スポンサードリンク 「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,51: 1分読むだけ文学通
アフィリエイト広告を利用しています
ブログ紹介
(^_-)-☆管理人アスカミチルです。

このブログは、ユーザーさんを文学通にさせるのがねらい!!
内容は2構成。
★YOUTUBEチャンネル
「動画文学通」毎日P.M.4:00までに「三国志演義」朗読更新。

https://www.youtube.com/
channel/UCTZ5GnDOX9
JTi8NHODbF26A

そして、
★「1分読むだけ文学通」毎日P.M.4:00までに谷崎潤一郎「痴人の愛」本文更新。


アスカミチルさんの画像
アスカミチル
<< 2021年04月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
カテゴリーアーカイブ
最新記事
月別アーカイブ
検索
アスカミチルお勧めリンク

広告

posted by fanblog

2021年02月14日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,51


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,51



そして激しく鉛筆を叩きつけて、その帳面をナオミの前に突き返すと、ナオミは固く唇を結んで、真っ青になって、上目遣いに、じ―ッと鋭く私の眉間をねめつけました。



と、何と思ったか彼女はいきなり帳面を鷲掴みにして、ピリピリに引き裂いて、ぽんと床の上に投げ出したきり、再び物凄い眸を据えて私の顔を穴の開くほど睨(ね)めるのです。



「何するんだ!」

一瞬間、その猛獣のような気配に壓(お)されて、アッケに取られていた私は、暫くたってからそう言いました。



「お前は僕に反抗する気か。学問なんかどうでもいいと思っているのか。一生懸命に勉強するの、偉い女になると言ったのは、ありゃ一体どうしたんだ。どういうつもりで帳面を破ったんだ。



さ、謝れ、謝らなけりゃ承知しないぞ!もう今日限りこの家を出て行ってくれ!」

しかしナオミは、まだ強情に押し黙ったまま、その真っ青な顔の口元に、一種泣くような薄笑いを浮かべているだけでした。



「よし!謝らなけりゃそれでいいから、今すぐここを出て行ってくれ!さ、出て行けと言ったら!」

そのくらいにして見せないととても彼女を威嚇(おど)かす事は出来まいと思ったので、ついと私は立ち上がって、脱ぎ捨ててある彼女の着替えを二三枚、手早く圓(まろ)めて風呂敷に包み、二階の部屋から紙入れを持ってきて十圓札を二枚取り出し、それを彼女に突きつけながら言いました。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊




次回に続く。



























この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10538592
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。