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2014年11月21日

逆風の太陽光発電 現場で何が



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東京電力・福島第一原発の事故のあと、国内で一気に期待が高まった太陽光や風力などの再生可能エネルギー。
とりわけ日射量の多い九州では、太陽光発電のパネルが住宅の屋根だけでなく山間部や耕作放棄地にまで広がり、まさに“太陽光ブーム”とも言える状況が起きました。
その太陽光発電。
九州電力による再生可能エネルギーの買い取り制限で、逆風にさらされ始めています。
現場で取材を進めると、その影響の根深さだけでなく、日本の電力システムが抱える構造的な問題も浮かび上がってきました。
大分放送局の山本剛史記者が解説します。

再生可能エネルギー買い取り制限の衝撃
原発事故を受けて、再生可能エネルギーの普及を後押ししようと、国がおととし始めた固定価格買い取り制度。
電力会社が、太陽光などで発電された電気を高値で買い取る制度ですが、九州電力は、ことし9月に新規買い取りの一部制限を発表しました。
「太陽光発電を始めたいという事業者が想定を大幅に上回り、すべてが発電されると九州全体の電気の供給と需要のバランスが崩れ、最悪の場合、停電のおそれがある」というのが理由です。
当初、買い取り制限の対象は九州全体でおよそ7万件。
大分県ではおよそ1万3000件に上りました。
10月に九州電力が大分県内3か所で行った事業者向けの説明会には、合わせておよそ900人が詰めかけ、疑問や不安の声が飛び交いました。

先行投資した農家は
説明会に参加した事業者や、その取引先への取材を進めるなかで、大分県豊後高田市の専業農家の大江義博さんと出会いました。
大江さんは、農家の知り合いから買い取り制度のことを聞きました。
銀行から2億円の融資を受け、耕作放棄地になっていたみずからのみかん畑を造成し、太陽光パネルを設置したやさき、九州電力による買い取り制限の対象になりました。
大江さんは、九州電力と正式な契約は結んでいませんでしたが、国が進める事業で、銀行からも簡単に融資を受けられたため、事業が滞るとは全く予想していなかったといいます。
なぜ正式な契約を結ぶ前に銀行から2億円もの融資を受けられたのか、大江さんから、さらに詳しく話を聞きました。
「固定価格買い取り制度」は、太陽光などで発電した電気を最大20年間にわたって電力会社が買い取ることを保証する仕組みで、普及を後押しするために買い取り価格は発電にかかるコストよりもかなり高く設定されています。
大江さんが地元の設備業者に見積もりを依頼したところ、2億円を借りて耕作放棄地に発電設備を造ると、毎月187万円の売電収入が得られ、20年間で2億円の利益が得られるという事業計画を示されました。
自己資金はほとんどありませんでしたが、銀行はこうした売電収入の見通しを担保に、簡単に2億円を貸してくれたといいます。
大江さんは、「普通は100万円借りるのも難しい銀行から簡単に2億円が借りられた。国が始めた事業で、こんないい話があるのかと思った」と話しました。
仮に買い取り制限が続けば売電収入は無くなり、2億円の借金だけが残ることになります。
「このまま電気を買い取ってもらえなければ死活問題だ」と話す大江さんは今、不安な日々を過ごしています。
買い取り制限の対象となる事業者の中に、大江さんのような農家やサラリーマンなどがどれくらいいるのか、はっきりした数字は分かりません。
しかし、大江さんの工事を請け負った地元の設備業者によると、この業者の顧客だけで同じような境遇の人は十数人に上るということで、こうした人たちは決して少なくないとみられます。
国は制度設計の甘さを認める形で、買い取り価格を引き下げる方向で制度自体の見直しを進めています。
しかし、大江さんのように先行投資で借金を抱えた人を国が救済する仕組みはありません。
鳴り物入りでスタートした固定価格買い取り制度。
そのメリットに注目が集まるなか、国や電力会社は、リスクを国民に十分、説明していたのかについて検証が求められます。

再生可能エネルギー普及に送電網が課題
さらに取材を進めると、九州各地で買い取り制限が始まる前から、太陽光発電の事業を断念したり、縮小したりしたケースが少なくないことも分かってきました。
太陽光発電施設の施工・販売で県内大手の「大分ビルダー」は、国東市の遊休地を買い上げ、発電出力700キロワット、一般家庭およそ120軒分の電力を賄う発電施設を建設する計画でした。
建設予定地のすぐそばには電線が通っていて、この会社は変圧器など必要な設備を含めても、電線に接続するための工事費は3000万円以内に収まると見込んでいました。
しかし、九州電力に接続を申し込んだところ2億3800万円という想定の8倍に上る工事費が示されました。
接続は、発電施設の建設予定地から10キロ離れた変電所で行うため、新たに216本の電柱を立てて、送電線を伸ばす必要があるということでした。
会社は「到底採算に合わない桁違いの数字だ」と受け止めています。
なぜ高額の工事費が必要になるのか。
その理由を探ろうと九州電力大分支社を訪れました。
私たちが案内されたのは「総合制御所」と呼ばれるコントロールルームでした。
ここでは電気の需要と供給の変化を細かく監視し発電から送電まで一括してコントロールしています。
通常、電気は大規模な発電所でつくられ、その後、変電所を経由して、細い送電線を通じて住宅などに届けられます。
一方、太陽光発電施設は比較的規模が小さいため、最初から細い送電線につながれます。
多くの発電施設が同じ送電線につながれてしまうと、流れる電気が送電線の容量を超えて、停電が起きる可能性があります。
これを防ぐためには、電線の改修や新設のための工事が必要で、工事費が高額になるケースもあるということでした。
九州電力大分支社は「電力の安定供給を守るのが電力会社の責務で、工事が必要な場合は制度上、事業者に負担してもらうことになっている」と説明しています。
一方、2億円を超える工事費を提示された会社は、「採算が取れないような工事費が必要なのか、外からは検証できない」と話しています。
この会社のように九州電力が送電網の増強が必要と判断したケースは、大分県だけで712件、九州全体では2650件にも上り、再生可能エネルギーの普及を進めるうえで課題になっています。

解決につながるか発送電分離
こうした問題の解決にもつながるのではないかと注目されているのが、電力会社の「発電」と「送配電」の部門を切り離す「発送電分離」です。
大手電力会社が独占してきた送電網を公平に利用できるようになれば、新規の発電事業者の参入が促され、将来的には価格競争によって電気料金の抑制にもつながると期待されています。
一方、電力業界などからは「『発電』と『送配電』の一体運用によって維持してきた電力の安定供給が損われるおそれがある」として、慎重な対応を求める声も出ています。
電力やエネルギーの問題は、私たち一人一人の生活にも深く関わる問題だけに、制度の改革に失敗は許されません。
どうすれば安定的に再生可能エネルギーの普及を進めることができるのか。
国や電力会社には、九州の現場で起きている問題にも、しっかりと目を向けたうえで、徹底した議論を行ってほしいと思います。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_1120.html




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