クニマスの繁殖や研究を行う県水産技術センターが発表したもので、おととしの生息数の推計は1万7000匹あまりと、県の調査開始以来、最も多くなったとのことです
さて、このクニマスですが、西湖で発見されたのは13年前
もともとは秋田県の田沢湖にしか生息していないといわれ、人間による乱獲により、1940年、「絶滅」が確認されていました
この魚が、遠く離れた山梨県の西湖で発見されたのは2010年のこと。
東北秋田から遠く離れた西湖での発見は、ニュースなどで大きな話題となりました
その発見に大きくかかわったのがおなじみさかなクンなのです
京都大学の中坊徹次教授が、さかなクンにクニマスのイラストの制作を依頼したところから、奇跡のストーリーがはじまります。
さかなクンは、参考のため、全国からクニマスに近い種であるヒメマスを取り寄せることにしました。
なお、クニマスはヒメマスと同じように、ベニザケの陸封型(海にわたらず淡水で過ごす魚)と考えられています。
同じ種であっても生息地などの生育環境により、個体にはさまざまな特徴が出ますから、似た環境の西湖のヒメマスを取り寄せたわけです
しかしそこでさかなクン、西湖から取り寄せたヒメマスに他と異なる個体を見つけます。
え、これ、クニマスでは?
さかなクンは、中坊さんにその魚をみせ、大学で遺伝子の分析等を行った結果、この個体がクニマスであることが判明したという経緯です。
田沢湖とは遠く離れる西湖で生育したヒメマスについて、「これはクニマスでは」と直感したさかなクン、さすがとしかいいようがありません。
ではなぜ西湖にクニマスがいたのか
その原因として考えられるのは、1935年に行われた、西湖でのクニマスの放流事業。そこで放流されたものが、代々命をつないでいたということなのですね。
西湖では、同地でクニマスが生息していることを確認、さらに人工増殖を行いました。そして2012年以来毎年、試験採取や遺伝子解析により生息数を推計しています
またクニマスの故郷である秋田の田沢湖に戻す事業も行っています。田沢湖の水質改善も地域を挙げて進め2013年3月7日、人工増殖したクニマスの稚魚10尾を田沢湖に送り、無事里帰りを果たしています。
参考資料 「クニマスは生きていた」