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(6)岡田商船・田川丸−B

機関室タービンプラントの続きです。

VLCC田川丸(昭和49年)IHI・FW製・モノウオール構造舶用D型水管ボイラ2基:上部の蒸気ドラム。

最大蒸発量81,000Kg/h×2基、ボイラ圧力75Kg/cu、蒸気温度515℃、モノウオール水冷壁溶接構造、2要素コープスバルカン給水調節器、ベーレー燃焼制御装置、ガデリウス空気予熱機、三菱バルカンスートブロワーなどを装備。




VLCC田川丸(昭和50年)IHI・FW製・モノウオール構造舶用D型水管ボイラ2基:内外部開放検査中。

航海中のボイラ内部の修理は過酷だった。我慢時間1人15分の交代作業だ。たまった汗が滝のようにザーッと流れた。高圧ボイラの事故は船にとって致命的なダメージとなる。全員で徹夜で修理を完了させる。ボイラ・ボイラ付属機器は二等機関士の担当でボイラ水質の管理は重要管理項目。苛性ソーダ・燐酸ソーダ・ヒドラジンなど薬品をかなり使用した。




VLCC田川丸(昭和49年) コントロールルームは主要機器の運転・監視を行う。

日中は作業班とMO点検班に分かれる。MO点検班は全ての設備を巡回点検し点検帳に記録する。異常の無いことを確認して夜間の機関室無人運転に切り替える。但し警報は各担当者の部屋に音声と共に入る。睡眠中に警報が入ればエレベーターの優先ボタンを使って機関室に急行する。

タービンプラントはボイラ・タービンはじめ多くの重要機器が連携して動いており1か所の故障が全体に及ぶため原因が掴みにくいことが多い。船は20万トンの原油を積んで全速で走っている。いつ何が起こるか分からない。機関部の人は全ての機器の構造・性能を把握して全体の運転状況をよく知っておく必要があり日々勉強だった。




VLCC田川丸(昭和49年)コントロールルーム主要機器の作動状況が表示されたグラフィックパネル

出入港時などプラント(機関)の操作を行うときは無線機をもって現場と確認を行う。特にブラックアアウトの復旧等でボイラの手動点火をする場合は要注意。バックファイアを起こせばボイラを破壊し船体まで損傷する。

ボイラは初期点火にはA重油を使用するが通常は低質のバンカー重油を使い燃料費を押さえる。油の粘度はRWNo,1・50℃で1500秒くらいの粗悪油も使った。これを95℃に加熱しバーナー前で100秒くらいにして噴射する。粗悪油は硫黄分も含まれておりボイラが腐食されやすくなる。空気予熱器は硫酸腐食が多くなる。




VLCC田川丸(昭和50年)石川島播磨造船相生ドック入渠前。早朝の入港スタンバイ。

二等機関士が水路の状況を見に来た。ボイラの火をおとすタイミングを計っている。前日からドック入りの準備でほとんど寝ていない。そしてドックを出るまであまり寝る時間は無い。ドック中は決められた工期の中でできるだけ多くの修繕を済ませて航海中に支障が起きないようにする。

ボイラは翌日にまだ熱いが内部と炉内を開放しまず点検する。特にボイラの蒸気ドラム・水ドラム・燃焼室は先に二等機関士が入って確認する。ドラム内部は表面が真黒になっていた。これが正解で二等機関士の成績表でもあった。自分はいつも汚れていたが機械は好調だった。



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船タンカーのデッキ散歩A


音符タイムオンマイハンズ:スタンゲッツ音符




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