ここ3年くらいのガンダムってかなりニュートラルな環境なんですよね。ガンダムって良くも悪くも思想的というか、濃いというか、方向性があるというか、そういう感じだったのですが、そういった雰囲気がここ3年くらいかじられないんです。それについて考えていきたいということです。
ガンダムはいつも荒れていることで有名だった
これは多分ガンダムにある程度詳しい人間なら共通認識だと思います。ガンダムはいつも荒れているというのが少なくとも5年前までは常識としてネットで語られていたんですよ。
事例としては昔のニコニコのガンダム関係の動画とか記事を見てください、特にコメントの中の戦争という記事に当時の雰囲気の名残があります。この※タグは昔はガンダムのポケ戦をパロった記事でガンダム記事だったのに、いつの間にかガンダムがあまり荒れなくなったせいで役割を失った挙げ句、政治系のネタに乗っ取られてしまったという歴史があるんです。
少なくともここ数年ガンダムってあまり荒れてない、まず荒れる理由の1つだったガンダムらしさというワードが全く聞かなくなった不思議、今のガンダムはとてもニュートラルな状態なんですよ。
最近のガンダムはそのガンダムらしさというワードが行方不明
これに関しては私はずっとクソコラムで同じこと書いてきたのですが、リアルロボットのリアリティを支える現実的背景が90年代までにほぼ崩壊してしまったということ、1stを支えたキーワードの多くが、結局当時の日本のリアリズムを背景にしており、2大勢力、イデオロギー、大量破壊兵器による終末戦争、人の革新、大体が良くも悪くも当時の世相を反映したものになっているんですよ。冷戦構造があってまだ戦中世代が現役だったからこそのリアリティだった。
その上スペースコロニーみたいな所謂SFギミックや、ガンダムが所謂ロボットである点、装備にビームサーベルがある点等、やはり全体的に当時の流行が入っている感じで、やはり世界観、ギミックが当時の雰囲気なんですよ。
そういった中でガンダムは出来た、ここでガンダムらしさにまず1つの矛盾が産まれるんですよ、果たしてガンダムらしさは「現代の世相や流行を反映する事」か「1stの時代の世相や流行を保存する事」なのか。ガンダムにおいてガンダムらしさの議論が決着を見なかったのはこれが原因だと思います。
同じ問題を抱えているシリーズにFFがあるんですけど、あっちは良くも悪くもノムリッシュ=FFか14=FFが固定化されているのでガンダムとはかなり異質、あまり広がりがありません、だから事実上ガンダムだけが抱える特異な特徴がこれになります。ガンダムらしさ論争をしている人を見ると何かしらこの点が軸になっている感じ。
で最近のガンダムを見ていると、この部分がかなり曖昧になっているんですよ、鉄血は任侠路線って話ですがこのジャンルが流行したのって60〜70年代で1stより前のジャンルなんですよまず、だからこういったジャンルという目線から見るとむしろ流行を反映していないという事になります。
そして1stの背景だったそれらのギミックを世間が忘れてしまった、イデオロギー、冷戦、スペースコロニー、これらを記憶している人間が居ない、特にコロニーとか概念的に既にガンダムの中だけみたいになってます、SFが衰退というよりSFの支えだった宇宙開発競争が収まっている現状なので、月にってから今年で何年だっけ?火星には未だに行けてない、この状態なので。そうなるとガンダムらしさを意識する背景が無くなってくるんですよね、だからだんだん人々からガンダムらしさの根拠そのものが失われていく。
20年前、種の頃にはまだそういう雰囲気が記憶されていたからこそガンダムらしさについて色々言われたのですが、今は皆忘れているんです。
種の頃のガンダム観と今のガンダム観
種の頃は1年戦争が主体だったのに対して、今はすごく曖昧なんですよガンダムって。
種の頃のガンダム観って色々言われているのですが、1に1年戦争、2に宇宙世紀(ただしZまで、あと一応CCA)、3にその他的なところがあったように感じます。
これは当時ちょうど1st世代がクリエイター側に回っていた、オタクの中心に居た事が大きかったように思えます、今50代であろう1st世代は当時30代だったので、全体として作れる側に断っていた、ベックゲーとか1年戦争外伝ものがあの時代すごく充実していたのも時代でしょう。
ただ逆に1年戦争以外の宇宙世紀はあまり話題が無く、Zガンダムがエウティタとかで話題があったもののそれくらいといいますか、1年戦争の時代だったと思います。良くも悪くもZ以降に話題がシフトしていった時期はUCの展開時期だったと思います。あの頃は逆にOVAやゲームでの1年戦争系が息切れしていた時期でもありますし。
逆になんというか、SDは90年代後半にポケモンの台頭と入れ替わる形で下火になってまして、空気でした。完全にリアルガンダムの時代でしたね。あと平成御三家の存在感も多分かなり薄かったと思います。
種の展開が1stっぽい理由もここにあると思います、良くも悪くも当時って「なんとなく1st、1年戦争的なものがガンダム」だった時代なんですよ。
じゃあ今はというと、正直わかりません。まずゲームですが、ガンダムゲー自体が下火といいますか、昔ほどガンガン出てません。ソシャゲのガンダムゲーは多くがセルラン低くて目立ちません。また昔ながらの1年戦争ゲーもスパロボも空気傾向があります。VSシリーズもイマイチというか、某再生数の多い実況者は別のゲームの方が再生数稼げるので最近ガンダムの人だって忘れられてるレベルですし。また宇宙世紀作品は1年戦争系からそれ以外のものへとシフトしつつあり、全体としては当時ほど1年戦争のイメージがないんですよガンダムって。
プラモ販促には力入れてビルド→旧期待HG化を繰り返してアナザー量産機系列もかなり充実してきましたし、品薄でかなり売ってません、ガンプラコーナーはガンプラ以外のプラモが埋めている状態です。
そしてアレだけ荒れた種も今更劇場版公開したときの反響が、あんまり荒れない、スパロボで参戦するたびに種絡みのところだけコメントが荒れるのがお約束様式美だったことを校了すると、逆に怖いですよ。一時期はやったオルガネタもネタ切れで落ち着いてきましたし。
全体的に言うと種時代の1年戦争と1st、宇宙世紀CCAまで的なイメージはあまり残って無くて、種が出ても荒れなくて、オルガもネタ切れ、アナザー自体が鉄血から7年ですし、ビルドもそろそろ10周年が見えてきました。素な状態でガンダムって何って言うと正直わからない、既に過去のガンダムらしさが忘れられた、反面新しいイメージがそれほど濃くない状態なんですよ。つまりみんななんとなくガンダムという物があるのは知ってるけど、明確にガンダムとはこれだ!という主張があまりない時代なんですよ。
だから読めない水星の魔女
水星の魔女が発表されて以来かなりいろんな予想がネットで行われていますが、「読めない」って声が散見されます。実際に上記のように今ガンダムってこれがガンダムだ!ってものがない状態なので、読めないんですよ。すごくニュートラルな状態なんです。これは自由という反面、何をすればいいのかわからない状態とも言えるんですよね。なので吉とも凶とも出そうな状態なんですよ。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image