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2017年12月18日
NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」最終回「石を継ぐ者」
ついに平成二十九年のNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」も終わってしまいました。最終回のタイトルは「石を継ぐ者」です。
「本能寺の変」が起こり、織田信長が死に、徳川家康主従はいそぎ三河へ戻りました。そして、京を制圧する明智と組むでもなく敵対の意思をみせるでもなく、勢力拡大のため、旧武田領に侵入します。織田信長の影響力が無くなった甲信の地は混乱しており、その混乱を鎮めるという名目ならば、明智の天下になろうが明智が負けようが、「勝者」に対してどうとでも言えて、責められないからです。
結局、歴史上よく知られているように、羽柴秀吉が「中国大返し」で明智と対決し、勝利をあ覚めるのです。
明智が負けたことを知った直虎も井伊谷に戻ります。
井伊谷では明智光秀の子・自然(じねん)を預かっています。その自然を引き渡してくれと、徳川家の使者として万千代が現れます。また、家康の生母・於大の方も来て、さらには織田方の使者まで来て明智の子を引き渡せと言います。
それらの強引な要求に対して、直虎は毅然とした態度でつっぱね、自然を守り抜きます。
大きな勢力に挟まれ、辛酸をなめつくした井伊の者だからこそ、理不尽な要求に負けず、活かせる命を守り抜こうとしたのです。
そんな直虎にも死の影が忍び寄ります。
戦のない平和な世を望んで生き抜いた直虎の意思は、万千代に受け継がれていきます。
「力」で相手を制するのではなく、力に頼らず平和的外交で戦をやめさせる。
万千代たち若者は活躍し、井伊万千代は元服を認められ、「直政」という名を家康から与えられます。
井伊家の当主は代々、「直」の字を諱につけた。万千代の父の直親がそうであったように。
そして「直政」の「政」の字は小野政次の「政」の字です。
直虎・直親・政次の絆が、こころが、次世代に受け継がれるということを示しているのです。
歴史上あまり知られていない、むしろ謎だらけの人物だった井伊直虎を主人公にしての大河ドラマ。始まる前は、どうなることか、と思いましたが、見事な大団円でした。
小勢力の者で、大勢力に翻弄された者だからこそ、力に頼らず平和をもとめ、守れる命を守ろうとする。戦国期の井伊の人々の生き方を描くことに、深いテーマが隠されていたのでした。