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2018年05月05日
日中電話首脳会談の解読法
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本日の新聞各紙は日本の首相が初めて中国の国家主席と電話会談をしたことを大きく報じています。過去、日本の首相は中国の首相と電話で会談したことがありましたが、格が上である国家主席との電話会談は行われていませんでした。
これは日中関係が史上最高の水準に戻ったということではなく、@北朝鮮情勢で最低限の意思疎通をしなければいけないAそのための電話会談を行う程度には関係が改善しているーということなのでしょう。
日本政府は自らの実績をアピールして、どれだけ意義が大きかったかということをメディアに向けて宣伝しようとします。こういうときこそ冷静に新聞記事を読み解きましょう。これは反安倍ということではなく、客観的に情勢を分析しないと私たち自身に不利益になるからです。
習近平国家主席は安倍晋三首相との電話会談に先立ち、韓国の文在寅大統領と電話会談していたそうです。現在、中国と韓国は北朝鮮問題では対立点がほとんどありません。在韓米軍基地へのミサイルシステム配備問題で中国の事実上の経済制裁を受けた韓国は習主席の要求に言いなりに近い状態です。
一方、日中首脳電話会談について、産経新聞は「日中、拉致解決へ協力」という見出しで一面に記事を掲載しています。この記事によると、「日本人拉致問題の早期解決に向けて協力していくことで一致した」「北朝鮮への経済制裁などを決めた国連安全保障理事会決議を確実に実行していくことで合意した」そうです。
非常に違和感があります。
中国が日本人拉致問題で積極的に日本の立場を支持したことはありません。拉致問題に協力していると言えるのは米国だけでしょう。その米国だって、基本的には日本自身が解決する問題だと認識しています。日本人が拘束されている問題を日本が解決するのは当然のことです。
しかも、今は日本を含む関係各国が北朝鮮との対話に前向きな態度に転じた状況です。日本以外の国は拉致問題を提起することは「非核化交渉の阻害要因」とみなしています。
中国の国家主席が拉致問題で日本に協力すると表明することは私には想像できません。習氏は一体どんな表現を使ったのか気になり、日本の新聞や通信社の記事をチェックしました。読売新聞や共同通信も「拉致解決で協力」などと拉致を見出しに取っているものの、習氏の具体的な発言は出ていません。
習氏の発言を具体的に伝えているのはNHKだけ。それによると、習氏は「中国は朝鮮半島の平和と安定を断固として守る」「各国とともに対話と交渉を通じて、それぞれの懸念をバランス良く解決する方法を追及し、力を合わせて朝鮮半島と地域の長期的な安定を実現したい」「日本にも建設的な役割を果たしてほしい」と語りました。
どうやら日本政府が「拉致問題の早期解決で一致した」と日本メディアに説明したのは、「それぞれの懸念をバランス良く解決する方法を追及」という部分のようです。なんとも曖昧な表現ですが、確かに日本にとっての「懸念」は「拉致・核・ミサイル」ですから、「認識が一致した」と言えなくもないですが、かなり苦しいですね。しかも、「日本にも建設的な役割を果たしてほしい」というのは、「日本は非核化交渉を邪魔するな」ということです。さらに言い換えれば、「拉致問題で騒ぎすぎるな」という意味です。安倍首相は国連安保理決議についても「完全な履行を目指す」と述べましたが、おそらく中国はこの点についても「常任理事国としての責任は果たすが、今は対話の局面であり、制裁を振りかざす時期ではない」という考えではないでしょうか。
本当はこういう部分でしっかりした解釈を書いてほしいのですが、連休中の夕方(記者が仕事をするのは夜になります)に行われた会談なので、まとまった記事を出せなかったのかもしれません。
私が見た限り、日中の態度の微妙な違いに言及したのは、「中国側の説明では、制裁決議の履行に触れておらず、日中間の温度差もうかがえる」と書いた時事通信だけでした。
引き続き質問をお待ちしています。
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日中、気になったニュースをリツイートしたり、つぶやいたりしています。
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日本政府は自らの実績をアピールして、どれだけ意義が大きかったかということをメディアに向けて宣伝しようとします。こういうときこそ冷静に新聞記事を読み解きましょう。これは反安倍ということではなく、客観的に情勢を分析しないと私たち自身に不利益になるからです。
習近平国家主席は安倍晋三首相との電話会談に先立ち、韓国の文在寅大統領と電話会談していたそうです。現在、中国と韓国は北朝鮮問題では対立点がほとんどありません。在韓米軍基地へのミサイルシステム配備問題で中国の事実上の経済制裁を受けた韓国は習主席の要求に言いなりに近い状態です。
一方、日中首脳電話会談について、産経新聞は「日中、拉致解決へ協力」という見出しで一面に記事を掲載しています。この記事によると、「日本人拉致問題の早期解決に向けて協力していくことで一致した」「北朝鮮への経済制裁などを決めた国連安全保障理事会決議を確実に実行していくことで合意した」そうです。
非常に違和感があります。
中国が日本人拉致問題で積極的に日本の立場を支持したことはありません。拉致問題に協力していると言えるのは米国だけでしょう。その米国だって、基本的には日本自身が解決する問題だと認識しています。日本人が拘束されている問題を日本が解決するのは当然のことです。
しかも、今は日本を含む関係各国が北朝鮮との対話に前向きな態度に転じた状況です。日本以外の国は拉致問題を提起することは「非核化交渉の阻害要因」とみなしています。
中国の国家主席が拉致問題で日本に協力すると表明することは私には想像できません。習氏は一体どんな表現を使ったのか気になり、日本の新聞や通信社の記事をチェックしました。読売新聞や共同通信も「拉致解決で協力」などと拉致を見出しに取っているものの、習氏の具体的な発言は出ていません。
習氏の発言を具体的に伝えているのはNHKだけ。それによると、習氏は「中国は朝鮮半島の平和と安定を断固として守る」「各国とともに対話と交渉を通じて、それぞれの懸念をバランス良く解決する方法を追及し、力を合わせて朝鮮半島と地域の長期的な安定を実現したい」「日本にも建設的な役割を果たしてほしい」と語りました。
どうやら日本政府が「拉致問題の早期解決で一致した」と日本メディアに説明したのは、「それぞれの懸念をバランス良く解決する方法を追及」という部分のようです。なんとも曖昧な表現ですが、確かに日本にとっての「懸念」は「拉致・核・ミサイル」ですから、「認識が一致した」と言えなくもないですが、かなり苦しいですね。しかも、「日本にも建設的な役割を果たしてほしい」というのは、「日本は非核化交渉を邪魔するな」ということです。さらに言い換えれば、「拉致問題で騒ぎすぎるな」という意味です。安倍首相は国連安保理決議についても「完全な履行を目指す」と述べましたが、おそらく中国はこの点についても「常任理事国としての責任は果たすが、今は対話の局面であり、制裁を振りかざす時期ではない」という考えではないでしょうか。
本当はこういう部分でしっかりした解釈を書いてほしいのですが、連休中の夕方(記者が仕事をするのは夜になります)に行われた会談なので、まとまった記事を出せなかったのかもしれません。
私が見た限り、日中の態度の微妙な違いに言及したのは、「中国側の説明では、制裁決議の履行に触れておらず、日中間の温度差もうかがえる」と書いた時事通信だけでした。
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