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赤血球における2,3-DPGの役割


赤血球

赤血球にとって2,3-DPGは非常に重要な役割をもっている。

2,3-DPG(2,3-ジホスホグリセリン酸)とは

グルコース代謝のエムデン・マイヤーホフ解糖経路の側路である

Rapoport-Luebering Pathway にて産生される物質である。

この2,3-DPGは,赤血球内では,他の細胞に比べて約1000倍の

高濃度で存在している。

なぜなら,2,3-DPGは,ミトコンドリアを持たない赤血球にとって

貴重なATP産生のエネルギー源であるからである。

さらに,2,3-DPGは重要な役割がある。

それはヘモグロビンと酸素との親和性の調節である。

具体的には,ヘモグロビンは成人ではα鎖2本とβ鎖2本から構成されているのだが,

そのβ鎖サブユニット間に2,3-DPGが結合することによって

ヘモグロビンと酸素分子との親和性を低下させる働きをする。

そうすることによって酸素分子が遊離して,組織に酸素を供給しやすくしている。

なお,ヘモグロビンと酸素の解離度は,pHの低下や温度の上昇も深く関係する。

pHの低下は,すなわちCO2濃度の上昇を意味し,循環末梢血のCO2濃度が高いところ

ほどO2のニーズが高まるわけで,そこでO2が遊離しやすくなるのは極めて合理的な

生体反応といえる。この現象をボーア効果と呼んでいる。

また温度の上昇,つまり運動時などが該当するが,このときも身体のO2需要量が

高まるが,ちょうどいい具合にヘモグロビンからO2が遊離しやすくなることとなる。

話をまとめると,1)2,3-DPGの増加,2)pHの低下(CO2の増加),3)温度の上昇

この3要素によって酸素はヘモグロビンから解離しやすくなるわけである。

このことをヘモグロビンの酸素解離曲線の右方移動という。





 

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