2019年03月02日
平滑筋の収縮メカニズムとRhoキナーゼの作用点を確認しよう
<平滑筋の収縮メカニズム>をまとめます
■平滑筋は主に細胞外液からのCa2+イオンの流入により、筋収縮を引こ起こされる。
アセチルコリンM3受容体やヒスタミンH1受容体によりGqタンパク質が刺激されるとホスファチジルイノシトール2リン酸(PIP2)がホスホリパーゼCにより加水分解される。
PIP2→IP3+DG
その結果、イノシトール3リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)が生成し、IP3は平滑筋細胞内に存在する小胞体上に存在するIP3受容体と結合し、IP3受容体はCa2+チャネルとして機能するため、細胞質にCa2+イオンが放出され筋収縮が起こる。
その、収縮までの過程として
@ Ca2+イオンとカルモジュリンと結合
A Ca2+イオン-カルモジュリン複合体が、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)を活性化
B MLCKは、ミオシン軽鎖(ミオシンフィラメントの頭部)をリン酸化する
C ミオシン軽鎖のリン酸化体の数が増加する
D ミオシン軽鎖のリン酸化体は、ATPase活性が上昇するため、ATPの加水分解エネルギーを利用
E ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの滑り込み現象が起こり筋収縮が起こる
以上のような流れにより平滑筋は収縮する。
平滑筋が収縮を起こした後、弛緩する過程があるが、平滑筋が弛緩するためには
ミオシン軽鎖ホスファターゼという脱リン酸化酵素が作用する必要がある。
ミオシン軽鎖ホスファターゼは、リン酸化を受けたミオシン軽鎖を脱リン酸化することで
ATPase活性を低下させて、筋弛緩を引き起こす。
しかしながら、生体内には、Rhoキナーゼと呼ばれるミオシン軽鎖ホスファターゼを抑制している酵素が
存在し、脱リン酸化を阻害している。その結果、Rhoキナーゼは、平滑筋の収縮に関与する。
平滑筋の収縮は、血管において血管収縮を引き起こすため、例えば脳血管れん縮などの脳虚血に関与している。
当然、脳血管れん縮などの脳虚血は、生体にとって悪影響であるため、Rhoキナーゼの作用は好ましくない。
このような背景のもと、Rhoキナーゼ阻害薬であるファスジル(エリル®点滴静注液)が開発され、2007年より臨床応用されている。
くも膜下出血は、働きざかりの人を突然襲い、命まで奪う重篤な疾患であるが、早期のクリッピング術や術後管理技術の進歩により、患者の救命率、機能予後の成績は向上しつつある。
しかし、くも膜下出血術後数日を経て高頻度に発生する脳血管れん縮は、予後を悪化させる最大の要因であり、ときに死亡の原因ともなる。
脳血管れん縮には、様々な血管収縮物質の関与が考えられているが、いずれの場合も、最終段階では血管平滑筋細胞内のカルシウム濃度が上昇し、ミオシン軽鎖がリン酸化されて異常な血管収縮に至ると考えられている。
本剤は、構造上これまで類を見ない5-イソキノリンスルホンアミドの誘導体で、血管平滑筋収縮機構の最終段階であるミオシン軽鎖のリン酸化を阻害する「世界で初めての蛋白リン酸化酵素阻害剤」である。
本剤は、くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状を改善する。
■平滑筋は主に細胞外液からのCa2+イオンの流入により、筋収縮を引こ起こされる。
アセチルコリンM3受容体やヒスタミンH1受容体によりGqタンパク質が刺激されるとホスファチジルイノシトール2リン酸(PIP2)がホスホリパーゼCにより加水分解される。
PIP2→IP3+DG
その結果、イノシトール3リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)が生成し、IP3は平滑筋細胞内に存在する小胞体上に存在するIP3受容体と結合し、IP3受容体はCa2+チャネルとして機能するため、細胞質にCa2+イオンが放出され筋収縮が起こる。
その、収縮までの過程として
@ Ca2+イオンとカルモジュリンと結合
A Ca2+イオン-カルモジュリン複合体が、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)を活性化
B MLCKは、ミオシン軽鎖(ミオシンフィラメントの頭部)をリン酸化する
C ミオシン軽鎖のリン酸化体の数が増加する
D ミオシン軽鎖のリン酸化体は、ATPase活性が上昇するため、ATPの加水分解エネルギーを利用
E ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの滑り込み現象が起こり筋収縮が起こる
以上のような流れにより平滑筋は収縮する。
平滑筋が収縮を起こした後、弛緩する過程があるが、平滑筋が弛緩するためには
ミオシン軽鎖ホスファターゼという脱リン酸化酵素が作用する必要がある。
ミオシン軽鎖ホスファターゼは、リン酸化を受けたミオシン軽鎖を脱リン酸化することで
ATPase活性を低下させて、筋弛緩を引き起こす。
しかしながら、生体内には、Rhoキナーゼと呼ばれるミオシン軽鎖ホスファターゼを抑制している酵素が
存在し、脱リン酸化を阻害している。その結果、Rhoキナーゼは、平滑筋の収縮に関与する。
平滑筋の収縮は、血管において血管収縮を引き起こすため、例えば脳血管れん縮などの脳虚血に関与している。
当然、脳血管れん縮などの脳虚血は、生体にとって悪影響であるため、Rhoキナーゼの作用は好ましくない。
このような背景のもと、Rhoキナーゼ阻害薬であるファスジル(エリル®点滴静注液)が開発され、2007年より臨床応用されている。
---以下は、ファスジルのインタビューフォームからの引用---
くも膜下出血は、働きざかりの人を突然襲い、命まで奪う重篤な疾患であるが、早期のクリッピング術や術後管理技術の進歩により、患者の救命率、機能予後の成績は向上しつつある。
しかし、くも膜下出血術後数日を経て高頻度に発生する脳血管れん縮は、予後を悪化させる最大の要因であり、ときに死亡の原因ともなる。
脳血管れん縮には、様々な血管収縮物質の関与が考えられているが、いずれの場合も、最終段階では血管平滑筋細胞内のカルシウム濃度が上昇し、ミオシン軽鎖がリン酸化されて異常な血管収縮に至ると考えられている。
本剤は、構造上これまで類を見ない5-イソキノリンスルホンアミドの誘導体で、血管平滑筋収縮機構の最終段階であるミオシン軽鎖のリン酸化を阻害する「世界で初めての蛋白リン酸化酵素阻害剤」である。
本剤は、くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状を改善する。