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2017年12月19日
中村又五郎・加藤剛版「剣客商売」をみた。
先週の土曜日の夜、CSの時代劇専門チャンネルで中村又五郎さん出演の「剣客商売」が放送されていました。
1980年代前半に「剣客商売」のスペシャル版として制作されたものです。
秋山小兵衛役に、人間国宝の二代目中村又五郎さん、小兵衛の息子の大治郎役に加藤剛さん。「剣客商売」の作者である池波正太郎氏がかねてより名役者・中村又五郎さんを高く評価しており、秋山小兵衛は又五郎さんをモデルとして描いた、といわれるほどですから、たいへん興味深いのです。
加藤剛さんは連続ドラマ「剣客商売」でも秋山大治郎を演じていました。そのときの(連続ドラマでの)小兵衛役は山形勲さんでしたが。
平成になってから制作された「剣客商売」では、長らく藤田まことさんが小兵衛を演じており、最近では北大路欣也さんが演じました。
それぞれの小兵衛を比較してみるのも面白いです。
又五郎さんの演じる小兵衛は、おはると一緒にいるとき等の好々爺ぶりと、刀を振る時の厳しさ、殺陣シーンの見事さが際立っていて、その演技の演じ分けは見事なものです。
2017年12月18日
NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」最終回「石を継ぐ者」
ついに平成二十九年のNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」も終わってしまいました。最終回のタイトルは「石を継ぐ者」です。
「本能寺の変」が起こり、織田信長が死に、徳川家康主従はいそぎ三河へ戻りました。そして、京を制圧する明智と組むでもなく敵対の意思をみせるでもなく、勢力拡大のため、旧武田領に侵入します。織田信長の影響力が無くなった甲信の地は混乱しており、その混乱を鎮めるという名目ならば、明智の天下になろうが明智が負けようが、「勝者」に対してどうとでも言えて、責められないからです。
結局、歴史上よく知られているように、羽柴秀吉が「中国大返し」で明智と対決し、勝利をあ覚めるのです。
明智が負けたことを知った直虎も井伊谷に戻ります。
井伊谷では明智光秀の子・自然(じねん)を預かっています。その自然を引き渡してくれと、徳川家の使者として万千代が現れます。また、家康の生母・於大の方も来て、さらには織田方の使者まで来て明智の子を引き渡せと言います。
それらの強引な要求に対して、直虎は毅然とした態度でつっぱね、自然を守り抜きます。
大きな勢力に挟まれ、辛酸をなめつくした井伊の者だからこそ、理不尽な要求に負けず、活かせる命を守り抜こうとしたのです。
そんな直虎にも死の影が忍び寄ります。
戦のない平和な世を望んで生き抜いた直虎の意思は、万千代に受け継がれていきます。
「力」で相手を制するのではなく、力に頼らず平和的外交で戦をやめさせる。
万千代たち若者は活躍し、井伊万千代は元服を認められ、「直政」という名を家康から与えられます。
井伊家の当主は代々、「直」の字を諱につけた。万千代の父の直親がそうであったように。
そして「直政」の「政」の字は小野政次の「政」の字です。
直虎・直親・政次の絆が、こころが、次世代に受け継がれるということを示しているのです。
歴史上あまり知られていない、むしろ謎だらけの人物だった井伊直虎を主人公にしての大河ドラマ。始まる前は、どうなることか、と思いましたが、見事な大団円でした。
小勢力の者で、大勢力に翻弄された者だからこそ、力に頼らず平和をもとめ、守れる命を守ろうとする。戦国期の井伊の人々の生き方を描くことに、深いテーマが隠されていたのでした。
2017年12月16日
日本映画専門チャンネルで、映画「里見八犬伝」をみた。
昨日の夜は、CS放送の日本映画専門チャンネルで「里見八犬伝」が放送されました。
薬師丸ひろ子さん主演で、「八犬士」を演じた役者さんの中には真田広之さんや千葉真一さん、志穂美悦子さん、京本政樹さん、寺田農さんなどがいて、アクションシーン満載でした。敵役の闇の軍団にも、夏木マリさんとか目黒祐樹さん、萩原流行さんなど、怪しい雰囲気を醸し出せる役者さんたちが演じて、今振り返って考えてみると当時としては良く考えた配役といえます。
内容は滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」をベースにしているものの全然違うと言っていいほど異なるものです。それもそのはず、映画の本当の原作は鎌田敏夫氏の「新・里見八犬伝」という小説なのです。
ただし、この小説は「官能伝奇」と単行本の帯に書かれたように、エロとグロの要素がふんだんに盛り込まれたものです。映画にするにあたってエロの要素をほとんど削ったものになっています(ただし薬師丸ひろ子さんと真田広之さんの激しく抱き合うシーンや夏木マリさんのヌードあり)。
純粋に歴史ドラマというものではなく、角川春樹氏が深作欣二さんを監督にして気合い入れて作った伝奇アクション映画といったところです。
ずっと昔に映画館でみたのですが、久しぶりにみると、それはそれで新鮮に感じるところがありました。
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2017年12月14日
BS日テレ時代劇スペシャル「白虎隊 後編」
BS日テレで「時代劇スペシャル 白虎隊」が放送されました。
昨日は前編、今日は後編が放送されました。後編は戊辰戦争の中でも悲劇として語り継がれることの多い物語が幾つも描かれます。
タイトルが「白虎隊」ですから、当然、白虎隊の少年たちの悲劇が中心ですが、会津藩全体の悲劇が描かれます。
京都の治安維持につとめ、まさしく「勤王」だった会津がなぜ逆賊呼ばわりされて追い詰められるようになったのか?
その結果、どんな悲劇が起きたのか?
この作品が作られたころの日本テレビは年末時代劇に力を入れていて、「白虎隊」は年末時代劇のスタートで特に力を入れた作品です。その力の入れようが視聴者に伝わってくるようです。
主題歌の堀内孝雄さんの「愛しき日々」もヒットしましたが、この歌が物語のクライマックスに挿入歌として出てくると、悲劇を強く演出し心をゆさぶるようです。
松平容保役には風間杜夫さん、山川大蔵役に堤大二郎さん、西郷頼母役に里見浩太朗さん、山本覚馬役に竜雷太さん、山本八重子(NHK大河ドラマ「八重の桜」では綾瀬はるかさんが演じた)役に田中好子さんが演じていて、白虎隊士の一人には坂上忍さんが演じていました。
「暗闇仕留人」第12話「大物にて候」をみた。
夕方、CS放送の時代劇専門チャンネルで「暗闇仕留人」の第12話をみました。
サブタイトルの「大物にて候」が示すように、悪の大物が現れ、中村主水たちの前に立ちふさがり、主水を追い詰めます。長く続く「中村主水シリーズ」の中でも、相当なピンチを迎えます。
その悪の大物の名は「小兵衛」といいます。もちろん、藤田まことさんが演じた「剣客商売」の秋山小兵衛とは何の関係もありませんが、のちに藤田まことさんが演ずることになる「小兵衛」と同じ名前の人物が主水を苦しめるとは、偶然にしても皮肉であり、かつ面白いものです。
その「暗闇仕留人」のほうの悪の大物の小兵衛は、いわば裏社会で大きな力をもつ大物で、権力者のほうにも影響力がありますので、表の世界では単なる同心にすぎない中村主水にはどうすることもできません。
中村主水が珍しく手柄をたて、凶悪な男を捕まえますが、その男こそ小兵衛の身内だったので、主水は小兵衛から脅迫を受け、主水の家族「せん」と「りつ」はいやがらせを受けます。主水は小兵衛から、「牢破り」の片棒をかつげと言われ、断ればお前の家族も死に、お前もまたすぐに死ぬことになる、と脅されるのです。
小兵衛の息のかかった者どもが八丁堀を見張り、主水の動きに目を光らせるので主水自身は手が出せません。しかし、脅しに屈する主水ではありません。半次を介して、石坂浩二さん演じる糸井貢や近藤洋介さん演じる大吉に小兵衛殺しを頼みます。
貢たちとは別に小兵衛の命を狙うものがいて、失敗する中で、貢たちはどうするのか、身動きの取れない状態になった主水の運命はどうなるのか、注目すべきクライマックスでした。
ドラマ「柳生一族の陰謀」をみた
昨日の夜はCSの時代劇専門チャンネルで「柳生一族の陰謀」をみました。
主演は千葉真一さんです。「影の軍団」シリーズと同じく千葉真一さんの代表作といってもいいでしょう。
千葉さんは、かの剣豪・柳生十兵衛を演じています。
柳生十兵衛は上泉伊勢守が起こした新陰流という流派の一国一人の印可を受け正統流派を継いだとされながら「柳生新陰流」の祖とも言われる柳生石舟斎宗厳の孫です。父は徳川家剣術指南役となり幕府では目付として重きをなした柳生但馬守宗矩。この親子を中心とした柳生家の、幕閣や大名などの権力闘争とのかかわりで物語が動くのですが、昨日の放送では石橋蓮司さん演じる柳生連也斎との対立が描かれました。
柳生十兵衛の父・柳生但馬守宗矩は石舟斎の五男ですが、蓮也斎は石舟斎の長男・新次郎厳勝の孫です。新次郎厳勝の子が尾張柳生の祖である兵庫助厳利で、蓮也斎は兵庫助の三男です。
尾張名古屋の徳川家に仕え代々兵法指南役をつとめたので「尾張柳生」といわれます。新陰流の正統は尾張柳生が受け継ぎ、実力も尾張柳生の方が上と言われるので、このドラマを含めた数々の時代劇では江戸柳生と尾張柳生が対立的に描かれます。
石橋蓮司さん演じる連也斎は「妖刀」と言われる村正の刀を手に入れ、江戸柳生に戦いを挑みます。
「妖刀村正」とは徳川家代々に仇をなしたといわれる刀で、徳川家を脅かす象徴です。「妖刀」といわれる刀を石橋蓮司さんが演じる連也斎が使う。まさに石橋蓮司さんのもつ雰囲気にふさわしい役どころでした。
2017年12月13日
「暗闇仕留人」第11話 惚れて候
BS朝日で「必殺仕置屋稼業」を見た後、時代劇専門チャンネルで、同じ「必殺シリーズ」の「暗闇仕留人」をみました。
これは、藤田まことさんの他に、石坂浩二さんなどが出演しているシリーズです。
後年の必殺シリーズに比べるとかなりハードボイルド的要素の強い作品で、悪人は冷酷非情・残忍そのもので仕留人(仕事人)の殺しのシーンも大見得をきるのではなく、殺し屋に徹してさっと一瞬のうちに「仕留め」ます。
この11話では、知能が優れていない男が火盗改メに誤認逮捕され、釈放されたが逆に恩を着せられ、その恩の為に利用され殺しの道具にされ、権力者の非情さのために処刑される。その男に惚れて一緒になった女も殺される。「仕留人」はその弱く貧しい男と女のために、かたきをうつ。
展開がスピーディーなのがこの作品の特徴だともいえますが、他のシリーズ以上に悪人が冷血で人の命をなんとも思わず道具扱いします。もちろん、他のシリーズでもそういう悪人は出てきますが、このシリーズは悪人の「乾いた」感じがきわだっているように感じます。
「必殺仕置屋稼業」最終回をみた
「必殺シリーズ」の、藤田まことさん演じる中村主水が活躍する「中村主水シリーズ」はBS朝日でも放送されています。今日夕方四時からの放送は「必殺仕置屋稼業」最終回でした。
藤田まことさんのほかに、中村玉尾さん、沖雅也さん、新克利さん、渡辺篤史さん、小松政夫さんらが出演しています。
沖雅也さんといえば若くして自殺した伝説の俳優で、二枚目俳優として知られていました。「イケメン」という言葉がなかった時代ですが、そういう言葉があったならイケメン俳優と言われていたでしょう。その沖雅也さんが市松というクールな仕置人を演じています。後年、京本政樹さんは仕事人の「竜」を演じるにあたり市松の沖雅也さんのたたずまいを参考にしたそうです。
最終回では、市松が殺しの犯人として捕まります。奉行所の下っ端同心である中村主水は、仲間である市松を助けたいが主水自身が市松の仲間であるとバレずに市松を救出できる可能性は低く、救出に失敗すれば中村家婿養子で八丁堀同心である自分の身分はなくなる。そのことで悩みます。
その結果、主水や市松がどうなるのか? それに注目すべき最終回です。この主水の選択が後々の中村主水シリーズの主水の姿に関係してきます。
2017年12月10日
NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」第49回放送「本能寺が変」
NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」もいよいよ最終回が近づいてまいりました。最終回直前です。
明智光秀や今川氏真の動きによって、織田信長による京での家康主従謀殺の企てと、それを逆手に取った光秀による信長暗殺計画を知った家康は、酒井忠次・本多忠勝・榊原康政・石川数正ら譜代の重臣や井伊万千代を伴って安土へ向かいます。
一方、直虎は、信長に対する光秀の謀反が起きた時のために徳川主従が三河・遠江へ帰る道筋をつけてほしいとの万千代の頼みを受けて、堺へ向かいます。
堺には直虎の知人たちがいます。直虎は、彼らの助けを受けて、海路で三河へ戻るか陸路(南山城・甲賀・伊賀を抜けて伊勢に出て伊勢湾を渡り知多へ向かう)のどちらかを考えます。
家康主従はというと、信長の饗応を受け、「どうきりぬけようか」と考えたり「謀殺の企ては真か?」と疑ったりします。
それからが見もので、歴史家たちがあれこれ頭をひねってきた本能寺の変に関わる様々な謎が明らかにされるのです。家康が本能寺での信長横死を知ったときに何故「腹を切る」といったのか? 何故穴山梅雪は家康らと別行動をとって死んだのか、なぜ穴山は死んだのに家康らは手際よく三河へ逃げられたのか? などなど。
このあたりが、家康主従によるわざとらしい芝居(「ドラマの中で」の)をまじえながら展開され、これまでの戦国ものの大河ドラマやその他歴史ドラマには描かれなかった解釈で描かれたのが新鮮でした。
BS日テレで里見浩太朗主演「長七郎江戸日記スペシャル」をみた。
「必殺シリーズ」や大河ドラマ「風林火山」「義経」などをみた日は時代劇ざんまいの日で、夜になってからはBS日テレで「長七郎江戸日記スペシャル」をみました。
主演は里見浩太朗さん。演じる役柄は、徳川四代将軍の従弟にあたる松平長七郎です。松平長七郎は架空の人物ですが、設定では父親が駿河大納言忠長となっています。
忠長は三代将軍の同母弟で、家光と将軍の座を争い負け、切腹を命じられた。その史実を基に、「家光は弟を死なせたことを悔い、忠長の遺児である長七郎をとりたてようとしたが長七郎は市井I(しせい)の中で生きることを望んだ、とドラマでは設定され、長七郎と江戸の町の人々との交流や、庶民を苦しめる悪人たちを長七郎が成敗する、という勧善懲悪の物語となっています。
このスペシャル版では、長七郎の偽物が現れ、本物の長七郎は幕府の重臣・酒井のたくらみによって監禁され、偽物が忠長の遺臣たちを煽って将軍家に対する謀反を起こそうとする。黒幕はなにを考えているのか、偽物による謀反は成功するのか、長七郎の運命はどうなるのか、という目が離せない展開でした。
里見浩太朗さんが一人二役を演じたわけですが、その演技もさることながら、ストーリー展開もよかったと思います。
また、黒幕の本当のたくらみが実は幕府転覆ではなく、偽物による将軍暗殺を直前で防いで自分の手柄にして、自分をないがしろにしてきた他の重臣たちの鼻を明かしてやろうとするものだった、というのには驚きました。幕府転覆の陰謀ならそれはそれで驚天動地のこととなりますが、偽物の利用するだけりようして自分の大手柄とするやり口は、それはそれで悪辣です。