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ヴァイオリニスト松尾依里佳
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2008年05月30日
ぞうさんの大合唱
葬儀社は、24時間年中無休でいつ電話が掛かってくるかわからない仕事です。これは看護婦さんも同じですね。最近知り合った看護婦さんとの会話でも、この部分は共通していました(^^♪

とはいえ、葬儀社の社員はそれほど多くはなく、僕の勤めていたところも男性社員4人で仕事を廻していましたので、一人で泊まりの勤務をする日が週2・3回は普通にありました。

あるとき、当番で泊まりの勤務をしていると、深夜2時ごろ電話が鳴りました。仕事が入った瞬間です。何故かしら?人の生死にはサイクルがあるようで、深夜2時という時間帯には良く電話が掛かってきたものです。

その日は、90歳のおばあちゃんが亡くなったとのことで、すぐに病院に駆けつけました。いつものことですが、ご遺体の搬送を済ませ、お線香の準備をして、葬儀の日程を決めて4時ごろ事務所に戻りました。次の日・・というか、その日。このご葬家の担当が僕と決まりました。

人も90年も生きていると親族の人数も多くなるのが一般的です。亡くなった人の子供達、そのまた子供達(孫)、そのまた子供達(曾孫)といった総勢80人の身内が集う葬儀となりました。ご自宅、通夜、そして精進料理の席に至るまで、ホール内に人が途切れることがありませんでした。

特に印象に残っているのが精進料理の席でのこと。

言い方は不謹慎だと思いますが、精進の司会を終えて座が開けたあとは、ほぼ宴会状態となりました。司会用のマイクを使って、自分がいかに故人への思い入れがあったかを披瀝する演説会が始まるやら、極めつけは、曾孫そろっての「ぞうさん」の大合唱・・・これは笑えた(^^♪

そして、精進のお開き前に行われた「きやり唄」の披露と三本締め(笑)。常に、今にもカラオケが始まりそうな勢いがあった、明るく、そして楽しく故人を偲ぶご葬儀となりました。

これほど明るい雰囲気に包まれたご葬儀だったからこそ、今でも強く印象に残っているのだと思います。確かに、身内の数が多い分だけ個人的に関わる面子も多くなるわけで、ご葬儀が終わるまで大変さは半端なものでは無かったのですが、こころのこもった葬儀を担当できた達成感は大きなものがありました。

葬儀だからといって、いつもしめやかなものでは無いという最極端な経験です。

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