2016年03月20日
排泄のサイン〜効率重視な排泄介助にしないための方法〜
介護サービスもひとりひとりに合った、個別的なケアを求められるようになってきています。
排泄介助も定時のトイレ誘導やオムツ交換ではなく、「ひとりひとりの排泄のタイミング」というものを重視して、排泄ケアの質を高めようと努力している施設も多くなってきています。
ですがまだまだ、自分たちが古い考えのまま仕事をしていることに気づけずに、体質改善ができていない施設もあるのが現状です。
そのような現場では、いまだに要介護者を定時のみで一斉にトイレ誘導やオムツ交換を行うという、効率を重視した排泄ケアを行っているところが多くみられます。
排泄用品などを大量に乗せた、大きな排泄カートというものを押しながら、介護士同士が分担して居室を端から順に回ってオムツ交換をしていくという流れ作業のような排泄ケアを行っている現場はまだたくさんあります。
食前食後や就寝起床時といった、決まった時間にしかトイレ誘導を行わない現場もたくさんみてきました。
そのような光景は、ひと昔前の施設ではどこでも普通に見られるものでした。それが誰も疑うことのない、「当たり前の排泄ケア」とされていたためです。
もともと介護は、看護から派生して出来たものとされています。そのため、その根本的な考え方に看護の流れを汲んでいるため、介護でも効率的に仕事をすることが求められるのは当然の流れだったといえます。
看護師は学校や先輩看護師などから、効率的に仕事をすることも求められていることを学びます。それは、もともとはたくさんの患者のすべてのケアを、少ない人数で行わなければならなかった時代のなごりが、今も引き継がれてきているからとされています。昔からある看護師ならではの時代背景というわけです。
そして看護は医療職ですから、最優先にしているのは患者の「命」です。病気やケガの治療が優先されますから、それ以外の、たとえば食事や排泄介助などのケアなどはある程度効率的に終わらせるようにしないと、時間が足りなくなるばかりか、処置などが間に合わなくなることもあります。
そのような背景があって、看護は看護にしかできない仕事を、それ以外の排泄介助などの医療行為にあたらないケアは介護で行うという、「介護士」が新たな職種として誕生したのです。
介護の分野ができたばかりの頃は、教科書もなく、当然ながら介護というものが何なのかを教えてくれる教育者もいませんでした。よって、介護現場での介助方法や考え方などは、これまで看護がやってきたことを参考にするしかなかったのです。
そのような看護からの影響を強く受けたことで、介護でも効率性を重視したケアを行うというルーツが誕生してしまい、介護が独自の思想を持つようになるまでに遅れが生じてしまったのだとされています。
排泄介助は主に、個別の排泄データを基に作成した排泄表というものに沿ってトイレ誘導やオムツ交換を行うというものです。
まずは排泄パッドなどの排泄用品についてですが、昔に比べると、排泄用品は格段に進化しました。
オムツも今や布オムツを使ってるところはほとんど見かけなくなりましたし、尿失禁用の排尿パットも薄いのに吸収量もよく、出たあともサラサラな状態が続くものが多くなってきました。しっかりと改良が加えられていっているのが、普段から排泄介助を行っている介護士さんならわかると思います。
最近の最先端介護ロボットでは、全自動で排泄ケアを行うものまで販売されています。賛否両論ありますが、介護者の負担を減らし、要介護者が少しでも心地よく過ごせるようにしたいという考えは、介護業界共通のスローガンですし、介護の人手不足解消のためにも、ある意味ではこのような介護ロボットの導入も必要な時代になってきているのかもしれません。
このように、要介護者の使うものは日々、利便性の高いものが多くなってきています。
ですが、残念なことに介護サービスとしての排泄ケアの質は、それだけではなかなか上がりにくいのが現状です。
そこには、その排泄介助を実際に行う介護士さんの知識や技術といったスキルが、時代の考えに追いついていないということがあげられます。それも、新人の介護士さんではなく熟練介護士さんのスキルがです。
排泄介助の基本でもある、@排泄用品の準備をして、A要介護者に声をかけて、Bトイレ誘導やオムツ交換をする、という一連の流れは滞りなくスムーズに行えている介護士さんはたくさんいます。それをそつなく行えるようになるまでは、やはり時間と経験がある程度は必要です。
しかし今の時代において大切にしなければならないのは、その一連の排泄介助の流れの中で、どれだけ排泄ケアの質のことを考えながらケアを行うことができるのかということです。
介護現場において、排泄ケアの質が上がりにくいありがちな理由とは、排泄のサインを上手に活かすことができていないということです。
排泄の声かけにはタイミングというものがあります。そのタイミングを無視して排泄介助を行うのは、介護士さんの一方的な都合でしかありません。
ありがちなのが、トイレ誘導の時間やオムツ交換の時間というのが決まっている場合です。たとえば、
「〇〇さん、トイレに行きますよ、さぁ立ってください」
このような声かけに、高齢者の意思の尊重はなく、まさにこれが職員の都合と言えるものです。こういうことを行っている施設がまだまだ多いということです。
大切なのは、排泄のサインを見逃さないことです。
そしてそのサインの重要性を知ることこそが、効率的な排泄介助を終わらせ、排泄ケアの質を上げるために必要なものとなります。
たとえ食事中だろうと横になってすぐだろうと、その方が「トイレに行きたい」と思ったときが排泄のタイミングです。そしてそんな中で、そわそわしだしたり、食事中に急に立ちあがり始めたとき、それが排泄のサインです。これを見逃さないようにすることが、重要なのです。
ひとつひとつのサインを排泄のデータとしてとらえ、それらのデータをまとめて排泄表というものを作成します。サインの出やすい時間帯や、だいたいいつも決まった時間にトイレに行く、といったデータをしっかりと排泄表に落とし込むことができれば、行きたくもないトイレに無理やり連れて行かれる、といったことを減らすことができるようになります。
もちろん、その日の水分摂取量や体調などによりイレギュラーもありますから、それは仕方のないことだと思うようにしましょう。
ただし、認知症などがあって排泄のタイミングがつかみづらい方もいらっしゃると思います。そのような方にはこまめに「トイレ行かなくても大丈夫ですか?」と尋ねるのも必要ですし、排泄表を見て長時間トイレに行っていないときは、やはり一度お連れしたほうがいいでしょう。
「ご本人が行かないと言ったから」というときでも、長時間トイレに行っていなければ失禁のおそれもあります。なにか別の病気のサインかもしれない、水分の摂取量が少ないのかもしれない、排泄の感覚マヒが起こっているのかもしれないなど、排泄ひとつとっても、そこまで考えることができるようになれば、少しずつですが確実に排泄ケアの質は上がっていきます。
まずは、要介護者ひとりひとりの排泄のサインには、どのようなものがあるのかを知ろうと意識してみましょう。
排泄ケアの質に関しては、以下にまとめていますので、合わせてお読みいただくとより排泄ケアの質の向上のためのプロセスなどを理解できるようになります。
介護の排泄介助の質を劇的に高める方法
オムツの「ありがちな当て方」と「上手な当て方のコツ」
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排泄介助も定時のトイレ誘導やオムツ交換ではなく、「ひとりひとりの排泄のタイミング」というものを重視して、排泄ケアの質を高めようと努力している施設も多くなってきています。
ですがまだまだ、自分たちが古い考えのまま仕事をしていることに気づけずに、体質改善ができていない施設もあるのが現状です。
そのような現場では、いまだに要介護者を定時のみで一斉にトイレ誘導やオムツ交換を行うという、効率を重視した排泄ケアを行っているところが多くみられます。
排泄用品などを大量に乗せた、大きな排泄カートというものを押しながら、介護士同士が分担して居室を端から順に回ってオムツ交換をしていくという流れ作業のような排泄ケアを行っている現場はまだたくさんあります。
食前食後や就寝起床時といった、決まった時間にしかトイレ誘導を行わない現場もたくさんみてきました。
そのような光景は、ひと昔前の施設ではどこでも普通に見られるものでした。それが誰も疑うことのない、「当たり前の排泄ケア」とされていたためです。
そもそも、なぜ効率的なケアをするようになったのか
もともと介護は、看護から派生して出来たものとされています。そのため、その根本的な考え方に看護の流れを汲んでいるため、介護でも効率的に仕事をすることが求められるのは当然の流れだったといえます。
看護師は学校や先輩看護師などから、効率的に仕事をすることも求められていることを学びます。それは、もともとはたくさんの患者のすべてのケアを、少ない人数で行わなければならなかった時代のなごりが、今も引き継がれてきているからとされています。昔からある看護師ならではの時代背景というわけです。
そして看護は医療職ですから、最優先にしているのは患者の「命」です。病気やケガの治療が優先されますから、それ以外の、たとえば食事や排泄介助などのケアなどはある程度効率的に終わらせるようにしないと、時間が足りなくなるばかりか、処置などが間に合わなくなることもあります。
そのような背景があって、看護は看護にしかできない仕事を、それ以外の排泄介助などの医療行為にあたらないケアは介護で行うという、「介護士」が新たな職種として誕生したのです。
介護の分野ができたばかりの頃は、教科書もなく、当然ながら介護というものが何なのかを教えてくれる教育者もいませんでした。よって、介護現場での介助方法や考え方などは、これまで看護がやってきたことを参考にするしかなかったのです。
そのような看護からの影響を強く受けたことで、介護でも効率性を重視したケアを行うというルーツが誕生してしまい、介護が独自の思想を持つようになるまでに遅れが生じてしまったのだとされています。
介護現場の排泄ケアの質が上がらない、そのありがちなワケとは
排泄介助は主に、個別の排泄データを基に作成した排泄表というものに沿ってトイレ誘導やオムツ交換を行うというものです。
まずは排泄パッドなどの排泄用品についてですが、昔に比べると、排泄用品は格段に進化しました。
オムツも今や布オムツを使ってるところはほとんど見かけなくなりましたし、尿失禁用の排尿パットも薄いのに吸収量もよく、出たあともサラサラな状態が続くものが多くなってきました。しっかりと改良が加えられていっているのが、普段から排泄介助を行っている介護士さんならわかると思います。
最近の最先端介護ロボットでは、全自動で排泄ケアを行うものまで販売されています。賛否両論ありますが、介護者の負担を減らし、要介護者が少しでも心地よく過ごせるようにしたいという考えは、介護業界共通のスローガンですし、介護の人手不足解消のためにも、ある意味ではこのような介護ロボットの導入も必要な時代になってきているのかもしれません。
このように、要介護者の使うものは日々、利便性の高いものが多くなってきています。
ですが、残念なことに介護サービスとしての排泄ケアの質は、それだけではなかなか上がりにくいのが現状です。
そこには、その排泄介助を実際に行う介護士さんの知識や技術といったスキルが、時代の考えに追いついていないということがあげられます。それも、新人の介護士さんではなく熟練介護士さんのスキルがです。
排泄介助の基本でもある、@排泄用品の準備をして、A要介護者に声をかけて、Bトイレ誘導やオムツ交換をする、という一連の流れは滞りなくスムーズに行えている介護士さんはたくさんいます。それをそつなく行えるようになるまでは、やはり時間と経験がある程度は必要です。
しかし今の時代において大切にしなければならないのは、その一連の排泄介助の流れの中で、どれだけ排泄ケアの質のことを考えながらケアを行うことができるのかということです。
介護現場において、排泄ケアの質が上がりにくいありがちな理由とは、排泄のサインを上手に活かすことができていないということです。
なぜ排泄のサインを活かすことが重要なのか
排泄の声かけにはタイミングというものがあります。そのタイミングを無視して排泄介助を行うのは、介護士さんの一方的な都合でしかありません。
ありがちなのが、トイレ誘導の時間やオムツ交換の時間というのが決まっている場合です。たとえば、
「〇〇さん、トイレに行きますよ、さぁ立ってください」
このような声かけに、高齢者の意思の尊重はなく、まさにこれが職員の都合と言えるものです。こういうことを行っている施設がまだまだ多いということです。
大切なのは、排泄のサインを見逃さないことです。
そしてそのサインの重要性を知ることこそが、効率的な排泄介助を終わらせ、排泄ケアの質を上げるために必要なものとなります。
たとえ食事中だろうと横になってすぐだろうと、その方が「トイレに行きたい」と思ったときが排泄のタイミングです。そしてそんな中で、そわそわしだしたり、食事中に急に立ちあがり始めたとき、それが排泄のサインです。これを見逃さないようにすることが、重要なのです。
ひとつひとつのサインを排泄のデータとしてとらえ、それらのデータをまとめて排泄表というものを作成します。サインの出やすい時間帯や、だいたいいつも決まった時間にトイレに行く、といったデータをしっかりと排泄表に落とし込むことができれば、行きたくもないトイレに無理やり連れて行かれる、といったことを減らすことができるようになります。
もちろん、その日の水分摂取量や体調などによりイレギュラーもありますから、それは仕方のないことだと思うようにしましょう。
ただし、認知症などがあって排泄のタイミングがつかみづらい方もいらっしゃると思います。そのような方にはこまめに「トイレ行かなくても大丈夫ですか?」と尋ねるのも必要ですし、排泄表を見て長時間トイレに行っていないときは、やはり一度お連れしたほうがいいでしょう。
「ご本人が行かないと言ったから」というときでも、長時間トイレに行っていなければ失禁のおそれもあります。なにか別の病気のサインかもしれない、水分の摂取量が少ないのかもしれない、排泄の感覚マヒが起こっているのかもしれないなど、排泄ひとつとっても、そこまで考えることができるようになれば、少しずつですが確実に排泄ケアの質は上がっていきます。
まずは、要介護者ひとりひとりの排泄のサインには、どのようなものがあるのかを知ろうと意識してみましょう。
排泄ケアの質に関しては、以下にまとめていますので、合わせてお読みいただくとより排泄ケアの質の向上のためのプロセスなどを理解できるようになります。
介護の排泄介助の質を劇的に高める方法
オムツの「ありがちな当て方」と「上手な当て方のコツ」
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