なぜ、こんな馬鹿騒ぎが出てきたか不思議だったが、理由はIPCCも地球温暖化対策が進んで、今以上の対策は不要だというデータを得たからだった。
地球温暖化対策をもっとということで金を得て世界で遊んでいたNGOからすれば、地球温暖化対策が進むことは自滅を意味するということ。
本来、不要になった組織は解散で良いが、甘い汁をもっと吸いたいという人間の欲は非論理的な行動に出るのだ。
アゴラより、
地球温暖化のスピードは減速する
2020年01月27日 17:01
池田 信夫
アゴラ研究所所長 学術博士(慶應義塾大学)
http://agora-web.jp/archives/2044006.html
記事より、
昨年11月に発表されたIEA(国際エネルギー機関)のWorld Energy Outlookが、ちょっと話題を呼んでいる。このレポートの地球温暖化についての分析は、来年発表されるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書に使われるデータベースにもとづいているので、その先行リリースともいえるものだが、これまで悲観的になる一方だった推定が楽観的になっているのだ。
2013年に発表されたIPCCの第5次評価報告書の最悪のRCP8.5シナリオ(温暖化対策なし)では、2100年の地球平均気温は2000年から2.6〜4.8℃上昇すると推定されていた。この4.8℃がマスコミによく出てくる数字だが、今回のIEAの推定では、これが大幅に下方修正されている。
IEAの推定は2040年までだが、このCO2増加率がそのまま2100年まで続くと想定したHausfather-Ritchieの推定によると、CO2の実質排出量は、IPCCの”No Policy”シナリオ(RCP8.5)の半分以下になる。
その結果、IEAの最悪シナリオであるCPS(現在の温暖化対策のまま)でも、産業革命前から2100年までの気温上昇は2.0〜3.8℃と、IPCCのRCP6.0(対策をやや強化する)に近く、中央値(2.9℃)はRCP8.5の4.6℃より大幅に低い。モデルの誤差を勘案した最悪の場合でも3℃程度ですむだろう、とHausfather-Ritchieは予測している。
このようにIPCCの見通しが下方修正された大きな原因は、再生可能エネルギー、特に太陽光パネルの急速な普及である。
2010年代に再エネの固定価格買取制度が世界に広がり、再エネが急成長したことが、 IPCCの温暖化予測が裏切られた原因である。その傾向は今後も変わらないので、今回のIEAの予測は上限に近いと思われる。
IPCCの”No Policy”シナリオ(IEAのCPS)は何も温暖化対策をしないということではなく、今以上の対策をしないということだから、今後対策が追加されるとCO2の増加はさらに減速し、図1のように21世紀後半にはピークアウトする可能性がある。
これによって気温上昇もさらに減速し、今の対策のままでも産業革命前から3℃程度で安定する可能性がある。これはパリ協定の2℃目標を上回るが、今後の対策によってはパリ協定の目標も達成不可能ではない。現在はすでに産業革命前から1℃上昇しているので、最悪の場合でも今後2℃の上昇ということだ。
温暖化の脅威を強調する人々が再エネを普及させた結果、温暖化が減速したのは皮肉である。彼らが敵視している石炭火力も、2010年代には増加率が下がった。今後は「脱炭素化」だけではなく、途上国の生活水準など多面的な基準でエネルギー問題を考える必要があろう
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