2024年問題であり、政府の方針の働き方改革も少しだが効果がでてきた。
また、20歳代の若者の在職率は他の業種では17%に対して、建設業は11%程度と低い。
よって、以前よりも労働環境はよくなったと思う。
老化が激しい中高年になった今、建設業関連に身を置くほうが間違っているのだと今頃気が付いても遅いのかもしれない。
世の中、どの仕事もその仕事の性格上、大変ではあるだろうが、労働条件が良い職場や会社や職種もあるのだろうと思う。