概要は以下。
http://www.jaeic.or.jp/other_info/kenchikushiho.files/kks-zentaizou080314.pdf
T 受験可能な建築の専門能力があるという要件(@またはA)
@学歴要件 【旧】 【新】
(学科)建築、土木 → (指定科目)建築科目をバランスよく履修
A専門能力を有する者 二級建築士 → 建築設備士を二級建築士と同等認定
U 受験可能な実務経験 建築に関する幅広い実務→設計・工事監理に資する実務経験に限定※
※同等の実務訓練となるような大学院教育を含む
V 試験問題数の増 (学科)4科目100問→ 5科目125問:環境・設備の科目を新設、
マネジメント、環境設備、士法・職業倫理、構造全般にウェイト
(製図)記述問題なし → 構造・設備設計の基本的能力の確認等を追加
ということで、相当厳しくされている。
なぜ、こうした改正が必要だったのか?
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070901_2_.html
これにあるように、
1.建築士制度、建築行政の執行体制等の現状と課題
(1) 建築士制度の現状と課題
○能力の不十分な構造設計担当の建築士やチェック能力のない元請け建築士が存在している
○重層的な設計業務の実施体制が常態化し、能力の不十分な建築士が市場で淘汰されない
○工事監理が適切に機能していない
2.建築士制度、建築行政の執行体制等の見直しに向けた基本的な考え方
(1) 建築士制度に対する信頼の回復
@建築士の資質、能力の向上及び高度な専門能力を有する建築士の育成、活用
○建築士の資質、能力の向上が必要
A高度な専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化
○専門分野の建築士の関与による構造設計及び設備設計の適正化が必要
B建築士及び建築士事務所の業務の適正化
3.建築物の安全性確保のために講ずべき施策
(1) 建築士制度の抜本的な見直し
@建築士に求められる資質、能力の確保等
○建築士の資格付与要件の見直し(受験資格、実務経験及び試験内容の見直し)
○建築士事務所に所属する建築士に対する講習受講の義務化
○業務実施時における建築士免許証(顔写真入り)の提示の義務化
A高度な専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化
このような改正の背景にあるのは姉歯による構造偽装を始めとして、数々の不適切な設計が明るみに出たことによる。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070901_2/02.pdf
この答申にあるように、
3.建築士制度、建築行政の執行体制等の見直しに向けた基本的な考え方
(1)建築士制度に対する信頼の回復 建築士制度に対する信頼を回復するためには、「建築士」という資格とその業務のあり方や業を行うための「建築士事務所」制度を、消費者の立場に立って厳しく見直すとともに、これらの適正な業務実施を支えるための取り組みを総合的に講じることが必要である。
その際、今日、建築物に対する社会や国民の高度化・多様化するニーズに応え、安全で質の高い建築物を提供するため、得意分野の異なる者が協働して建築物の設計や工事監理の業務を行うことが常態化していることを念頭に置いて検討すべきである。
@建築士の資質、能力の向上及び高度な専門能力を有する建築士の育成、活用
建築士が建築物の安全や質の向上を図るための専門家としての社会的責任を果たし、信頼を取り戻すためには、その資質、能力の維持向上を図り、建築に関する深い専門的知識、技能はもちろん、高い倫理観を保持することが必要である。
したがって、
・建築士制度について受験資格及び試験等の資格要件の厳格化を図ること、
・資格取得後も、不断の自己研鑽により、建築全般にわたる一定水準の知識及び技能を維持向上させるとともに、各々得意分野の高度な知識及び技能を獲得させるため、自己研鑽を実効あるものとするための環境整備を図ること、
を基本として見直しを行うべきである。
ということで、「受験資格及び試験等の資格要件の厳格化を図ること」として、まさに受験資格の資格要件の厳格化、試験の厳格化(難易度のアップ)がされたということだ。
果たして、状況の変化はあると言えるのだろうか?
この改正が行われる以前から、人口減少により、建築士の高齢化、新たに建築士試験を受ける受験者の減少は続いていた。この傾向は今でも変わらない。
さらに、未だに意匠建築事務所、自称意匠建築建築士がほとんどで、構造建築事務所や構造建築士が大幅増になったという話は聞かない。
何も現状が変わっていない中で、なぜ、建築士の試験を甘くする必要があるのか?
意味が分からない。
参考までに、同報告書からさらに以下、引用する。
4.建築物の安全性確保のために講ずべき施策
(1)建築士制度の抜本的な見直し
@建築士に求められる資質、能力の確保等
適切な設計及び工事監理の業務を遂行できるだけの建築士の資質、能力の確保等を図るため、次の対策を講じる必要がある。
ア.新たに建築士になる者の資質、能力の確保
近年、構造計算や構造設計、設備設計の業務内容が高度化してきており、一級建築士については、こうした専門別の業務を理解して、指示し、チェックできるだけの能力が必要となってきている。また、構造及び設備の専門能力を有する一級建築士を育成し、そうした人材を確保することも必要となってきている。したがって、
これからの一級建築士の資格付与は、こうした能力を獲得できる実務経験とその能力を確認するための試験によって厳格に判定することとすべきである。
現在、建築士試験の受験資格は、建築又は土木に関する正規の課程を卒業していること及び建築に関する一定期間以上の実務経験を有していることを基本的な要件としている。実務経験については幅広に認められており、大学院における研究期間等設計業務や工事監理業務の経験がない場合であっても受験資格が認められ、試験に合格すれば建築士として、設計業務等を行うことが可能となっている。
建築士の信頼を損なう事案の発生を踏まえ、建築士に本来期待されている設計及び工事監理に必要な能力を的確に検証した上で資格が付与されるよう、次のような措置を講ずべきである。
・ 受験資格である学歴要件については、受験希望者が、所定の学科を卒業しているかどうかではなく、建築士となるのに必要な知識等を修得可能な科目を履修しているか否かにより、判断すること。
・ 受験資格である実務経験については、原則として建築士の独占業務である設計及び工事監理の業務に関するものとし、建築士事務所の管理建築士等に証明させることとすること。
・ これらの見直しの一貫として、専門能力を有する技術者の受験資格についても適切に見直しを行うこと。
・ さらに、構造及び設備等の専門分野の設計の重要性が増すなど高度化・専門分化する建築設計に対応するため、試験内容についても適切に見直しを行うこと。
参考)大学側も対応をしてきている。
http://www.keinet.ne.jp/gl/09/0708/kaikaku_0907.pdf
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