野命賛歌

2019年11月01日

千曲川　洪水の爪痕　千曲公園から撮影　10/23　台風19号　上田市

(本記事の写真・動画は台風19号通過から10日後の10/23に撮影したもので、状況等も10/23に見てきた状態です)

千曲公園から千曲川を見ると、洪水の爪痕が至る所に見られました。
千曲公園の場所はこちら↓

千曲公園／上田市役所

まずは南側から

中央を流れるのが産川。
右側から流れ込む浦野川と合流し、千曲に流れ込みます。
幸いにも、浦野川・産川の被害は軽微でしたが、多くの箇所で護岸崩落や越水がありました。

ここは武田信玄と村上義清による上田原合戦が行われた地。
向かいに見える山は武田の陣地で、物見山・兵糧山といった古い名前が残っています。
ちなみに、千曲公園の直ぐ隣、須々貴山神社がある天白山が村上の本陣でした。
上田原合戦では信玄が父と慕った板垣信方が討ち死にし、今も地域の人によってお墓が守られています。その他、村上方の武将の墓や無名戦士の墓も点在しています。

カメラを左(北側)に振ってくると、浦野川が千曲川に合流するポイント、千曲川の右岸・北側には太郎山が見えてきます。真下に見えるのが川と道の駅です。

こちらは浦野川と千曲の合流地点。
かなり川岸が削られ、樹木の根が浮き彫りになっていました。
というか、この樹木ごと、辺り一面水に浸かっていたのだと思います。

青い橋が古舟橋、その手前右側の河川敷が中之条緑地。
野球場やマレットゴルフ場があった所です。
ここに限らず、近隣の千曲川河川敷は壊滅状態です。

こちらは千曲川右岸の護岸。川底がかなり抉られているのがはっきりと分かりました。

千曲周辺をぐるりと眺めていて、複雑な気持ちになりました。
最初にご紹介した上田原合戦の地。

写真だと分かりにくいですが、地図で言うと古戦場公園多目的グラウンドの先から、くっきりと地面が上がっています。下の動画を見て頂けると確認できると思いますが、上から実際に見てみるとくっきり段が付いています。これ、段丘です。

上田地域自然電子図鑑-上田地域の地形・地質

昔はこの辺りまで、常にではないにしろ、千曲川の水が達していたと思われます。ちなみにこの辺り、地籍の名前は「築地(ついじ)」「川辺(かわべ)」です。川辺の川、子供の頃は産川だと思っていましたが、本来は千曲川のことなのでしょう。

随分前ですが、上田原合戦について調べていて、不思議だなと思った点がありました。最初に書いた物見山や兵糧山(上田市創造館の南辺りの山です)、北東側から簡単に回り込まれてしまう。

なぜこんな危ない場所に兵糧を蓄えたのかと疑問だったのですが、地図では分かりにくいですが、兵糧山の北側方面、現在の国道143号線辺りを境に一段下がっていて、当時は川、または沼地のような状態だったのではないかと。

千曲川右岸を考えれば、上田城の際まで千曲川だったのは有名な話。
上田城の別名は尼ヶ淵城。真田昌幸は千曲川を利用した運輸や逃走を考慮して縄張りをしたという話も残っています。

つまり、何を言いたいか申さば、千曲川は昔は現在よりも、ずっとずっと広い川幅だった訳です。
それを現在の川幅に狭めている。
高度経済成長以来、護岸を整え治水をしてきたとはいえ、やはり無理が出たのだろうなと思わずにはいられませんでした。

↓動画です。

千曲公園

せっかくの機会なので千曲公園のご紹介を。
地元の小学生なら、必ず一度は遠足なりで訪れる場所です。

道の駅から行くと、半過トンネルの手前から左に曲がり、山道を登って行きます。
迷ったら上の電波塔を目指していけば着きます。
公園手前から少しの間は、未舗装の林道のようになりますのでご注意下さい。
崖なんで、ハンドル操作をミスって落ちると多分死にます。
徒歩でなら東側からも登山道？があるようです。

公園と言っても、東屋と石碑と祠とちょっと遊具があるくらいです。
一応、お花見スポットにはなっています。
桜の前には桃の花も綺麗に咲いていました。

じゃあ何が取柄なんだと言えば、上記の通り、千曲公園は天然の展望台です。
周辺を一望できます。
先端には東屋があり、千曲下流側に目を向ければ、川中島の方まで見渡せます。
先述の通り、東南側の眼下には上田原古戦場が一望できます。
周辺の山々も見渡せ、眺めはいいです。
あまり観光地としては知られていないようで、推してもいないようですが、歴史好きや写真好きの方にはお薦めのスポットです。