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類白血病反応,好中球増加の機序

好中球は,全白血球の50〜60%を占める最も多い白血球である。

好中球増加症とは,末梢血の好中球数がおよそ7000-8000/μL以上になった状態をさす。

感染症や炎症時,またG-CSFの投与,悪性腫瘍の骨髄転移,その他の血液疾患で起こる。

好中球増加の増加の機序はおおまかに4つに分類できる。

1)骨髄での好中球産生の亢進
→G-CSF,IL-1,TNFといった因子で起こる,2〜3日を要する。

2)骨髄から末梢血液への移動
→この移動には2〜3時間を要する

3)末梢血辺縁プール(MGP)から循環プール(CGP)への移動
→激しい運動や強いストレスなどで容易に起こる。わずか2〜3分といった短い時間で
 変動する。これによる好中球増加を"偽性好中球増加症"という。

4)好中球の組織への遊出の低下
→ステロイド剤の投与でよく起こる。

これら1)〜4)の原因が組み合わさって,好中球の増加は起こってる。

※MGP(辺縁プール):Marginal Granulocyte Pool の略。血管壁にゆるく接着している好中球,末梢毛細血管に閉じ込められている好中球のことをさす。

※CGP(循環プール):Circulting Granulocyte Pool の略。末梢血で循環している好中球のことで,臨床検査では,この身体全体のうち数%にしか満たないCGPを測定して,診断に利用していることに注意を払わなければいけない。

体脂肪が気になる方に・・・


G-6-PD異常症の溶血機序について


G-6-PD(グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)は,ペントースリン酸回路において

グルコース-6-リン酸から,脱水素反応によって6-ホスホグルコノラクトンを生成する過程

でNADP+からNADPHを産生する役割をもつ酵素である。

これは赤血球にとって非常に重要な物質である。

なぜなら,この反応で作られたNADPHは,酸化型グルタチオン(GSSG)を

還元型グルタチオン(GSH)にするのに必要であり,この還元型グルタチオンは

酸化した赤血球を還元して,赤血球を酸化から守っているからである。

したがって,G-6-PDに異常があると,このNADPHの産生が低下し,結果的に

赤血球が酸化されたままの状態になってしまう。

するとヘモグロビンが酸化変性してしまい,その集塊物である"Heinz小体"を形成する。

Heinz小体を形成した赤血球は脾臓を通過する際に,マクロファージによって

貪食されるため,溶血が起こる。(脾臓など,臓器による溶血を"血管外溶血"という)

また,赤血球の膜上の脂質が酸化することで血管内溶血もきたす。

なお,G-6-PD異常症は,伴性劣性遺伝であり,X鎖に遺伝子が存在するため

発症は男性に限られる。(女性は発症しないがキャリアーとなる)






赤血球における2,3-DPGの役割


赤血球

赤血球にとって2,3-DPGは非常に重要な役割をもっている。

2,3-DPG(2,3-ジホスホグリセリン酸)とは

グルコース代謝のエムデン・マイヤーホフ解糖経路の側路である

Rapoport-Luebering Pathway にて産生される物質である。

この2,3-DPGは,赤血球内では,他の細胞に比べて約1000倍の

高濃度で存在している。

なぜなら,2,3-DPGは,ミトコンドリアを持たない赤血球にとって

貴重なATP産生のエネルギー源であるからである。

さらに,2,3-DPGは重要な役割がある。

それはヘモグロビンと酸素との親和性の調節である。

具体的には,ヘモグロビンは成人ではα鎖2本とβ鎖2本から構成されているのだが,

そのβ鎖サブユニット間に2,3-DPGが結合することによって

ヘモグロビンと酸素分子との親和性を低下させる働きをする。

そうすることによって酸素分子が遊離して,組織に酸素を供給しやすくしている。

なお,ヘモグロビンと酸素の解離度は,pHの低下や温度の上昇も深く関係する。

pHの低下は,すなわちCO2濃度の上昇を意味し,循環末梢血のCO2濃度が高いところ

ほどO2のニーズが高まるわけで,そこでO2が遊離しやすくなるのは極めて合理的な

生体反応といえる。この現象をボーア効果と呼んでいる。

また温度の上昇,つまり運動時などが該当するが,このときも身体のO2需要量が

高まるが,ちょうどいい具合にヘモグロビンからO2が遊離しやすくなることとなる。

話をまとめると,1)2,3-DPGの増加,2)pHの低下(CO2の増加),3)温度の上昇

この3要素によって酸素はヘモグロビンから解離しやすくなるわけである。

このことをヘモグロビンの酸素解離曲線の右方移動という。





 
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