多分私はロボットアニメを300本は見たはずです、その上で思うのが、仮に私が自由にロボットアニメを作れる立場に居たら多分何も作ることはしないだろうということです、正直これだけ先人が居るともうやることが思いつかないレベル。
種のときに出た「ガンダム、強いてはロボットアニメの宿題、課題」
ある意味種が揉めまくってた時がロボットアニメ最後の花火じゃなかったのかと、あの時は議論が百出しまして、故にこうしろああしろという意見が大量にあったんです。
つまりあの頃まではロボットアニメがやることが残っていた、考えることが出来たといえるんだと思います。
種のときにでた意見は軒並み何かしらの形でガンダムないしそれ以外のロボットアニメで消化された感はあります、でもってその後何かあったかというと、次が何も思いつかない状態と言いましょうか。
種のときに出た意見(記憶している限り)
一応書いておきますと、当時かなり炎上した中で
1実弾
2おっさん主人公
3泥臭い
4厨2じゃない
5陸戦
6富野監督復帰
7キャラデザ硬派にしろ、昔っぽくしろ
8第三勢力、テロリストものやめて戦争しろ
9宇宙世紀新作、宇宙世紀をOVAではなく地上波で
こんな意見が出てきた記憶があります、でこの後の20年ほどで大体この意見に入る作品はガンダムであれガンダム以外であれ、全部一応制作されました。9だって一応UCテレビ放映版でなんとか…。
まあおっさん主人公はガンダムの範囲内だとかなり強引な方法で作られた感はありますが(殲滅する)。
つまり「種のときに出た宿題は全部終わった」んですよ、ロボットアニメないしガンダムは、で次の課題はというとほとんど思いつかないんです、誰も何も言わない、多分誰も思いつかないからなんだと思います、AGEの時まではなんだかんだかろうじてあったんですが、正直鉄血を始めここ5年の作品は文句は言われるものの「こういうの作れ」的な意見はあんまり無いんですよね。
これ結構由々しき事態だと思います、なんせ誰も思いつかない、ビジョンや方向性がないってことですから。作品作れば批判されるし意見も出るのに、部分的な改善案が出て某キン肉マンの超人のAAが貼られるだけで、もっと大規模な案が出ないんですよ、種の時と違って、ここをこうしろ系の意見は多いのに、こういうのを作れという意見は少ない。改善案はあっても改革案が無いんです。
リアル系はもう結構厳しい
実際所謂リアル系を見るとこれは前にも何度か書いたことなのですが、まずリアルが多様化している、1stガンダムの頃は第二次世界大戦と第三次世界大戦という2つのキーワード、まだ戦中世代が生存しておりかつ冷戦構造による第三次世界大戦の危機みたいなものが常に言われていた時代。ある意味1stこそ近未来SFの一種である「第三次世界大戦もの」、そのものではないにせよ延長と捉える事が出来たと思います。
所が91年にソ連崩壊、戦中世代も鬼籍に入っていき、いわば第三次世界大戦ものは21世紀になると体感的に私は見ることができなくなりました。あっても特定国家同士の限定的な戦争ものの洋物小説のタイトルが目に入るくらい。
更に軍事技術が進歩した結果戦争のやり方も変わってきて、ロボットアニメの「アナログの戦争を巨大化してやる戦争ごっこ」的な、第二次世界大戦〜ベトナム戦争辺りの認識で作られたリアル系はかなり厳しくなりました。更に現代的な戦争者はカタルシスが現状弱く、ロボットではないミリタリー系の作品もどちらかと言うとレトロテイストの作品が多く、現代風の作品はあまり需要がない感じですね。
更にリアル系は前にも書きましたが「リアルが分散している」、十人十色のリアルがある時代何だと思います。昔みたいになんか使命感に燃えてる人とそういうのどうでもいいめんどくさい人の時代ではなくて、使命感に燃えてる人がたくさん居てみんな別々の使命感に燃えている時代と言いましょうか、みんな別々の事で悩んでる時代と言いましょうか。
1stの時みたいに世界のほぼ全ての人類に同じ戦争が降りかかり、その中での一種の運命共同体としてのWBという図式がやりにくくなった感じがあります。
それどころか宇宙世紀時代の内に運命共同体としての母艦像はだんだん崩れてきた感じがあります、Zの段階で小競り合いメインになってますから。
企業も終身雇用、一億総中流がなんだかんだ建前として機能していた時代とそうでない時代では考えが変わります、トライダーG7の下町人情中小企業的な世界もなんだかんだ古き良き時代の企業像な所があると思いますし。終身雇用崩壊がどうのとか非正規がどうのとか派遣切りがどうのととかだと言う時代になると、リアルな労働像すらもバラバラになってきました。正直今の時代皆が納得する戦争描写どころか、皆が納得する労働描写すら難しい。
私などはゲーマーなので何でもゲームに例えますが、正直ゲームに関しても多分一定以上の知識、経験があるのは日本人の2割程度でしょうし、特に世代の制約が大きいジャンルで、例えば格ゲーやSTGなどはある時期すごく流行ってそのときの世代が未だに愛好しているジャンルなのでそれ以外の世代には通じにくかったりします。つまりゲーマー同士でもジェネレーションギャップがすごい大きいんですよ。
私はポケモンネタが通じる世代と通じない世代でゲームの場合世代が別れていると感じています。ガンダム系の実況者で良くポケモンネタ使う人が居るんですが、でもってリスナーが全員ポケモンネタ理解してる事前提で実際ほぼ全員理解しているから割と円滑に進むんですよ。
ゲーム1つとってもこれくらい意識の差があるんです(こんなに俺と地球人で意識の差があるとは思わなかった)、それだけに皆が共有しているリアルというのは多分存在しない時代なんだと思います。1stみたいな「皆が共有しているリアル」が前提の作品はすごく作りにくくなったと思います。1stも結構当時は描写で悶着あったとは聞いてますが。
スーパー系も少しばかり方向性が見当たらない
スーパー系と呼ばれるジャンルはいくつかのパターンに大別できます。特にマジンガーで言うとマンガとアニメの違いみたいなものです。
スーパー系の場合バトルものとして捉えると結構厳しい、たまにロボットの絵を描いているのですが、線が多い、こんな大変なものアニメーターは描いているのかと。超人バトルのほうが楽だと思います、まだ線が少ないので。正直ロボ系は作画カロリーがヤバい、それだけに普通にバトルもの作ればよくねという問題はなかなか異解決しない。
とんでもないパワーのロボットがなんかとんでもない事をする系はなんかグレンラガンでやりきっちゃった感が結構ありますね…あれももう15年くらい前ですか。
意外とキッズ向けは一時期より数が増えてる感じがあります。一時期はマジで一本もない、あっても恐ろしく限定的な公開みたいな年がちょくちょくあったことを考えると多いです。
私なりに課題を出すと
正直かなり無理やりひねり出しました、正直結構厳しい。
1子供向けのロボットアニメ
入り口というのは大事なんです、実は近年は一時期よりはむしろ低年齢向けは充実しています。シンカリオンも結局2期やるみたいですし、ネタにされてた在来線もやるみたいですねPV見る限り。
なのでこの課題すら割とクリア済み。私の幼少期ってだんだん子供向けロボアニメが消えていった時期で子供時代に興味持ってた割に見るものが少なかったんですよ、すでに深夜行きが始まって、でもネットで動画なんて今みたいにないですから。
鬼滅の刃がかなり深夜アニメから配信で大ヒットしたのを見て私の幼少期とはかなり違うなぁと感じています。
2流行を取り入れたガンダム
ガンダムもロボットアニメも客層、若しくはクリエーター層が良くも悪くも高齢化しています、なのでここ十数年はターゲットもクリエーターも年をとってしまった感があります。
この状態は別にロボットアニメだけの問題でもなくいろんなジャンルで起こっています。
私なりにガンダムを見てきた感想として、ガンダムは王道には割と逆らうんですけどその時代の流行をバリバリ取り入れたまさに厨二(若者向けくらいのニュアンス)な側面が常にあったと思います。
問題は確実に種の頃と比べても近年の流行ってわかりにくいんですよね、仮に流行があってもそれが創作物という形になりにくいのが現代という時代何だと思います。
3現代〜近未来が舞台の比較的現代から離れてないリアル系
これは正直私的に推奨できないですね。海外向けないし海外そのものでやったほうが良いジャンルかもしれない。というのも1st時代のまだ戦争の記憶が残ってた+冷戦の時代と比べて興味を持っている人間が少ない事が難点だと思います。
OBSOLETEなんかが一応やってますね。
ロボットアニメというよりも巨大ロボットジャンルの今後
近年感じるのが「海外特にアジア製」がちらほらでてきた事ですね、よくも悪くも。
今中国ではSFが全盛期で三体という大作が発表された後です、日本ではSFは30年以上前に衰退したのに海外ではまだ元気なジャンルという事ですね。ロボットにも同じ傾向が見られます。
今フィリピンでボルテスXの実写化企画が進行中だそうです、この間のレッドバロンの映画のメカデザはたしかタイ人だったはず、そしてタイではロボゲの製作が盛んになっています、理由はタイ人の開発者にもわからないそうですが。こういう感じで、ジャンルそのものは死滅しないで残っていきそうな感じはありますね。
終わりに
前に主張したリアル系が最近は厳しい仮説の再主張みたいになってます、リアル系を支えていた現実が崩れて皆の現実共有がうまく行かなくなった時代なんです。
逆にスーパー系はリアル系と違って内側の問題と言うよりは他のバトルものやホビーアニメとの差別化をどうするかという問題が大きいです。
その上でロボットアニメというよりも巨大ロボットというのが一つの概念化した今の世界、日本ではなく世界全体で巨大ロボットが概念化した時代に、こういったジャンルが死滅することも無いんだろうなと言うのもまた同時に感じたということで締めます。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image