2016年03月19日
介護の排泄介助の質を劇的に高める方法
介護現場での排泄介助は24時間365日行われています。
そして、身体介護の中でも要介護者に関わる総介助時間がもっとも長いとされているのがこの排泄介助です。
よって、様々なケアの中でも特に力を入れるべきケアのひとつとされているのですが、実は排泄介助の質は昔と比べてもあまり良くなっていない場合が多いのが現状です。
なぜ、排泄介助の質は上がりにくいのか、そして質を上げるにはどのような方法があるのかをご紹介していきます。
最後までお読みいただくことで、排泄介助の基本的な考え方と、質を上げるためのプロセスを理解していただくことができると思います。
施設での排泄介助は、まず要介護者ひとりひとりの排泄に関してのデータを集めることから始めます。
「誰が、どのようなタイミングのときに、よくトイレに行くのか(行きたいとおっしゃるのか)」を把握しデータを取っていきます。認知症や寝たきりの方など、排泄のタイミングが把握しづらい場合は、まずは時間を決めて定時に排泄介助を行うようにしましょう。
そして、同時に排泄パッドの使用の有無や下着の種類(布パンツ・失禁用布パンツ・紙パンツ・紙オムツなど)は、どのようなものが適切なのかもみていくようにします。
基本的なことですが、皮膚の状態観察も忘れずに行いましょう。陰部に赤みやただれなどはないか、ソケイ部に亀裂はないか、臀部に褥瘡はないかなども介助の際には観察するようにします。もし「おや、これは?」というものを発見したら、他の介護士さんや看護師さんにも見てもらうようにしましょう。
そのようにして、ひとりひとりの排泄のデータを毎日少しずつ集めていき、それを基に「排泄表」というものを作成します。これに沿って排泄ケアを行うのが介護現場では一般的です。
「排泄表」の中身については、各施設で個別に作成している場合も多いため、どれがいいというものは特にありません。個人の名前、使用する排泄パットの有無、排便の有無、0時〜23時まで排泄介助を行った時間帯に記載ができるように作られた欄、個別の排泄のタイミングのところに合わせてマーキングされているものなどは、多くの施設で見かけるものです。
個別の排泄のデータについては、一度調べて終わりではないということも覚えておきましょう。日々、要介護者の状態は変化していきます。その状態の変化に合わせて、排泄のデータも変化することがあるため、データ収集は基本的には毎日のケアの中で行っていく必要があります。
排泄データに変化があったときには、会議や日々の業務の中で介護士・看護師さん同士で検討・協議して、新たな個別の排泄ケアの方法を決定していきます。「排泄表」もそれに合わせて最新のものに更新するようにしましょう。
毎日のケアの中で、陰部にただれ等がある場合や褥瘡の形成時などは、その時々に合った個別の排泄ケアを行っていくことが必要となります。看護師さんと連携して早めに治すようにしましょう。
排泄介助の基本的な考え方で大切なのは、日々の排泄ケアの中で、今の介助方法や排泄用品がその方に合ったものになっているのかを常に考えながらケアを行っていくということです。
前述した排泄のデータを取って、排泄表まで作成しているにも関わらず、食前や食後、起床時や就寝時など、あらかじめ決められた時間(定時)にしか排泄介助を行っていない施設はたくさんあります。
そのような介護現場の職員さんに話を聞くと、「人手不足だから」「他の業務に支障が出るから」「昔からこれでやってきたから」などの理由が聞かれます。
つまり、「排泄ケアは効率重視で行っている」というものです。
「個別ケアが大切だ」と叫ばれるようになったから、個別の排泄ケアを行うために排泄のデータを取るようにしたまでは良かったと思うんですが、実際の現場ではなかなかそのデータを上手く活用できずに終わっている場合も多いようです。
このような多くの場合、排泄ケアの質を向上させるためのプロセスを、介護士さん全員がしっかりと理解しないまま始めてしまったために、しっかりと理解している人とそうでない人が出てきてしまい、結局中途半端なままで挫折してしまうケースがほとんどです。
次に、業務改善を行えていない場合があります。ここで止まっている施設が一番多いですね。食事や入浴の時間など、どうしてもずらしにくい時間もあるなどの理由から、業務改善が進まずに排泄介助も集団ケア化してしまっています。
この背景には、施設という集団生活の場ならではの理由があります。
一斉に食事介助、一斉に入浴介助をしているわけですから、排泄介助も当然一斉になりがちです。元々すべての流れが、「効率的に終わるようになっているから」なんですね。
排泄介助を改善しようとすれば、食事や入浴についての改善も必要になってくる場合がありますから、そうなると大幅な業務改善を行う必要が出てきます。
それを改善するためのアイデアが出ないと、そこでストップです。多くの施設がここで足踏みしてしまいます。排泄ケアの質が上がりにくい原因のひとつがこれです。
このような改善をどう行うかで、排泄ケアの質を劇的に高めることができます。次項に進みましょう。
まずは、介護リーダーに相談することから始めましょう。排泄の質を高めるためにはどうすればいいのか、それを実現可能なものにするためにはどのようなことを行えばいいのかなど、意見を共有することから始めます。
同じように悩み、どうしていけばいいのかわからずに不安に思っているリーダーさんもいるかもしれません。そんな中で、悩みを共有して一緒に考えてくれる介護士さんがいてくれると、とても勇気づけられます。
リーダーの考えのもとで業務改善を進めていけば、当然理解も深まりますし、やらされている感も少なく意欲的に取り組めるようになります。
自分がリーダーなら、周りの介護士さんに排泄ケアの質を上げるための意見をぜひ求めてみましょう。「もっとこうすればいい」「こういうことをしてみたらいいんじゃないか」という意見などを踏まえて業務改善を行えば、周りの介護士さんたちも積極的に協力してくれるようになります。決してひとりよがりにならないように、常に意見を共有しながら業務改善は行うようにしましょう。
もしも今、あなたが職場で排泄のケアの質に対して疑問を抱いているとすれば、間違いなくそう感じているのはあなただけではありません。必ず何人かは同じような疑問を持ちながら仕事をしている介護士さんがいます。
改まって相談するのではなく、日常業務の何気ない会話の中で意見を求めてみましょう。同じような悩みを持つ介護士さんは、今後一緒になっていろんな課題を話し合ってみてもいいですし、すでに仲の良い介護士さん同士なら、意見を共有してもっと周りの介護士さんを巻き込んでいくためにはどうすればいいかを考えます。
リーダーさんがワンマンで、普段から意見が通りにくい場合は、周りを巻き込んでから会議で提案するなどの根回しも必要です。あくまでも、より良い排泄ケアの質向上のための意見として提案して、リーダーさんの協力を得るためです。
たとえば、「以前から勤めている介護士さん」と「あとから入ってきた介護士さん」の間に、介護に対する熱意の差がある場合。
前者の介護士さんは「これまで通りのやり方でいい」と変化を嫌う介護士さんなのに対し、後者の介護士さんは「大変でももっとより良いサービスを提供したい」と考えている場合、まずはお互いの考え方に対しての溝を少しでも埋める必要があります。
変化を嫌う介護士さんにも何か理由があるのかもしれません。「やり方が変わると覚えてできるようになるまで時間がかかるから」などの理由であれば、そのような介護士さんでもついてこれるような改善速度で行うようにするなどの方法があります。
介護もひとつのチームで行うものです。当然のことですが、チームワークなくしてチームは機能しません。反発する人をないがしろにするようなやり方ではなく、介護士さん全員の「調和」が必須条件だと心得ましょう。
排泄ケアの質の向上を目指す際には、施設全体で取り組んでいく必要があります。そのためにも、排泄委員会はもっと有意義な会議になるような工夫が必要です。
現場の介護士さんが適切な排泄パッドやオムツを選べるように、排泄パッドのバリエーションを豊富にしましょう。特に排泄パッドは日中〜夜間を通じて最低でも5種類はないと、要介護者に合った排泄パッドは選びにくいです。今はいろんな業者があるので、積極的にサンプルを注文・試用してみて、より良い排泄パッドを準備しましょう。
排泄介助のマニュアルを作成しましょう。すでに作成されている場合は、新人職員さんでも分かるような内容になっているかを再度チェックして、マニュアルの精度を上げていくようにします。排泄介助マニュアルは、トイレ誘導やオムツ交換の手順、陰部洗浄の方法などの他に、排泄介助の際に使用する物品や準備しておくべきものを写真つきで分かりやすく作成しているものが一般的です。排泄に関連する感染症や褥瘡のことなども盛り込んでおくといいでしょう。1冊で排泄のことがすべてわかるような内容にするのが理想です。
排泄データの取り方はマニュアル化し、どのようなポイントを押さえて排泄介助を行えば良いのかを明確にしておきます。そうすることで、より多くの良質な排泄データが集まりやすくなります。
排泄表のレイアウトもさらに使いやすくなるようにバージョンアップを図っていくようにしましょう。日々の業務の中で、「こういうのもあれば便利だな」というアイデアや気づきは、会議の場で積極的に提案していくことで、より使いやすく、洗練された排泄表が出来上がっていきます。
オムツ外しについての検討も行いましょう。ゼロにすることは難しいですが、今現在オムツをしている方でもまずは外せそうな方から少しずつ始めていきます。排便だけでもトイレやポータブルトイレで行えるようになると、それだけで褥瘡や尿路感染のリスクは減らすことができますし、何より要介護者に不快感を与えずに済みます。高齢者の尊厳を守るためにも、少しずつでもオムツ外しはぜひ取り組んでいただきたいと思います。
その他にも、排泄委員会主催の、排泄の質を上げるための様々な勉強会を開催していくことが必要です。内容はオムツの当て方や便秘解消法など、15分程度の簡単なもので良いので、毎月1回は必ず開催できるようにします。勉強会の目的は、排泄に関しての知識を得ることもそうですが、本当の目的は介護士さんに「気づき」を与えることにあります。勉強会に参加してもらい、介護士さん自身が体験・発見をしていろいろなことに「気づく」ことで、排泄について考える意識を高めていけるようにしましょう。
その他にも、委員のメンバーは排泄に関しての簡単なアンケートの実施や各ユニット会議などの場で意見収集を行うことで、介護士さん自身の口から排泄について語ってもらう場を意識的に作っていくようにします。すべては、介護士さんの排泄について日ごろから考える意識を持ってもらうためです。
排泄介助の質はすぐに上がるものではありません。介護士さんの意識改革、排泄に関する知識、適切な排泄用品の選別など、時間のかかるものばかりです。
だからこそ、継続していくことが難しく、人員不足などで途中で挫折してしまうケースが多くなります。
ですが、最初にお話した通り、排泄ケアの質を高めていくためには、排泄介助の基本的な考え方への理解と、プロセスが何よりも重要となってきます。
誰かひとりがやればいいものではなく、介護士さん全員が意識的に取り組んでいかなければ質は上がりません。意識の高い人だけが勤務しているときに、瞬間的に良いケアができていても、それは本当の意味で質が上がったとは言えません。
介護リーダーさんは「調和」のとれたチームの意味を、そして介護士さんは「チームワーク」の意味を、それぞれが今の自分の仕事ぶりを見つめ直して、その意味を深く考えようとしなければ、排泄ケアの質だけでなく、介護全体の質を上げていくことは難しいでしょう。
今、特に力を入れるべきケアこそ、排泄ケアです。
排泄ケアを通じて、質を高めることの難しさと、「質が上がった!」と実感できる瞬間をぜひ経験していただきたいと思います。
排泄ケアの質に関しては、以下にもまとめていますので、合わせてお読みいただくとより排泄ケアの質の向上のためのプロセスなどを理解できるようになります。
オムツの「ありがちな当て方」と「上手な当て方のコツ」
排泄のサイン〜効率重視な排泄介助にしないための方法〜
介護の転職についてまとめたものがあります。離職や復職理由、転職についても興味があるという方はお読みください。
介護・看護の転職のコツ
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そして、身体介護の中でも要介護者に関わる総介助時間がもっとも長いとされているのがこの排泄介助です。
よって、様々なケアの中でも特に力を入れるべきケアのひとつとされているのですが、実は排泄介助の質は昔と比べてもあまり良くなっていない場合が多いのが現状です。
なぜ、排泄介助の質は上がりにくいのか、そして質を上げるにはどのような方法があるのかをご紹介していきます。
最後までお読みいただくことで、排泄介助の基本的な考え方と、質を上げるためのプロセスを理解していただくことができると思います。
排泄介助の基本的な考え方とは
施設での排泄介助は、まず要介護者ひとりひとりの排泄に関してのデータを集めることから始めます。
「誰が、どのようなタイミングのときに、よくトイレに行くのか(行きたいとおっしゃるのか)」を把握しデータを取っていきます。認知症や寝たきりの方など、排泄のタイミングが把握しづらい場合は、まずは時間を決めて定時に排泄介助を行うようにしましょう。
そして、同時に排泄パッドの使用の有無や下着の種類(布パンツ・失禁用布パンツ・紙パンツ・紙オムツなど)は、どのようなものが適切なのかもみていくようにします。
基本的なことですが、皮膚の状態観察も忘れずに行いましょう。陰部に赤みやただれなどはないか、ソケイ部に亀裂はないか、臀部に褥瘡はないかなども介助の際には観察するようにします。もし「おや、これは?」というものを発見したら、他の介護士さんや看護師さんにも見てもらうようにしましょう。
そのようにして、ひとりひとりの排泄のデータを毎日少しずつ集めていき、それを基に「排泄表」というものを作成します。これに沿って排泄ケアを行うのが介護現場では一般的です。
「排泄表」の中身については、各施設で個別に作成している場合も多いため、どれがいいというものは特にありません。個人の名前、使用する排泄パットの有無、排便の有無、0時〜23時まで排泄介助を行った時間帯に記載ができるように作られた欄、個別の排泄のタイミングのところに合わせてマーキングされているものなどは、多くの施設で見かけるものです。
個別の排泄のデータについては、一度調べて終わりではないということも覚えておきましょう。日々、要介護者の状態は変化していきます。その状態の変化に合わせて、排泄のデータも変化することがあるため、データ収集は基本的には毎日のケアの中で行っていく必要があります。
排泄データに変化があったときには、会議や日々の業務の中で介護士・看護師さん同士で検討・協議して、新たな個別の排泄ケアの方法を決定していきます。「排泄表」もそれに合わせて最新のものに更新するようにしましょう。
毎日のケアの中で、陰部にただれ等がある場合や褥瘡の形成時などは、その時々に合った個別の排泄ケアを行っていくことが必要となります。看護師さんと連携して早めに治すようにしましょう。
排泄介助の基本的な考え方で大切なのは、日々の排泄ケアの中で、今の介助方法や排泄用品がその方に合ったものになっているのかを常に考えながらケアを行っていくということです。
排泄介助の質が上がりにくいワケとは
前述した排泄のデータを取って、排泄表まで作成しているにも関わらず、食前や食後、起床時や就寝時など、あらかじめ決められた時間(定時)にしか排泄介助を行っていない施設はたくさんあります。
そのような介護現場の職員さんに話を聞くと、「人手不足だから」「他の業務に支障が出るから」「昔からこれでやってきたから」などの理由が聞かれます。
つまり、「排泄ケアは効率重視で行っている」というものです。
「個別ケアが大切だ」と叫ばれるようになったから、個別の排泄ケアを行うために排泄のデータを取るようにしたまでは良かったと思うんですが、実際の現場ではなかなかそのデータを上手く活用できずに終わっている場合も多いようです。
このような多くの場合、排泄ケアの質を向上させるためのプロセスを、介護士さん全員がしっかりと理解しないまま始めてしまったために、しっかりと理解している人とそうでない人が出てきてしまい、結局中途半端なままで挫折してしまうケースがほとんどです。
次に、業務改善を行えていない場合があります。ここで止まっている施設が一番多いですね。食事や入浴の時間など、どうしてもずらしにくい時間もあるなどの理由から、業務改善が進まずに排泄介助も集団ケア化してしまっています。
この背景には、施設という集団生活の場ならではの理由があります。
一斉に食事介助、一斉に入浴介助をしているわけですから、排泄介助も当然一斉になりがちです。元々すべての流れが、「効率的に終わるようになっているから」なんですね。
排泄介助を改善しようとすれば、食事や入浴についての改善も必要になってくる場合がありますから、そうなると大幅な業務改善を行う必要が出てきます。
それを改善するためのアイデアが出ないと、そこでストップです。多くの施設がここで足踏みしてしまいます。排泄ケアの質が上がりにくい原因のひとつがこれです。
このような改善をどう行うかで、排泄ケアの質を劇的に高めることができます。次項に進みましょう。
排泄ケアの質を劇的に高める方法とは
介護リーダーに相談してみよう
まずは、介護リーダーに相談することから始めましょう。排泄の質を高めるためにはどうすればいいのか、それを実現可能なものにするためにはどのようなことを行えばいいのかなど、意見を共有することから始めます。
同じように悩み、どうしていけばいいのかわからずに不安に思っているリーダーさんもいるかもしれません。そんな中で、悩みを共有して一緒に考えてくれる介護士さんがいてくれると、とても勇気づけられます。
リーダーの考えのもとで業務改善を進めていけば、当然理解も深まりますし、やらされている感も少なく意欲的に取り組めるようになります。
自分がリーダーなら、周りの介護士さんに排泄ケアの質を上げるための意見をぜひ求めてみましょう。「もっとこうすればいい」「こういうことをしてみたらいいんじゃないか」という意見などを踏まえて業務改善を行えば、周りの介護士さんたちも積極的に協力してくれるようになります。決してひとりよがりにならないように、常に意見を共有しながら業務改善は行うようにしましょう。
周りの介護士さんに相談してみよう
もしも今、あなたが職場で排泄のケアの質に対して疑問を抱いているとすれば、間違いなくそう感じているのはあなただけではありません。必ず何人かは同じような疑問を持ちながら仕事をしている介護士さんがいます。
改まって相談するのではなく、日常業務の何気ない会話の中で意見を求めてみましょう。同じような悩みを持つ介護士さんは、今後一緒になっていろんな課題を話し合ってみてもいいですし、すでに仲の良い介護士さん同士なら、意見を共有してもっと周りの介護士さんを巻き込んでいくためにはどうすればいいかを考えます。
リーダーさんがワンマンで、普段から意見が通りにくい場合は、周りを巻き込んでから会議で提案するなどの根回しも必要です。あくまでも、より良い排泄ケアの質向上のための意見として提案して、リーダーさんの協力を得るためです。
「効率重視」と「個別重視」の溝を埋めよう
たとえば、「以前から勤めている介護士さん」と「あとから入ってきた介護士さん」の間に、介護に対する熱意の差がある場合。
前者の介護士さんは「これまで通りのやり方でいい」と変化を嫌う介護士さんなのに対し、後者の介護士さんは「大変でももっとより良いサービスを提供したい」と考えている場合、まずはお互いの考え方に対しての溝を少しでも埋める必要があります。
変化を嫌う介護士さんにも何か理由があるのかもしれません。「やり方が変わると覚えてできるようになるまで時間がかかるから」などの理由であれば、そのような介護士さんでもついてこれるような改善速度で行うようにするなどの方法があります。
介護もひとつのチームで行うものです。当然のことですが、チームワークなくしてチームは機能しません。反発する人をないがしろにするようなやり方ではなく、介護士さん全員の「調和」が必須条件だと心得ましょう。
排泄委員会を上手に活用しよう
排泄ケアの質の向上を目指す際には、施設全体で取り組んでいく必要があります。そのためにも、排泄委員会はもっと有意義な会議になるような工夫が必要です。
現場の介護士さんが適切な排泄パッドやオムツを選べるように、排泄パッドのバリエーションを豊富にしましょう。特に排泄パッドは日中〜夜間を通じて最低でも5種類はないと、要介護者に合った排泄パッドは選びにくいです。今はいろんな業者があるので、積極的にサンプルを注文・試用してみて、より良い排泄パッドを準備しましょう。
排泄介助のマニュアルを作成しましょう。すでに作成されている場合は、新人職員さんでも分かるような内容になっているかを再度チェックして、マニュアルの精度を上げていくようにします。排泄介助マニュアルは、トイレ誘導やオムツ交換の手順、陰部洗浄の方法などの他に、排泄介助の際に使用する物品や準備しておくべきものを写真つきで分かりやすく作成しているものが一般的です。排泄に関連する感染症や褥瘡のことなども盛り込んでおくといいでしょう。1冊で排泄のことがすべてわかるような内容にするのが理想です。
排泄データの取り方はマニュアル化し、どのようなポイントを押さえて排泄介助を行えば良いのかを明確にしておきます。そうすることで、より多くの良質な排泄データが集まりやすくなります。
排泄表のレイアウトもさらに使いやすくなるようにバージョンアップを図っていくようにしましょう。日々の業務の中で、「こういうのもあれば便利だな」というアイデアや気づきは、会議の場で積極的に提案していくことで、より使いやすく、洗練された排泄表が出来上がっていきます。
オムツ外しについての検討も行いましょう。ゼロにすることは難しいですが、今現在オムツをしている方でもまずは外せそうな方から少しずつ始めていきます。排便だけでもトイレやポータブルトイレで行えるようになると、それだけで褥瘡や尿路感染のリスクは減らすことができますし、何より要介護者に不快感を与えずに済みます。高齢者の尊厳を守るためにも、少しずつでもオムツ外しはぜひ取り組んでいただきたいと思います。
その他にも、排泄委員会主催の、排泄の質を上げるための様々な勉強会を開催していくことが必要です。内容はオムツの当て方や便秘解消法など、15分程度の簡単なもので良いので、毎月1回は必ず開催できるようにします。勉強会の目的は、排泄に関しての知識を得ることもそうですが、本当の目的は介護士さんに「気づき」を与えることにあります。勉強会に参加してもらい、介護士さん自身が体験・発見をしていろいろなことに「気づく」ことで、排泄について考える意識を高めていけるようにしましょう。
その他にも、委員のメンバーは排泄に関しての簡単なアンケートの実施や各ユニット会議などの場で意見収集を行うことで、介護士さん自身の口から排泄について語ってもらう場を意識的に作っていくようにします。すべては、介護士さんの排泄について日ごろから考える意識を持ってもらうためです。
まとめ
排泄介助の質はすぐに上がるものではありません。介護士さんの意識改革、排泄に関する知識、適切な排泄用品の選別など、時間のかかるものばかりです。
だからこそ、継続していくことが難しく、人員不足などで途中で挫折してしまうケースが多くなります。
ですが、最初にお話した通り、排泄ケアの質を高めていくためには、排泄介助の基本的な考え方への理解と、プロセスが何よりも重要となってきます。
誰かひとりがやればいいものではなく、介護士さん全員が意識的に取り組んでいかなければ質は上がりません。意識の高い人だけが勤務しているときに、瞬間的に良いケアができていても、それは本当の意味で質が上がったとは言えません。
介護リーダーさんは「調和」のとれたチームの意味を、そして介護士さんは「チームワーク」の意味を、それぞれが今の自分の仕事ぶりを見つめ直して、その意味を深く考えようとしなければ、排泄ケアの質だけでなく、介護全体の質を上げていくことは難しいでしょう。
今、特に力を入れるべきケアこそ、排泄ケアです。
排泄ケアを通じて、質を高めることの難しさと、「質が上がった!」と実感できる瞬間をぜひ経験していただきたいと思います。
排泄ケアの質に関しては、以下にもまとめていますので、合わせてお読みいただくとより排泄ケアの質の向上のためのプロセスなどを理解できるようになります。
オムツの「ありがちな当て方」と「上手な当て方のコツ」
排泄のサイン〜効率重視な排泄介助にしないための方法〜
介護の転職についてまとめたものがあります。離職や復職理由、転職についても興味があるという方はお読みください。
介護・看護の転職のコツ
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