http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130406-00013341-toyo-soci&p=1
円安株高に支えられ、好スタートを切った安倍政権。政府の産業競争力会議の議員を務める慶応義塾大学の竹中平蔵教授に、アベノミクスについて尋ねた。
──安倍内閣は幸運ともいえるスタートを切りました。
いやいや、違うと思いますよ。これは安倍晋三首相が見事に期待の変化を作り上げたのだと思う。それを幸運だと言う人がいるが、それは本質を見誤っている。
これは故・速水(優)元日本銀行総裁に教わったのだが、鴨長明の『方丈記』の中に、景気とは「空気の景色」という説明が出てくるそうだ。まさしく、景気は「気」から。経済学的にはエクスペクテーション(期待)だ。それが今高まっている。それを高めたのは安倍首相の功績だ。
──アベノミクスをどう評価していますか?
3本の矢の考え方は極めて正しい。問題は、それをどこまで実行できるかに尽きる。次の日銀総裁に黒田東彦(はるひこ)・アジア開発銀行総裁を充て、1本目の矢は放たれた。2本目の矢も、短期的な財政拡大を一応果たした。
ただ、2013年度の基礎的財政収支(税収と国債費を除く歳出の差)の赤字は国内総生産(GDP)比で6.9%に達する。政府の目標どおり、20年度までにこの赤字をゼロにするなら、単純計算でも今後7年間、毎年1%ずつ改善していく必要がある。歳出削減であれ、増税であれ、それだけの負荷を毎年かけるのは大変なこと。中長期の財政再建シナリオがまだ見えていないし、シナリオをいつ示すのかもわからない。
3本目の矢に至ってはまだ形が見えていない。過去7年間に、成長戦略は七つ作られた。今回は日本経済の景色を変えるという、本当の意味での画期的な成長戦略を作れないと、8年目に8本目の成長戦略ができました、で終わってしまう。今夏の参議院選前までにどこまで示せるか、それがまさに問われている。
──成長戦略については、民間委員の意見が分かれているとの指摘が出ています。
民間委員だけでなく、霞が関や政治家の中にもどうしたらいいか、異なった意見がある。成長戦略の議論には、企業により多くの自由を与える構造改革の議論と、政府が民間部門にできるだけ多くのカネをつける産業政策の議論の二つがある。両者とも必要だが、あくまで前者にウエートがあって初めて後者も生きる。
──構造改革は何が焦点ですか?
たとえば、10年前にツイッターのようなものが出てくることを予測した人がいますか? どこに、どんな技術があるかわからないから、全面的な規制改革が必要になる。いろんな人に、いろんなチャレンジができるような仕組みを作っておく必要がある。それがあるからイノベーションが生まれる。
──規制改革では、労働市場改革にどこまで踏み込むかも注目されています。
国が抱えており、民間にやらせていない部分を解き放つことがすごく重要だ。たとえば、(一時休業などをした企業に賃金の一部を支給する)雇用調整助成金。本来なら、職業訓練を受けて、新しい職場に移って、経済成長していく分野にリソースを振り向けていくべきなのに、政府が補助金を出して抱え込んでいる。解雇規制も変えるべきだ。解雇規制を変えるというと、労働者をどんどんクビにしていいのか、という極端な議論をする人があるが、これは趣旨を歪めている。
──日本の財政再建は針の穴に糸を通すような難しさがあります。
奇策はない。ただ、一つだけ希望があるとすれば、デフレを早く克服し、名目成長率が3〜4%に達すれば、税収はものすごい勢いで増えていく。景気の回復局面では、名目GDPが1%増えると、税収は3〜4%増える。それがうまく続けば、財政再建につながる可能性はないわけではない。
01年に私が「骨太の方針」(毎年6月ごろにまとめる経済財政政策の基本方針)を作ったときに何を考えたかというと、当時の財政赤字がGDP比で5.5%だった。それを10年かけて解消するなら、GDP比の負荷は毎年0.5%で済む。ところが、今回はその倍の1%の負荷を毎年かけないと20年度までに赤字はゼロにならない。私がもし今後の財政再建計画を作るなら、20年度までの財政再建目標の達成時期を延長する。
もう少し批判があると思ったが、まったくもって肯定。
ただ、財政赤字解消は難しいだろうと。
今の景気で儲ける立場か?
少なくともシナリオ通りに政府が動いているので為替や株などで益を得ている人は多い。
その一人ではないか?
構造改革は、生産性の向上がキーだろうから、いかに若者が遮二無二働くか、である。
基本的にはベンチャーなどにお金が回るとか、大学の教育をそうした部分に本気にシフトするといったことしかないだろう。
規制緩和は粛々とやればよいが、本当に効いてくるのは知恵と努力なのだから。
すごく地味な話です。
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