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2020年12月01日

【恒常性維持】食欲の制御とホルモン「レプチン」


 レプチンは、脂肪細胞から分泌されるペプチドホルモンで、インスリンの刺激を受けてつくり出され、視床下部にある満腹中枢に作用して食欲を抑えます。また交感神経を活性化させて脂肪を燃やし、エネルギーの消費を促すことで肥満を抑制する働きがあります。





 満腹を感じる満腹中枢は、ホルモンであるレプチンの影響を受けています。食事により、血糖値が上昇し、脂肪細胞が刺激されることでレプチンが分泌されます。レプチンは、満腹中枢を刺激するレプチン受容体に作用して、食欲を抑制します。すなわち、食べることでレプチンが働き、食欲が抑えられ、満腹を感じます。食欲を制御するには、レプチンなどのホルモンをコントロールすることです。レプチンは、食後に脂肪細胞から分泌され、満腹中枢を刺激し、満腹を感じます。食欲を抑制するには、このレプチンの血中濃度を高い状態に保つことです。





 食欲を抑制するレプチンの正常な分泌は、食欲の抑制につながります。レプチンを増やすには、空腹時に分泌されるホルモンのグレリンを抑える必要があります。グレリンは、運動することで分泌を抑えることができるという研究結果が報告されています。お腹が空いていても、グレリンが分泌されないことで空腹を感じなくなります。睡眠不足は、レプチンの分泌量を減らし、グレリンが増加することが分かっています。8時間前後の睡眠をしっかりとることで、レプチンの分泌を維持すること可能となります。アルコールの飲み過ぎも、レプチンを減少させるようです。レプチンが充分に分泌されるためには、食後20分以上かかると言われています。そのため、20分以上かけよく噛んで食べることで、食欲が落ち着きます。





 また、血糖値が下がる際に、強い空腹を感じるので、血糖値の上昇を緩やかにすることで、強い空腹感を避けることができます。食後の血糖値の上昇は、食べる順序で抑えることができます。まず野菜を食べ、肉や魚、大豆製品などの主菜、ご飯という順序で食べることで、血糖値の急上昇が抑えられます。野菜に含まれる食物繊維が、糖質の吸収をおだやかにすることで、血糖値の上昇が緩やかになるためです。



脂肪細胞でつくられる食欲の制御とエネルギー代謝の調節に関わるホルモン


 レプチンは、脂肪細胞から分泌されるペプチドホルモンで、インスリンの刺激を受けてつくり出され、視床下部にある満腹中枢に作用して食欲を抑えます。また交感神経を活性化させて脂肪を燃やし、エネルギーの消費を促すことで肥満を抑制する働きがあります。レプチンは、アディポサイトカインの代表的なものです。





 アディポサイトカインの「アディポ」は脂肪、「サイトカイン」は生理活性物質を意味し、アディポサイトカインは脂肪細胞から分泌されるさまざまな生理活性物質の総称です。内臓脂肪がたまると、その分泌調節に不全をきたします。アディポサイトカインには、悪玉物質と善玉物質とがあります。悪玉には血栓をつくりやすくする物質やインスリン抵抗性を起こす物質、血圧を上げるアンジオテンシノーゲンなどがあります。善玉にはインスリン抵抗性を改善し、動脈硬化を防ぐアディポネクチンがあります。内臓脂肪の蓄積は、これらのアディポサイトカインの分泌に異常をきたし、血液中の悪玉物質が増加する一方、善玉物質の血中濃度を低下させることで、動脈硬化を直接的に促進し、また糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めます。





 脂肪細胞を顕微鏡で見ると、中性脂肪をたくわえ、核やミトコンドリアなど細胞の働きに重要な部分が、隅に追いやられています。脂肪細胞は、脂肪をためこんでは必要に応じて分解産物である遊離脂肪酸やグリセロールを放出している単なるエネルギー貯蔵庫とみなされてきましたが、体の機能調節に重要な生理活性物質を活発に分泌していることが明らかにされています。





 レプチンは、遺伝性肥満マウスの原因遺伝子を研究する過程で、1994年に発見されました。通常は食欲を抑える働きをしますが、肥満が進むとレプチンの分泌量が相対的に少なくなるだけでなく、レプチンの働きが悪くなります。これをレプチン抵抗性といいます。また、レプチンは交感神経を活性化させるため、血圧を上昇させる作用もあります。このほかに免疫調節機能などさまざまな働きがあることが分かってきています。



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食欲の仕組み


 満腹を感じる満腹中枢は、ホルモンであるレプチンの影響を受けています。食事により、血糖値が上昇し、脂肪細胞が刺激されることでレプチンが分泌されます。レプチンは、満腹中枢を刺激するレプチン受容体に作用して、食欲を抑制します。すなわち、食べることでレプチンが働き、食欲が抑えられ、満腹を感じます。





 空腹を感じる空腹中枢は、食べ物を口にした際の胃や腸への刺激、料理を見ることやにおいを感じることで刺激されます。食後に胃が刺激された際に分泌されるのが、グレリンというホルモンです。グレリンが、空腹中枢を刺激し食欲が増進すると言われています。





 食欲を抑制するには、これらのホルモンをコントロールすることです。レプチンは、食後に脂肪細胞から分泌され、満腹中枢を刺激し、満腹を感じます。食欲を制御するには、このレプチンの血中濃度を高い状態に保つことです。





 レプチンが多く分泌されるのは、食後20分が経過してからと言われています。食事を早く済ませていると、充分なレプチンが分泌されず、満腹を感じるまで空腹の状態が続くため、食べ過ぎにつながります。ゆっくりよく噛んで食べる方がよいと言われるのは、消化吸収のためだけでなく、レプチンにより満腹感を得、食べ過ぎを防止するからです。つまり、20分以上かけて、ゆっくり食事をすれば、満腹中枢が働き出し、食べ過ぎ防止を助けてくれます。さらにレプチンは、脂肪の蓄積を抑え、エネルギー消費を助ける作用もあることから、体脂肪量の調節に関係するホルモンと考えられています。





 レプチンは、多量に分泌されればされるほど食欲が抑えられ、エネルギー消費が進むと思われるかもしれません。しかし、レプチンが過剰に分泌されると、レプチン受容体が正常に機能しなくなり、その結果満腹中枢が刺激されても、食べ過ぎの防止とはなりません。そのため、食欲の制御ができず、食べ過ぎを招いていることがあります。





 一方、食欲を増進させるホルモンがグレリンです。グレリンは空腹時に分泌されます。分泌されたグレリンが、空腹中枢を刺激することで空腹を感じると言われています。グレリンの分泌を抑える方法のひとつは、レプチンが適切に分泌されることです。この2つの食欲を司るホルモンは、レプチンが分泌されるとグレリンが抑えられ、レプチンが減少するとグレリンが働いて、食欲が増すという関係にあります。レプチンが過剰に分泌されないことが、グレリンの抑制につながります。





 レプチンと同様に、食欲を抑制するといわれているホルモンとして、セロトニンがあります。幸福ホルモンとも言われているセロトニンは、主に精神を安定させる役割を担っています。セロトニンが不足すると不安や心配な状況に陥りやすくなると言われていますが、このセロトニンは食欲にも関係していることが分かっています。セロトニンの不足により、満腹中枢が機能しなくなり、満腹を感じなくなるようです。満腹を感じないということは、食欲を制御できず、食べ過ぎてしまいます。セロトニン不足をきたさないためには、日光を浴びること、よく噛んで食べることなどです。



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食欲を制御する方法


 食欲を抑制するレプチンの正常な分泌は、食欲の抑制につながります。このレプチンとグレリンは相関関係にあります。レプチンを増やすには、グレリンを抑える必要があります。グレリンは、運動することで分泌を抑えることができるという研究結果が報告されています。お腹が空いていても、グレリンが分泌されないことで空腹を感じなくなります。運動後1時間程度は持続するようです。





 睡眠不足は、レプチンの分泌量を減らし、グレリンが増加することが分かっています。研究からも、睡眠時間が短いほど体重が多いとの報告があります。8時間前後の睡眠をしっかりとることで、レプチンの分泌を維持すること可能となります。





 アルコールの飲み過ぎも、レプチンを減少させるようです。アルコール摂取量が多いほど、レプチンの血中濃度が低下する傾向が見られるとの報告があります。





 レプチンが充分に分泌されるためには、食後20分以上かかると言われています。そのため、20分以上かけよく噛んで食べることで、食欲が落ち着きます。早食いの場合、噛む回数を意識し、時間をかけてゆっくり食事するだけで、食べる量を減らすことができるかもしれません。



レプチン抵抗性


 食欲を抑制するレプチンは、多量に分泌され続けると、レプチンを受けるレプチン受容体の働きが鈍くなり、食欲を抑制しにくくなります。肥満の人はこの状態に陥っており、満腹を感じにくい状況になっています。そのため、さらに食べてしまい、肥満につながっています。この状態をレプチン抵抗性といいます。





 食事量に注意し、レプチン受容体の働きを低下させないことで、レプチン抵抗性を回避できます。レプチン受容体の働きを低下させないためには、規則正しい生活と睡眠を十分とることです。



食欲を制御するための食べる順序


 血糖値は、急に上昇すると、その後急激に下がります。血糖値が下がる際に、強い空腹を感じるので、血糖値の上昇を緩やかにすることで、強い空腹感を避けることができます。食後の血糖値の上昇は、食べる順序で抑えることができます。





 まず野菜を食べ、肉や魚、大豆製品などの主菜、ご飯という順序で食べることで、血糖値の急上昇が抑えられます。野菜に含まれる食物繊維が、糖質の吸収をおだやかにすることで、血糖値の上昇が緩やかになります。また、野菜をよく噛んで食べることで、満腹感が得られれば、食事量を抑えることにもつながります。つまり、満腹感が得られない場合、野菜をよく噛んで時間をかけて食べることで、満腹中枢が刺激され、満腹感を得られるようになります。



まとめ


 レプチンは、脂肪細胞から分泌されるペプチドホルモンで、インスリンの刺激を受けてつくり出され、視床下部にある満腹中枢に作用して食欲を抑えます。また交感神経を活性化させて脂肪を燃やし、エネルギーの消費を促すことで肥満を抑制する働きがあります。





 満腹を感じる満腹中枢は、ホルモンであるレプチンの影響を受けています。食事により、血糖値が上昇し、脂肪細胞が刺激されることでレプチンが分泌されます。レプチンは、満腹中枢を刺激するレプチン受容体に作用して、食欲を抑制します。すなわち、食べることでレプチンが働き、食欲が抑えられ、満腹を感じます。食欲を制御するには、レプチンなどのホルモンをコントロールすることです。レプチンは、食後に脂肪細胞から分泌され、満腹中枢を刺激し、満腹を感じます。食欲を抑制するには、このレプチンの血中濃度を高い状態に保つことです。





 食欲を抑制するレプチンの正常な分泌は、食欲の抑制につながります。レプチンを増やすには、空腹時に分泌されるホルモンのグレリンを抑える必要があります。グレリンは、運動することで分泌を抑えることができるという研究結果が報告されています。お腹が空いていても、グレリンが分泌されないことで空腹を感じなくなります。睡眠不足は、レプチンの分泌量を減らし、グレリンが増加することが分かっています。8時間前後の睡眠をしっかりとることで、レプチンの分泌を維持すること可能となります。アルコールの飲み過ぎも、レプチンを減少させるようです。レプチンが充分に分泌されるためには、食後20分以上かかると言われています。そのため、20分以上かけよく噛んで食べることで、食欲が落ち着きます。





 また、血糖値が下がる際に、強い空腹を感じるので、血糖値の上昇を緩やかにすることで、強い空腹感を避けることができます。食後の血糖値の上昇は、食べる順序で抑えることができます。まず野菜を食べ、肉や魚、大豆製品などの主菜、ご飯という順序で食べることで、血糖値の急上昇が抑えられます。野菜に含まれる食物繊維が、糖質の吸収をおだやかにすることで、血糖値の上昇が緩やかになるためです。



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