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タグ / 老人ホーム

記事
闇の雄叫び 19 (螺旋) [2017/12/26 23:00]
仕事を休み、ぼんやりと改善しつつある眩暈の揺れを覚えながら、これまでも何度となく自問自答してきたことを、自室のベッドに横たわりながら反芻することになる。 それは出口の見えない虚しさだけの回想でもあり、急に何もすることがなくなった日々がもたらした、不意な時間軸的余裕だったのかもしれない。 そこでは、本当にどうしようもない程の堂々巡りを自問し、答えにすらならない自答をただひたすらに繰り返すだけとなる。 これまでの父の件では、そしてそれに纏わる自身の立ち回りとは、..
闇の雄叫び 11 (かりそめの月日が終わるとき) [2017/11/20 16:15]
父危篤 ―――― 勤務中に知らせを受けたので、早退して一旦自宅に寄り、そういう連絡が入ったと母へ伝える。 外出着を準備するのに母が寝室のドアを開け放つと、そこでは施設をたらい回しにされる直前まで父が寝起きしていたベッドがあり、長年使っていた布団や枕が整然と延べられたままである。 あの日まで、認知症在宅介護の修羅場と化していた筈のベッドだが、いまやそれは用途も温度も必要としないただの物体でしかなく、もうここに父は戻らないのだなと、なにやら虚無感に囚われてゆく。 ..
闇の雄叫び 9 (”我”というもの) [2017/11/17 02:10]
結局は、施設側に折れてもらったのだろう。 後ろ髪を引かれる思いを胸に、父のいる施設を後にしながら、帰りの車中ではただただそんな気持ちに苛まれた。 「どうか宜しくお願いします」と、施設の責任者に玄関口で頭を下げたときも、相変わらず父の叫び声は轟いており、こちらをじっと窺っていた何人かの他の入所者達の顔も目に入った。 その中には、父を一生懸命に叱り付けていた女性の姿もあり、隠れるか消えてなくなりたい気持ちとで一杯になる。 「ちょっとあなた!どうしてそんな酷いこと言..
闇の雄叫び 6 (沙汰も金次第) [2017/10/30 19:55]
認知症特化型有料老人ホーム。 その諸々の入所費用や連携医療サービス費用を合わせると、月額ざっと30万円近くになる。 そこは別段、優雅でグルメでリゾートチックな老後を過ごせるような海辺のハイエンド施設という風情のものではなく、ごくありふれた住宅街の片隅に建つ小規模のグループホームといったところであり、建物自体もごくごく普通の木造2階家屋である。 もちろん温泉が湧いてるわけでもなく、一流のシェフが日々の料理を提供しているわけでもない。 そこは認..
闇の雄叫び 3 (誰も寝てはならぬ) [2016/09/24 01:51]
休暇はとっくに消え失せた。 仕方ないので「欠勤」で仕事を休み、父を病院に連れて行くためショートステイ先に迎えに行き、車に乗せる。 おそらくはオムツの交換はしているのだろうが、車内中に糞便の臭いが充満する。 ま、いつものことだ。 余談だが、管理人は車好きである。 自分の愛車をこよなく溺愛する愛車好きである。 まめに洗車し、車外は定期的にコーティングを施し、革張りの室内やシートは洗車の度に入念なるクリーニングをしている。近所迷惑にならない程度の..

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